BABYMETAL 海外 PINKPOP FESTIVAL 2024 ライブレポート

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1.

ベルギーのメタルフェス、Graspop Metal Meetingに参加した翌日。
僕は9時過ぎにアントワープからブリュッセルへ向かった。
そしてブリュッセル南駅からはICEに乗車してドイツのアーヘン中央駅へ。
駅近くのホテルへ荷物を預けると、今度は列車とバスを乗り継ぎ、
午後1時半頃、オランダのランドグラーフ駅へ到着。
そこからはシャトルバスに乗って、
次の目的地であるPINKPOP FESTIVALの会場へ向かった。

 

 

所定の場所で降車し、いざフェスのエントランスへ向かって歩いていると、
急に雨が降り出してきた。
そしてエントランスに着く頃にはその雨は激しい雷雨へと変わった。
確かに今日の午後はずっと雨予報だったが、
滝に打たれるような激しい豪雨になるとは予想していなかった。
一応レインコートは着ているものの、下半身はすでにずぶ濡れ。
ふとフェスティバルの開催の継続に疑問符が付いた。

 

 

 

しかしながら、約20分後は雨足が弱まり、なんとかフェスティバルの敷地内へ入場。
今フェスもキャッシュレスなので、飲食用のトークン、そしてフェスTシャツを購入。
小雨が降ったり止んだりしている状況だったが、
気を取り直して全力でフェスティバルを楽しむことにする。
とその前に、まずは腹ごしらえをするためにハンバーガーを頬張った。

 

PINKPOP FESTIVALのメインステージは2つあり、それぞれが対角線に位置している。
南側のメインステージの1つではちょうどCIAN DUCROTがライブを行っていた。
よく知らない歌手だが、どうもシンガー・ソングライターのようだ。
大勢が静かに彼のパフォーマンスを見守っている。
その後はテントステージへ移動。
そして久々にPOLYPHIAのライブを堪能する。
最後まで観ていたかったが、POLYPHIAの直後にBABYMETALがライブを行うので、
途中で離脱し、再びメインステージへ。
BABYMETALが登場する南側のメインステージとは反対側、
北側のメインステージで行われているライブがやけに盛り上がっている。
曲調はカントリーっぽい。
少し前のCIAN DUCROTといい、やはりポップ色の強いフェスのようだ。

 

そして次はいよいよBABYMETALの出番となった。
反対側のステージのライブを観終えた観客がこちらのステージへ続々と移動を始める。
開始5分前には、かなりの人が集まっている状況となった。
小雨がぱらつき始めたが、このままあと1時間、天気よ持ってくれと願う。
そうして定刻通りにライブが始まると、あちこちで大きな歓声が起こった。
僕はキツネサインを掲げたまま、期待を胸にステージを凝視し続けた。

 

 

 

 

2.

セットリスト

01. BABYMETAL DEATH
02. Distortion
03. PA PA YA!!
04. メギツネ
05. BxMxC
06. メタり!!
07. KARATE
08. RATATATA
09. ギミチョコ!!
10. Road of Resistance

 

1曲目はお決まりの「BABYMETAL DEATH」。
フロントの3人が姿を表すと大きな歓声が沸いた。
ライブが始まるとキツネサインを掲げたりヘドバンする人もいたが、
ほとんどの人がステージを凝視している様子だった。
周囲で“B!A! B! Y!”とコールしているのは僕くらい。
終盤になっても状況はさほど変わらずで、
3人が“DEATH! DEATH!”と叫びながら何度もキツネサインを掲げても、
それに従事する人はわずかだった。
多くの初見の人は、単純に乗り方がわかっていないのだろう。
曲が終わると拍手や歓声が起こったが、どうもポップファンが大勢を占めているようで、
観客にゴリゴリなメタルサウンドはいまいち刺さらなかったようだ。

 

続く「Distortion」でも、前半はほとんどの人が直立不動でステージに見入っていた。
“ギバー! ギバー”と声を張る人はほとんどおらず、
楽曲でノリノリになっているのは最前列付近の観客くらいだった。
しかしながら、間奏でクラップを促すと観客はそれに応え、
さらにSU-METALが“大きなサークルが見たい!”と煽ると、
すぐさま大きなサークルピットが出来上がった。
その輪の中へ、若い人たちが続々と集まっていく。
その後はモッシュも起こり、ピットは急に活況を呈した。

 

