BABYMETAL サマソニ2023東京 ライブレポート

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1.

サマソニ大阪が終わった直後に急いで新大阪駅へ移動し、
最終の新幹線に乗車して深夜に名古屋へやってきた翌日。
睡眠もそこそこに、僕は引き続き東を目指す。
5時45分頃に起床し、6時半過ぎの東京行きの新幹線に乗車。
足腰の疲れがあまりとれていないのは、おそらく睡眠不足だけが原因ではなかった。
昨晩の、シャトルバスの停車場まで走り続けたことによるダメージは未だ残っている。
サマソニが終われば一から体を鍛えようかなと、ぼんやり考える。

 

車内で仮眠していると、あっという間に新幹線は東京駅に着いた。
そのままJR京葉線に乗り継ぎ、いざ海浜幕張へ。
サマソニの白いフェスTシャツを着た若者を多く見かけるが、
中には、黒いTシャツ姿の中年男性メイトの姿もちらほら散見された。
おそらくは同じ目的なのだろう。
今日のMOUNTAIN STAGEのオープニングアクトに興味を抱いている人は多い。

 

 

 

果たして、9時半過ぎにJR海浜幕張駅に到着。
まるで戦地へ向かう歩兵隊のように、
大勢が同じ方向へ進み、整然たる行列を成している。
暑い日差しを浴びながら、一同揃って幕張メッセ国際展示場へ。
入場口で荷物検査を行い、その後チケットとリストバンドを交換。
入場するとサマソニガールの女の子たちが笑顔で出迎えてくれた。

 

その後は荷物を預けにクロークへ。
2,000円を支払い、白い袋に入れたバックパックを預ける。
身軽になっただけで、急に元気が出てきた。
僕は腕を回して肩甲骨をほぐしながら、反対方向のMAOUTAIN STAGEへ向かう。
同ステージでオープニングアクトを務めるMETALVERSEのライブまで、あと20分ほど。
これまでにSNSを通じて、彼女たちの楽曲の一部は公開されていたが、
当日のお楽しみにしたかったので、僕ほほとんど視聴してはいなかった。
いったい今日のライブでは、どんなパフォーマンスを披露するのだろう。
初ライブがいきなり巨大なMAOUTAIN STAGEというのはだいぶ緊張するだろうが、
メンバーの絆を大切に、落ち着いて、楽しんでライブをやってほしい。
父兄の顔を少しばかり覗かせながら、僕は足取り軽やかに歩を進めていった。

 

 

 

 

 

2.

 

MAOUTAIN STAGEに入り、中央付近まで進む。
前方エリアはすでに人だかりができている。
ざっと見た感じ、客の入りは3割~4割といったところだろうか。
それでも数千人は動員しているので、初っ端のライブとしては上出来だろう。
僕は床に座り、まったりと開演を待つことに。
しかし突然の爆音で、全身がビクンと反応した。
その音はサウンドチェックによるものだったが、
特にドラムのブラストビートは凄まじく、そして聴き覚えがあった。
これは間違いなく西の神バンドのドラム、アンソニー・バロンのドラミング。
これはヤバいことが起きそうだと、僕は急に色めき立つ。
すぐに立ち上がると、何かに誘われるようによく見える位置まで前進した。

 

定刻となり、METALVERSEのライブが始まる。
サウンドはかなりの重低音。
音圧もそれなりにあるので、演奏だけ聴くとまるでBABYMETALのライブのようだ。
そんなことを考えていると、
それこそBABYMETALと同じような衣装を着た女の子がステージの袖から次々に登場。
計5人の女性が、ステージ中央に勢揃いする。
着ている衣装はBABYMETALに似てはいたが、よく見ると色合いは違っており、
黒と緑をベースとしていた。袖やスカートあたりが緑がかっている。

 

1曲目、2曲目とライブが進んでいくにつれ、観客の数は明らかに増えていた。
周囲にスペースがある場所で見ていたが、気が付けば後方にも人が集まっている。
楽曲のタイトルはわからないが、披露された3曲はともにヘヴィだった。
それでいてメロディはJ-POPで、合間のコールがこれまた女の子の可愛い声なので、
BABYMETALよろしく、まさに“カワイイメタル”といった塩梅。
5人による綺麗に揃ったダンス・ルーティンも美しい出来栄えで、
しいて言うなら、BABYMETALの姉妹グループといった印象を受けた。

