BABYMETAL 海外 ケルン ライブレポート

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1.

ほんの4日前のハンブルク公演が随分と遠い昔のように感じる。
観客が「Oh! MAJINAI」で熱狂する光景に、思わず涙ぐんでしまった同公演。
デカいドイツ人たちにピットで完膚なきまでに打ちのめされたものの、
笑顔で外国人たちとモッシュすることができ、大いに満足すことができた。
ライブが終わった直後はなんとも清々しい気分に浸ることができたのだった。

 

ところがである。
それから少し経って、パリ公演の後、
同じドイツ語圏のウィーンに来て以降は、どうにも体が熱くなってきた。
“本当にこのまま負けっぱなしでいいのか?”
心の中のリトルTERIがそう囁いてくる。
僕は眉間に皺を寄せて唇をギュッと噛む。

 

くそっ、このままおめおめと引き下がるわけにはいかない。
デカいドイツ人たちとのモッシュに勝利する、
それこそが、僕の人生における最終目標なのだ。
絶対に負けられない戦いが、そこにはある。
成果が上がるまでは、デカいドイツ人たちととことん勝負してやる!
そして次こそは絶対に勝――――――っつ!……って、もうええがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いなんてこの際どうだっていい
単純にライブを楽しむために、僕はウィーンからケルンへやってきた。

 

 

 

BABYMETALがケルンでライブを行うのは3度目だと記憶しているが、
僕自身はケルンに来るのは初めてだった。
ケルン空港から電車でケルン中央駅まで移動したのち、
駅のそばに聳え立つ巨大なケルン大聖堂を生で見て衝撃を受ける。
夜に佇む姿はあまりに荘厳。見上げるだけで首が痛くなってくる。
凄いものを見たと感心しながら、僕は宿泊先のホテルへ向かった。

 

 

 

翌日。
昼食がてら、駅周辺を散策。
ライン川に架かるホーエンツォレルン橋の歩道のフェンスには、
カップルによって無数の「愛の南京錠」がびっしりとかけられている。

 

 

 

この南京錠が流行り始めたのは2008年のこと。
通常は南京錠に自分たちのイニシャルやメッセージを刻み、
歩道と線路の間に伸びるフェンスに施錠した後、ライン川に鍵を投げ込むらしい。
この行為は永遠の愛を誓うものと考えられ、
パリやプラハなどヨーロッパの他の都市の橋でも同じ光景が見られるそうだ。

 

 

 

その後は旧市街地をぶらぶらと散策。
石畳なので趣がある。
中には入らなかったが、途中には香水博物館があった。
皇帝ナポレオンも使っていた香水が、300年以上変わらずに残っているとのことだ。

 

 

 

それからは駅へ戻り、再びケルン大聖堂を四方から眺める。
昼の時間に改めて眺めると、その凄さに驚愕した。
写真を見た限りでは、これほどまでに巨大で高い建築物だとは想像していなかった。
1248年より建設を開始し、途中約200年の作業中断時期を挟み、
完成までに600年以上の月日を有した大聖堂。
登ってみたい欲もあったが、ライブ前に体力は極力使いたくなかったので今回は自重。
次の機会があれば是非上まで登ろうと思う。

 

 

 

 

 

夕刻、Uバーンで会場最寄り駅のWiener Platzまで移動。
そこから徒歩で歩くと、やがてライブ会場のCarlswerk Victoriaに到着した。
見た目は普通の倉庫。
現在の時刻は16時15分。
晴れてきたので少し早めに来てみたものの、すでに空は厚い雲に覆われている。
待機列の人数は80人ほど。VIPとGAは半々のようだ。

 

 

 

それから2時間後のことだった。
予報よりも早い時間で雨が降ってきた。
この寒さに雨はかなり堪える。
GAの入場まではあと30分ほど。
これ以上雨脚が強くならないことを願いながらひたすら耐える。

 

 

 

やがて開場となり、建物の中へ入る。
クロークにびしょ濡れのダウンジャケットを預けてから、いざホールへ。
会場は随分と縦長で、PA卓の後方にもかなりスペースがある。
ぐるりと場内を見渡したのち、フロアの中央あたりに位置を得る。

 

 

 

客層は今日も幅広い。
パリやウィーンと同じくらい、多くの女性も来場している。
メタラーと思しき数もそれなりにいる。
そしてやはりドイツ人の体はデカい。
中には身長2メートル超えの男性や、タンクのような肉厚な大男たちがいた。

 

 

 

果たして開演となり、SKYNDがライブを始める。
観客は静かに彼らのライブを見守っている。
曲が終わると大きな歓声や拍手が沸くのだが、
よくわからないものを初めて見る際、
ドイツ人はいつも真剣になって凝視する傾向があるように思う。
そして見たものが良ければ終わった後に賛辞を送っている。

 

 

 

SKYNDのライブが終わり、後ろを振り返って確認するも、
縦長の箱なので後方の様子はよくわからなった。
ソールドアウト公演だから、十分に観客で埋まっていることだろう。
それにしてもざわつきが凄い。
倉庫だから最初は少し寒く感じていたが、場内はすでに熱気が充満していて、
BABYMETALを迎える準備はとうに整っている状況だ。
そうして定刻どおりにライブがスタート。
暗転直後の歓声がすごい。
絶叫や悲鳴のような大きな歓声が、拍手や指笛に交じってそこら中で沸いている。

 

 

 

 

2.