結局のところ、大いに騒いで楽しみたい願望はあったようだ。
SU-METALのMCは、そのきっかけを与えたに過ぎなかった。
続いて「PA PA YA!!」が始まると、ピットは瞬く間に踊り場と化した。
盛り上げようとする掛け声が自発的に起こり、各々が好きなように体を動かしている。
間奏で3人がTシャツを振り回してと観客に訴えると、
何人かはそれに倣ってTシャツや上着を頭上で振り回し始めた。
モッシュや掛け声は頻繁に起こり、SU-METALの煽りでジャンプする人も多く発生。
やがて曲が終わると大きな歓声と拍手が沸き起こった。

 

ピットには熱気がかなり籠り始めている。
そして次曲の「メギツネ」でそれはさらに上昇。
イントロが始まるなり、ここでもローイングモッシュが発生。
その後は大勢が好きなように飛び跳ね回った。
また、間奏に入る箇所でも、再びローイングモッシュが起こった。
その後は大勢が輪になって笑顔で駆け回る。
SU-METALに煽られて、大勢が“ソレッ!”と声を発しながらジャンプを繰り返す。
そうして同曲も大盛況のもと終了した。

 

「PA PA YA!!」、「メギツネ」と、
乗り方が分かりやすいアッパー・チューンが続けたおかげで、
BABYMETALの楽曲を知らなくても大勢が好きなように騒いでライブを楽しんでいる。
ここまでピットの熱量が高まれば、そう簡単に冷めることはない。
続いて「BxMxC」が始まると、ここでもすぐにピットの観客は一斉にリズムに乗った。
各々が好きなように体を揺らし、盛り上げるために掛け声を発している。
SU-METALがフロウをかますと、ところどころで歓声が沸いた。
そして終盤には、この曲では比較的珍しいWoDが発生。
その後は大勢が笑顔でもみくちゃになって体をぶつけあっている。
曲が終わると大きな歓声と拍手が沸き起こった。

 

続いて披露されたのは「メタり!!」。
SU-METALの指示のもと、大勢が手を挙げて前後に揺らす。
曲が始まると激しいモッシュが発生。
極悪なベース音が轟く中、大勢が笑顔で体をぶつけ合う。
MOMOMETALの口上シーンでは、大勢が座り込んでから一斉にジャンプ。
多くの者が大きく跳ねては体をぶつけ合っている。
最後までピットはカオスな状況が続き、
やがて同曲は大盛り上がりのもと終了となった。

 

続いて「KARATE」が始まると、大勢がモッシュを始めた。
その後はサークルピットが発生し、皆が笑顔で駆け回る。
輪の外では多くの人がリズムに合わせて体を揺らしている。
愉悦の声はあちこちでひっきりなしに起こっている。
間奏のシーンになると、恒例となっているスマホライトの演出が。
ステージ背後のスクリーンに美しい光景が映し出される。
終盤になってもピットでは断続的にモッシュが起こり
曲が終わるとあちこちから歓声や拍手が沸き起こった。

 

続く曲は「RATATATA」。
イントロの段階で大勢が“FU! FU!”と叫び、ピットでは何人かが肩を組み始めた。
曲が始まると、一緒になって歌う人が多かった。
そして“ラタタタター”のセリフを合図に大勢が騒ぎ始め、ピットはカオスと化した。
引き続き“FU! FU!”とコールする人も多い。
終盤になると、ピットではWoDが発生。
その後も大勢が好きなように騒ぎまくる。
やがて同曲も大盛り上がりのもと終了した。

 

続いては「ギミチョコ!!」。
イントロが始まるなりピットではサークルピットが発生。
曲が始まると大勢が体を動かし始める。
輪の外にいる人たちは皆、笑顔でステージを眺めている。
“Hey! PINKPOP!”、途中にSU-METALが叫ぶと歓声が沸いた。
その後の煽りにより、大きなクラップ音が曇天の空にこだました。
終盤になってもピットの勢いは全く衰えず。
曲が終わると拍手喝采。大きな歓声も沸き起こっている。

 

そして最後はアンセム「Road of Resistance」。
冒頭のWoDでは、大勢が勢いよく突進して体をぶつけ合った。
それにしても、それを観客に指示するSU-METALの姿は痺れるほどに凛々しい。
間奏では、僕も一緒になってサークルモッシュに興じる。
シンガロングのシーンは今回も圧巻。大勢が声を張っている。
曲が再開するとすぐさまモッシュが発生。
その後は再び大勢が走り回った。
終盤になっても、ピットではサークルピットが何度も発生。
そして同曲も大盛り上がりのもとライブは終了となった。
最後は恒例の“We are?”“ BABYMETAL!”コールでライブを締め、
SU-METALが“サンキュー! PINKPOP!”と叫ぶと大きな歓声が沸いた。
こうして、POPフェスでは珍しいWoDや激しいモッシュを何度も発生させ、
観客を大いに熱狂させて、PINKPOP FESTIVALでのライブは幕を閉じた。

 

 

 

3.