 

それにしても初ライブでこのクオリティの高さは凄いと、心底感心した。
パフォーマンス全体があまりに良すぎて、最後の方は少しだけ泣いてしまった。
ボーカルの戸高美湖は想像以上に素晴らしく、大器の片鱗を見た。
今後偉大なボーカリストへ成長していくのではないかという思いに駆られた。
曲の途中には「サマソニ―!」とMCを行い、観客にコールを促したりもしたが、
その初々しさがまた可愛らしかった。
「次はO-EASTで会いましょう」。
最後にはしっかりとワンマンライブの告知をして終了。
観客に笑顔で手を振る彼女たちの姿が眩しく瞳に映った。

 

また、木村咲愛、加藤ここな、八木美樹、野崎結愛の4人によるダンスもさすがの一言。
元さくら学院(加藤ここな以外)や、
Z世代からα世代の若き可能性をもった人材を強化育成するプログラム
「AMUSE CAMP α」のメンバー(戸高美湖以外)である彼女たち。
過去に培ってきたスキルをさらにブラッシュアップしたダンスは十分見応えがあった。
もしも今後、ライブでは必ず神バンドが付くとしたら――。
生演奏が条件になるが、これからも定期的にライブを観に行くかもしれない。

※METALVERSEは、ライブ直前に撮影許可が出ていたようでしたので少しだけ撮影しました。

 

 

興奮冷めやらぬまま、続けてNOVA TWINSのライブを鑑賞。
「Antagonist」や「Choose Your Fighter」など知っている曲も多く、
ノリノリになって、最後までライブを楽しんだ。
その後は昼食のため、フードエリアへ移動。
どんぶり飯やソフトクリームを平らげる。
食べた後はspotify RADAR:Early noise Stageへ行き、aoのライブを鑑賞。
若きシンガー・ソングライターの歌声に聴き惚れる。

 

 

 

 

 

隣のPACIFIC STAGEでKID RETURNのライブを少しだけ観た後は、
再びMOUNTAIN STAGEへ移動。
暑さのため大阪で観るのを回避したWILLOWのライブを堪能する。
アメリカの人気俳優 / ラッパーであるウィル・スミスの娘、
ウィロー・スミス(Willow Smith)の芸名であるウィロー(WILLOW)。
彼女のライヴパフォーマンス自体、出色の出来栄えだったが、
曲間のスクリーンに日本語で「この文章を読んだら大きな音を出して」や、
「次は可愛い女性のために歌います」といったようなメッセージが表示されると、
それだけで場内は温かい空気に包まれていた。

 

 

 

その後はFLOを途中まで観てからSONIC STAGEへ移動し、
ちゃんみなのライブを鑑賞。
彼女のライブは初めて生で観たが、クオリティは高かった。
また、彼女のMCは温かみがあって楽しいものだったが、
それもきっと彼女の人気に繋がっているのだろう。

 

それからはまたMOUNTAIN STAGEへ戻り、昨日に続いてINHALERのライブを鑑賞。
U2のボノの息子であるイライジャ・ヒューソンの歌声は美しく、
大勢の観客を虜にしている。
実のところ、昨日のサマソニ大阪の会場では、
最初のFear, and Loathing in Las Vegasや次のmilet、ジャニーズWESTの時は、
大勢の観客が詰めかけていたのだが、
夕方以降のバンド、INHALERやEVANESCENCE、それにBABYMETALの時は、
昼間よりも観客が少ない状況だった。
スタンドの入りはさほど変わらないものの、
3組ともアリーナの後ろ半分は人がまばらな状態だった。
その状況に、“もったいないよな~、いいバンドなのに”と内心でがっかりしたのだが、
東京の会場では多くの観客が詰めかけていたのでうれしく思い、ホッとした。
そして彼らの質の高いライブパフォーマンスは、これら大勢の観客を魅了したのだった。

 

その後もMOUNTAIN STAGEでMY FIRST STORYのライブを鑑賞。
初めてライブを観たが、なかなかのパフォーマンスだった。
ただ、マイファスの人気がどれほどのものなのかはまったくわからなかったが、
INHALERよりも観客が減るとは思っていなかったので少しばかり驚いた。