セットリスト

01. FUTURE METAL
02. DA DA DANCE
03. Distortion
04. PA PA YA!!
05. BxMxC
06. Kagerou
07. Starlight
08. Oh! MAJINAI
09. メギツネ
10. ギミチョコ !!
11. KARATE
12. ヘドバンギャー!!
13. Road of Resistance

 

 

ライブは今宵も「FUTURE METAL」でスタート。
時折歓声を上げながら、周りの観客たちは目を輝かせて映像を眺めている。
続く「DA DA DANCE」のイントロが流れ、フロントの3人がステージに姿を表わすと、
やんややんやの歓声が上がった。黄色い声も多い。
違和感を覚えたのは、曲が始まってから少ししてからだった。
ヴォーカルの声があまりにも小さく感じる。
なぜこんなにヴォーカルを絞っているんだろうと疑問を抱いていると、
聞こえていたのSU-METALの地声で、マイク自体がオンになっていなかった模様。
オンになってSU-METALの伸びやかな歌唱が場内に響き渡ると大きな歓声が沸いた。
曲が続く中、観客はその場その場でリズムを取って同曲を楽しんでいる。

 

 

 

そして次曲「Distortion」が始まるとフロアは一気に爆発。
重くて激しいモッシュが乱発した。
間奏のクラップ音は大きく、観客は終始熱狂。
続く「PA PA YA!!」でも熱狂は継続し、大勢がタオルや腕を回して大騒ぎしている。
老若男女構わず誰もが踊り狂い、フロアはまさにお祭り騒ぎ。
この2曲でフロアのボルテージは早くも最高潮に達しようとしている。

 

「BxMxC」が始まると、フロアの熱量はさらに上昇。
SU-METALのクールなフロウが炸裂すると悲鳴のような歓声が上がった。
大勢が“B! M! C!”とコールし、重くて激しいモッシュを繰り広げている。
ライブは神バンドのソロから「Kagerou」へと続く。
ドラムのブラストビートに全身が震える。
ブルージーなギターサウンドに乗せて3人が艶めかしく踊る
観客はグルーヴに酔いしれて踊り続けている。

 

続いて披露されたのは「Starlight」
SU-METALの高音ヴォイスとヘヴィなジェント・ギター・サウンドとの対比が心地良い。
気持ちよくヘドバンをし続けていると、得も言われぬ快感を覚える。
大勢がこの神秘的で美しい楽曲にうっとりとして没入している。

 

 

 

「Oh! MAJINAI」が披露されると観客は再び大熱狂。
曲が始まるなりピットには愉快な声が溢れ、ノリノリで楽しんでいる。
終盤はクラップが長く続き、大熱狂のもと同曲は終了。
続いて「メギツネ」が披露されるとフロアはさらなる活況を呈した。
序盤から大勢が狂ったようにジャンプを繰り返す。
SU-METALの煽りに観客は大歓声で応え、直後に再び連続ジャンプを敢行する。
隣の女性は泣き叫ぶような声で終始歌っている。
爆発的な盛り上がりを見せて、この人気曲も大盛況のもとに終了した。

 

 

 

続いてこれまた人気曲の「ギミチョコ !!」が始まると、フロアは再度熱狂。
冒頭でWODが起こり、その後はモッシュが頻繁に発生した。
間奏でのクラップ音も大きく、歓声もひっきりなしに沸いている。
続けざまに「KARATE」が始まると大勢がグルーヴを感じて体を大きく揺らした。
間奏のシーンでは大きなクラップが鳴り響き、
その後はSU-METALの掛け声に合わせて一斉にジャンプ。
多くの観客から、全力でライブを楽しむ姿勢が感じられた。

 

「ヘドバンギャー!!」でも大勢が一斉にジャンプを敢行。
モッシュは終盤まで続いた。
そして“BABYMETAL”コールを挟んだののち、ラストの「Road of Resistance」へ。
美しいギターオーケストレーションの音が場内に響き渡る。
冒頭のWODは巨大で、多くの者が笑顔で参加した。
途中のシンガロングの声も大きく、ライブはクライマックスを迎える。
最後は恒例のC&Rでライブは終了。会場が大歓声に包まれた。
こうしてケルンにおけるBABYMETALの3度目の単独ライブは大熱狂のもと幕を閉じた。

 

 

 

 

4.

ライブが終わるとすぐにクロークへ。
まだ濡れているダウンジャケットを受け取る。
小雨がぱらついているので急ぎ足で最寄り駅へ。
その道中、たった今終わったばかりのライブを振り返る。

 

今日の会場は縦長で、横幅が狭いから、
モッシュやWODは密度が濃く、より激しさを感じた。
ピットの熱量は常時高く、熱気ムンムンの状態だった。
若い男女の数も多く、みんなが笑顔でライブを楽しんでいた。

 

フロントのパフォーマンスは今宵も素晴らしく、
冒頭でマイクのスイッチが入っていないというミスはあったものの、
それ以外は問題なく、SU-METALのクリア・ヴォイスは場内に響き渡っていた。
MOAMETALと鞘師里保も時に妖艶に、時に溌溂と踊り、多くの観客を魅了した。

 

音響バランスも良かったので、痺れるサウンドをとことん堪能することができた。
また、音圧もかなりあったので、特にドラムのブラストビートでは何度も体が震えた。
そして観客の騒ぎ方は凄まじく、歓声や悲鳴は終始あちらこちらから聞こえた。
それだけBABYMETALのライブを待ち望んでいたのだろうし、
今夜、心底楽しめたに違いない。

 

昨晩、ホテルのシャワールームで転倒して腰を強打したので、
今日は少し控えようと思っていたのものの、
いざライブが始まれば楽しくなって外国人たちと何度もモッシュしていた。
何度吹き飛ばされても、この楽しい経験は病みつきだ。
明日はまたドイツのベルリンでライブがあるが、今からもう楽しみで仕方がない。

 

 

 

 

 

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