BABYMETALのライブの後は急いで反対側のステージへ。
そして久々にYUNGBLADのライブを堪能。
今日もドミニクは元気いっぱいのパフォーマンスを披露した。
その後は反対側、すなわち先ほどまでBABYMETALがライブをしていたステージへ戻り、
これまた久々の観覧となるROYAL BLOODのライブを堪能した。
時間が許すのであれば、AVRIL LAVIGNやKEANE、MANESKINのライブも観たかったが、
何しろ最寄りのランドグラーフ駅からドイツ方面へは列車は走っておらず、
来た時と同じようにバスと列車を乗り継いで帰る必要があったので、
ROYAL BLOODを観た後に宿泊先のドイツのアーヘンへ戻ることにした。

 

その前に腹ごしらえと思い、売店でチキンナゲットを購入。
雨が降っているのでフードを被ったままて黙々と食べていると、
ふと人の気配を感じたので振り返った。
するとそこには骨(BABYBONE)が立っていて、
英語で“インタビューでBABYMETALにメッセージを”と書かれたボードを持っていた。
5秒ほど見つめあった後、骨がバツ悪そうに無言で去っていく。
僕は骨の後ろ姿をただ眺める。
どうも彼はこちらが日本人だとわかると、急に気まずくなったようだった。
ここは海外なので、現地の人にインタビューをしたかったのだろう。

 

場外に出ると、シャトルバスでランドグラーフ駅へ。
時刻は20時過ぎ。
ランドグラーフ駅で電光の時刻表を確認すると、
アーヘン行きのバスがちょうど出た後だった。
もう少し早く戻っていればと後悔しつつ、
20時半のヘルツォーゲンラート駅行きのバスに乗車する。
そして降車後は、列車でアーヘンへ戻ることができる。
フェスへ来た時とは逆のルートだった。
僕はバスに寄られながら、今日一日を振り返った。

 

フェスの場内を歩いている際、
いかにもメタラー然とした恰好をした人にはあまり遭遇しなかった。
ほとんどがカジュアルな服装で、明らかにポップファンの人ばかりだった。
そういった観客が集まった中、BABYMETALは、
唯一無二のライブパフォーマンスを披露し、
多くのポップファンを楽しませることに成功した。
今日BABYMETALのライブを観た人の中で、
できるだけ多くの人がそのままファンになってくれれば嬉しく思う。

 

また、ライブの流れについてだが、これは前日のGMMや数日前のNOVA ROCK同様、
2曲目の「Distortion」でのサークルピットが熱狂を生む起点となっていた。
観客の様子をつぶさに観察しているSU-METALの煽りや盛り上げ方は毎回抜群で、
予定調和に“次はビッグサークルを作って”、“次はジャンプして”というのではなく、
適切な箇所で、適切なセリフや煽りを入れて、観客を盛り上げることに努めていた。
これまでに世界中で多くのライブを披露してきた経験があるから、
どういったフェス、どういった観客でも、適応できるのだろう。

 

 

 

今日のフェスへの参加をもって、
僕の今回のEU遠征は終了。
明日はドイツのデュッセルルドルフから帰国の途に就くことになる。
僕が毎年のようにBABYMETALの海外ツアーへ足を運ぶのは、
BABYMETALのライブを観ている現地の人たちの反応を見たいから、
それと、現地の人たちと一緒くたになってピットで大騒ぎをしたいから。
この2点のみ。
外国人がみな笑顔で心底BABYMETALのライブを楽しんでいる様子はいつ見ても心が温まる。
日本語がわからなくてもダンスや楽曲のリズム、モッシュといろんな要素で楽しめるのが、
BABYMETALのライブの人気の秘訣。
僕は口元に微笑を湛えて目を細める。
今日のライブでも、本当にみんな幸せそうな顔していた。
これからも世界中の人々を、その唯一無二のパフォーマンスで笑顔にしてほしい。
心からそう願いながら、僕は帰りのバスに揺られ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

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