 

続いてはINHALER同様、昨日に続きEVANESCENCEのライブを観る。
初っ端の「Broken Pieces Shine」から迫力満点のドラムが炸裂。
ヴォーカル、エイミー・リーの力強くも儚い歌声は今宵も素晴らしく、
彼女の渾身の歌唱に何度も聴き惚れた。
バンドも今日は昨日と違い屋内なので序盤は汗をかかずに涼し気に演奏していたが、
終盤は熱が籠った演奏も相まって、男性陣は大量の汗をかいていた。
そうして熱かった彼らのライブは、
エイミー・リーの美しい独唱で始まる「My Immortal」、
そしてデビュー・シングルにして最大のヒット曲「Bring Me To Life」をもって、
大盛り上がりのもと終了した。
ライブ中にも散々声援(特にエミリーに対して)は飛んでいたが、
ライブ終了後にはより大きな声援と拍手が沸き起こった。

 

 

 

EVANESCENCEのライブの余韻に浸りながら、僕は次のアクトの出番を待つ。
もちろんそれは、MOUNTAIN STAGEのトリを飾る我らがBABYMETAL。
僕は上手側の前の方、だいたい10列目~15列目あたりに移動した。
一人の世界に入ってライブに没頭するのでもいいし、
気分次第では、すぐにモッシュピットにも参加できるような位置取りだ。
ぐるりと周囲を見渡すと、大勢の観客が押し寄せている状態だったが、
後方はまだスペースがあるようだ。
これからどんどん人が流れてくるのを期待しながら開演を待つ。
それにしても、サウンドチェックのドラムの音圧がヤバすぎる。
大きな振動が、地面から内臓に直接伝わってきた。
思っていた以上の轟音に、周囲も騒然となっている。
この音圧なら、今夜のライブもかなり盛り上がること間違いなし。
僕はそう確信しながら、括目して、ステージ上だけを凝視し続けた。

 

 

 

 

3.

セットリスト

01. BABYMETAL DEATH
02. ギミチョコ!!
03. PA PA YA!!
04. Distortion
05. BxMxC
06. MAYA
07. Monochrome
08. メタり!! (feat. Tom Morello)
09. メギツネ
10. ヘドバンギャー!!
11. Road of Resistance
12. イジメ、ダメ、ゼッタイ

 

大阪公演に続き、「BABYMETAL DEATH」でライブが始まる。
キツネ様によって3人の女性が召喚されMETALVERSEが始まるという、
すでにお馴染みとなっているムービーがスクリーンに映し出される。
開演時に軽い圧縮はあったものの、
今は大勢がその場でジッとスクリーンを凝視している。
しかし“Are you ready head-banking”と煽られるとすぐさま歓声が沸き、
場内のボルテージは一気に上がった。
そしてそこに炸裂する、速射砲のような怒涛の6連府。
堪らない。ゾクゾクする。
僕は目を閉じ、爆音を噛みしめるようにして首を振る。
少ししてフロントの3人がステージに姿を現すと、
一気に人が前方へ押し寄せたため、僕は再び圧縮の洗礼を受けることとなった。

 

近くには、コスプレ姿の外国人女性の姿があった。
また、白人のカップルやアジア系の外国人の姿もある。
彼らはメイトたちと一緒になって“DEATH!”“DEATH!”と叫び、
時折歓喜の声を上げては、早くも恍惚とした表情でライブに没頭している。
僕も彼らと同じように声を上げ、首を振り、
キツネサインを掲げてライブに没入した。

 

近くで観る3人の表情はどれもイキイキとしている。
キツネサインを掲げてステージの端まで来たMOAMETALは、
多くの目が自分に向けられていることを自覚しながら、
ちらりと頬に微笑の影を浮かべて躍動している。
ビジョンに映るMOMOMETALも楽しそうだ。
屈託のない笑みを頬に湛えたまま走り回っている。
そんな2人の動向を注視しつつ、
時折会場の隅々にまで鋭い視線を這わせていたSU-METALは、
まさに大物アーティスト然とした佇まい。
落ち着きのある堂々とした振る舞いが印象的だった。

 

