BABYMETAL 海外 ハンブルグ ライブレポート

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1.

「へぇ、バトルジャケットってそんなに人気があるんですね」

 

日曜日の昼下がり。
久しぶりに後輩のK山くんとランチをする機会があったので、
僕は先月のBABYMETALの話題(幕張2DAYS)を振ってみた。
過去にK山くんは何度かBABYMETALのライブに参加しているが、
特に熱心なファンというわけではないので、
これまでTHE ONEに加入をしたことはない。
いわゆるライト層だ。
ただ、BABYMETAL自体は今でも好きらしく、
タイミングが合えばまたライブには行ってみたいとのことだった。

 

 

「そうなんだよ。超MOSH’SH PITの人でさえ、朝から並んでも買えなかったらしい」

「元から在庫が少なかったんですかね」

「だろうね。予測が甘かったんだと思うよ。ワッペンもすぐに売り切れたみたいだし」

「相変わらずBABYMETALのグッズは人気があるんですね」

「バトルが激しいよね。バトルジャケットだけに」

「そういうところですよ、先輩」

 

 

そして今は、BABYMETALの物販についての話をしていた。
今思い返しても、用意していたバトルジャケットの数はあまりにも少なかったように思う。

 

 

「でも、ミスチルだって昔はバトルが激しかったですけどね」

「物販の?」

「そうです。今は事前にオーダーできたりしますけど、数年前までは早い者勝ちで」

「そうなんだ。じゃあK山も朝早くから並んだんだ」

「並びましたね。お目当てのリストバンドやTシャツを買うために」

「なるほどねぇ、朝からバトルは始まっていたと」

「はい。絶対に負けられない戦いが、そこにはあるんですよ」

 

 

どのアーティストでも同じなのだろう。
僕にしても、BABYMETAL以外の物販で朝早くから並んだことがある。
できればグッズはライブの数日前に事前に購入できるとありがたいのだが、
毎回そうすることができない事情が運営側にはあるのだろう。
長時間並ぶのは苦痛なので、いろいろ改善されるといいのだけれど。

 

 

 

 

その後、K山くんと別れる。
「絶対に負けられない戦いねぇ……」
彼が最後に放った言葉が脳内でリフレインする。
ふと疑問がこうべを上げたのは、帰宅している最中だった。
「絶対に負けられない戦い……だと?」
少し逡巡したのち、ハッと気づいた。
その瞬間、一気に顔が紅潮した。
「くっそー、思い出した。僕にも絶対に負けられない戦いがあったんだ!」

 

なにも物販の話をしているわけではない。
僕の人生において、もっとも重要なことを思い出したのだ。
あの戦いの数々を思い返すと、ふつふつと怒りが込み上げてきた。
過去のライブの光景が断続的に脳裏に浮かぶ。
毎度毎度、僕は、デカい奴らにコテンパンにやられまくったのだった。

 

 

2015年ベルリン

 

2016年シュツットガルト

 

そして2018年のRock im Park 2018(ニュルンベルク)

 

 

このままおめおめと引き下がるわけにはいかなかった。
デカいドイツ人たちとのモッシュに勝利する、
それこそが、僕の人生における最終目標なのだ。
成果が上がるまでは、デカいドイツ人たちととことん勝負してやる!
そして次こそは絶対に勝――――つっ!
帰りの電車に揺られながら、僕はそう強く胸に誓ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけでドイツである。

 

ここハンブルグで本日、BABYMETALのライブが開催される。
初めて訪れる都市だが、同じドイツなので問題はないだろう。
ドイツ人に対し、ようやくリベンジを果たすときがやってきた――。
そう思うと自然と武者震いをした。

 

 

 

最寄のReeperbahn駅までSバーンで移動。
ビートルズ広場を左折し、グローセ・フライハイト通りに入る。
少し歩くと、会場であるGrobe Freiheit36へ到着した。
今は午後16時過ぎ。だいたい100人くらいはいるだろうか。

 

 

 

周囲にいる年齢層は青年から熟年の方まで幅広い。
小さな子供の数は少ないが、若い女性の姿はそれなりに目につく。
僕の網膜はカップルは認識できない仕様だから、残念ながらそれらの数は分からない。

 

 

 

果たして会場となり、入場。
フロアの真ん中からぐるりと場内を見渡す。
派手な装飾はない、昔ながらのライブハウスといった匂いを感じる。
徐々に人が集まってくるとにわかに活気づいてきた。
ライブに対する期待感が大きく膨らむと自然と胸が高鳴っていった。

 

 

 

定刻より数分早めに、ゲストのSKYNDがライブを始める。
思っていたよりもヘヴィだったので堪能することができた。
それにしても音響が良い。音圧も申し分ない。
BABYMETALのライブでも爆音を浴びてとことん楽しめそううだ。
そう思うと自然と口元は綻び、だんだんと興奮状態となった。
周りにいるドイツのデカいキツネたちよ。首の準備はできているか?
さあ、今日も激しくモッシュして、ともに大いに盛り上がろうではないか!

 

 

 

 

2.