すぐ近くではサークルモッシュが発生していたが、
僕はまだそれには参加せず、じっくりとライブ鑑賞した。
終盤になっても、一心不乱に怒涛の“DEATH!DEATH!”コールに没頭。
キツネサインをしたまま腕をクロスさせて“DEATH!DEATH!”と叫ぶ行為は、
やはり何かの宗教の儀式を執り行っているかのようにしか思えないのだが、
そんなことはどうでもいい、楽しければ何でもいいといった具合に僕は何度も飛んだ。
声を張り上げて叫ぶ“DEATH!DEATH!”のコールは天井まで響き、
やがて1曲目の「BABYMETAL DEATH」は終了。
曲が終わるとあちこちから大きな歓声が沸き起こった。

 

続いて「ギミチョコ!!」が始まると、再び大歓声が上がった。
大勢が一斉に体を揺らし始め、横ではすでにモッシュが始まっている。
フロントの3人がキレのあるダンスで観客をリズムに乗せていく。
オーディエンスの動きが活性化され、フロアは段々と熱気を帯びていく。
間奏に入ると、大きなクラップが展開され、
「サマソニー!」、SU-METALが満面の笑みで叫んだ。
「今日は来てくれてありがとう!最後まで楽しんでいってね~!」。
メイトと初見の人たちが一緒になって声を上げ、キツネサインを掲げる。
やがて曲は大盛り上がりのもと終了。
気が付けば上半身は汗だくとなっていた。

 

次に「PA PA YA!!」が始まると、パイロの炎も相まって、ピットの熱気はさらに上昇。
大勢が一斉にタオルを掲げて振り回す。
3人ともが満面の笑みを浮かべ、跳ねるようにして踊る。
心底ライブを楽しんでいるようだった。
僕はタオルを振り回しつつ、声を張り上げて合いの手を入れる。
我を忘れて騒ぐ行為は、どうにも楽しくて仕方がない。

 

曲が終盤に差し掛かるにつれ、フロアの盛り上がりは最高潮に。
SU-METALが何度も“ジャンプ!”“ジャンプ!”と煽るものだから、
勢いは留まることを知らず、ピットはカオスな状態となった。
はしゃぎまわる快活な声は周囲で頻繁に起こり、
“パッパパパヤー!”のコールも次第に大きくなっていった。
終始お祭り状態のまま、やがて同曲は終了。
盛り上がりはすでにピークに達している。

 

しかしライブはまだまだここからが本番。
続いて「Distortion」のイントロ部分の演奏がループされると、
巨大なサークルの中で自由に踊り出す若者が続出。
ある者はツーステップを踏み、ある者は側転を決めている。
そして曲が始まると、満を持してウォール・オブ・デスが炸裂。
大勢が笑顔で体をぶつけ合う。
僕はモッシュピットで揉まれながらも、
腹の底から“ギバー!ギバー!”と大声を出した。

 

SU-METALの力強い歌声が場内に響き渡っている。
MOAMETALとMOMOMETALの2人がキレのあるダンスを披露する。
間奏に入ると、SU-METALが再び「サマソニー!」と叫んだ。
そして場内を見渡しながら“全然聞こえないよー”と煽った。
途端に歓声を上げる観客たち。
続けて“大きなサークルが見たい”と指示を出すと、
観客はそれに素直に従うほかなかった。
その後カウントを合図に発生する、巨大なウォール・オブ・デス。
あちらこちらで歓喜の声が上がり、場内は興奮のるつぼと化している。
それからもモッシュは何度も発生し、僕はぐちゃぐちゃになりながらライブを楽しんだ。

 

続けざまに「BxMxC」のイントロが流れてくると、
場内は“オオー”と少しばかりどよめいた。
僕はSU-METALに倣い、ハンドサインで“b”“m”“c”をつくる。
曲が始まると、観客はみな大きく体を揺らし始めた。
誰もが楽曲のリズムに乗っている。
中盤、SU-METALによるフロウが炸裂すると、周囲から歓声が上がった。
それに続く迫力あるドラムのブラストビートに心酔する。
終盤は怒涛の“B! M! C!”コールが爆発。自然と頭が揺れる。
そうして同曲も大盛り上がりのもと終了した。

 