セットリスト

01. FUTURE METAL
02. DA DA DANCE
03. Distortion
04. PA PA YA!!
05. BxMxC
06. Kagerou
07. Starlight
08. Oh! MAJINAI
09. メギツネ
10. ギミチョコ !!
11. KARATE
12. ヘドバンギャー!!
13. Road of Resistance

 

 

1曲目は「FUTURE METAL」。
曲が始まると怒号のような歓声がひっきりなしに沸き起こった。
ライブハウス用のスクリーンに映像が映し出されるとさらなる歓声が沸く。
神バンドの面々が登場してくるとまた大きな歓声が沸いた。

 

 

 

ライブはその後「DA DA DANCE」へ。
観客がうまく乗れるのか多少心配していたが、それは杞憂に終わった。
“フォーッ!”の掛け声は少ないが、大勢が体を揺らして同曲を楽しんでいる。
続く「Distortion」では序盤で早くもWODが発生。
快活な叫び声がそこら中に充満する。
アッパー・チューンなので、フロアの熱量は同曲で一気に上がっていった。

 

 

 

勢いそのままにライブは「PA PA YA!!」へ。
国内に比べると振り回されるタオルの数は少ないが、熱狂具合はまったく負けていない。
フロアでは耐えずモッシュが起こり、場内は興奮の坩堝と化している。
次曲「BxMxC」が始まるとフロアはさらなる活況を呈した。
SU-METALのフロウが炸裂すると、場内の熱気はさらに上昇していった。

 

 

 

神バンドのソロから「Kagerou」が始まる。
ドラムのブラストビートが火を噴くとフロアが揺れた。
その後鞘師里保とMOAMETALが艶めかしい動きで入場。
SU-METALと合わせてグルーヴ満載の情熱的なダンスを披露する。
ステージで優雅に闊歩する3人は貫禄があって、思わず見惚れる。
SU-METALの圧巻のヴォーカルに唇を噛み締め、グッと堪能する。

 

ライブは今EUツアー初となる「Starlight」へ。
ヘヴィなジェント・サウンドにとことん酔いしれる。
続いて「Oh! MAJINAI」が披露されると場内のボルテージはさらに上がった。
序盤から、大きな体躯のドイツ人たちが破顔して大騒ぎしている。
映像だけとはいえ、ヨアキムの存在感はやはり圧倒的だ。
最後のサビに向けてさらに活気づくフロア。
その様子を眺めていると自然と涙が込み上げてくる。

 

場内が未だ興奮状態にある中、ライブは続けざまに「メギツネ」へ。
同曲でも序盤からピットは大盛り上がり。
間奏でSU-MEATLが観客を煽るとフロアはさらに沸き、恒例のメギツネジャンプも大熱狂。
そこに人気曲「ギミチョコ !!」が投入されると、場内はさらなる興奮状態へ。
序盤から激しいモッシュが繰り広げられる。
間奏では大きなクラップ音が鳴り響き、大盛り上がりのもと同曲は終了した。

 

 

 

ややあって「KARATE」が披露される。
大勢が体を大きく揺らして全身でグルーヴを堪能する。
間奏では自発的にジャンプも発生。SU-METALのロングトーンが心地よい。
ライブはそのまま「ヘドバンギャー!!」へと続くが、場内の熱気はまったく衰えない。
曲が始まるなりWODが沸き起こった。
土下座ヘドバンを経てからのサビでもピットは大熱狂の状態が続いた。

 

その後少しの間があり、場内ではBABYMETALコールが発生。
そしてライブはラストの「Road of Resistance」へ。
冒頭のWODは今日一番の大きさだった。
その後もモッシュは断続的に起こり、観客も熱狂しっぱなしだ。
間奏では大勢によるシンガロングが発生し、大盛況のもと同曲は終了。
最後は恒例の“We are BABYMETAL”コールで大熱狂のライブは幕を閉じた。
演者に対する歓声や拍手は、ライブが終わってももしばらくの間続いたのだった。

 

 

 

 

 

3.

 

興奮冷めやらない状態で会場の外に出る。
上着を羽織りながら最寄り駅へ向かう。
帰りの電車に揺られながら、今終わったばかりのライブを回想する。
過去のライブでもそうだったように、ドイツでの単独ライブは今回も大熱狂だった。

 

まず音響が良かった。
リズム隊も超ど安定。数あるギター・ソロも痺れた。
音圧も申し分なかったので久々に爆音を心ゆくまで堪能できた。
途中に目を瞑って何度も昇天しかけそうになるほどに。

 

ピットの中からの視線なので、細かい表情まではわからないが、
フロントの3人がめちゃくちゃ楽しそうだったのが印象的だった。
MOAMETALは慈愛に満ちた微笑みで蜘蛛手にレスポンスをし、
鞘師里保は笑顔で溌溂と踊る中に、本人の充実度を感じ取れた。
ヴォーカルのSU-METALの歌声は言うに及ばず。
クリアな高音ヴォイスに何度も酔いしれた。
そして心底楽しかったのだろう、彼女もまたライブ中に笑顔を何度も浮かべていた。

 

それにしても、今回のピットの盛り上がりも素晴らしかった。
肉厚なドイツ人たちによるモッシュは大迫力。
それに巻き込まれるたびに、体のあちこちをぶつけまくった。
開演前の気勢はどこへやら、僕は今回も完膚なきまでに打ちのめされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、こういう外国人たちとのモッシュに喜びを感じているから、
僕はこれまでに何度も遠征してきたし、これからもそうするつもりである。
BABYMETALを近くで拝めるライブは、それはそれで大変貴重なものだが、
童心に帰って笑顔で外国人たちとモッシュする体験はプライスレス。
ライブレポ中にも少し触れたが、「Oh! MAJINAI」での光景に、
まさか感動して涙ぐんでしまうとは思わなかった。
破顔一笑、強面のメタラーたちを含んだ多くの外国人たちが笑顔で堪能する、
心の底から楽しいとも思えるBABYMETALのライブ。
その光景を眺めることができるのもまた、プライスレスだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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