次に「MAYA」が披露されると、僕はすぐに折り畳みヘドバンを始める。
ギター・リフが重く、堪らない。
快楽物質が脳内で溢れる感覚を味わう。
SU-METALが歌い始めると、観客は一斉に手拍子を始めた。
僕もクラップしつつ、彼女の伸びのあるクリアボイスにうっとりしながら聴き入る。
リフが奏でられると、再び気持ちよく折り畳みヘドバンを開始。
そしてSU-METALが歌い始めると、僕はまたステージを凝視する。
それを繰り返しながら、同曲をとことん堪能。
最高に楽しい時間が流れていく。

 

少しの間をおいて「Monochrome」が始まる。
初っ端からドラムの爆音が炸裂。
SU-METALが凛とした表情で情感豊かに歌い出す。
MOAMETALとMOMOMETALのシンクロしたダンスルーティンが美しい。
そして、“オッオッオー、オーオッオオー”の大合唱の後、
間奏に入ると、SU-METALが観客に向かって語りだした。
「この暗い世界を、みんなの光で照らして欲しい」。

 

続けて“Take your phone up!”と訴えると、
観客は一斉にスマホのライトを点けて掲げた。
場内があっという間に幻想的な世界に包まれる。
その光景を笑顔で見つめながら“わー奇麗”と感嘆の声を上げるSU-METAL。
「後ろの方まで光ってるよー!」「一緒に歌ってくれる?」
そして彼女は目を閉じてハミングを繰り返し、
その後を“オッオッオー、オーオッオオー”の大合唱が続いたのだが、
ここでちょっとしたハプニングが発生。
おそらくはSU-METALのアドリブなのだろうが、
SU-METALはMOAMETALに“オッオッオー”と歌わせようとしてマイクを差し出すも、
不意を突かれたMOAMETALは即座には対応できず、笑みを零すのみ。
そして今度は、SU-METALとMOAMETALがMOMOMETALの元へ駆けていき、
同じくマイクを差し出して歌わせようとするも、
MOMOMETALもまた2人が突然横に来たものだから驚いた表情をしただけで、
2人にマイクで歌わせようとする、SU-METALの思惑は残念ながら外れてしまった。
それでも、一連の3人のはしゃぐ行為は眼福で、
僕は目じりを下げて彼女たちのはしゃぐ姿を見守り続けた。

 

最後に“オッオッオー、オーオッオオー”の大合唱で締めて、
一体感を味わえた「Monochrome」は終了。
その後は神バンドのソロ・プレイが始まった。
奏でているのは、新曲「メタり!! (feat. Tom Morello)」のイントロの部分。
ややあってSU-METALが登場すると、
「ここから後半戦。まだまだ盛り上がっていくよー!」と観客を煽った。
「レイズ ユア ハンド!」
一斉に手を上げ、前後に揺らし始める観客たち。
大勢が裏拍のリズムで“ハッ!”“ハッ!”と声を張り上げている。

 

曲が進むにつれ、ピットはより賑やかになっていった。
“わっしょい!”“わっしょい!”のコールが場内に響いている。
リズムよく“ハッ!”“ハッ!”と声を張る観客たち。
そして、SU-METALが観客を座らせた後に始まった、
MOMOMETALによる口上シーンは一見の価値あり。
“メタり”“メタり”と見得を切った後は、
“Are you ready?”とグロウルが炸裂した。
その後は“どっこいしょ!”“わっしょい!”の大コールが連続で発生。
大勢が手を挙げて、あらん限りの声を出している。
場内はまさにお祭りといった具合に、狂喜乱舞の有様だ。
僕も一心不乱に踊り狂い、楽曲のリズムをとことん堪能した。

 

「メギツネ」のイントロが流れ出すと、再び大きな歓声が沸いた。
ピットにはサークルができ、その中ではローイングモッシュが発生していた。
曲が始まると、“ソレッ!”の掛け声に合わせて無数の腕が眼前でうごめいた。
僕もジャンプを繰り返しながら、気持ちよく“ソレッ! ソレッ!”と声を張った。

 

SU-METALの渾身の歌唱が続く。
今宵も完全にこの巨大な空間を支配している。
間奏に入ると、すぐさま手拍子が沸き起こった。
3人が相好を崩しながらステージの前へ移動してくる。
それから、SU-METALがフロアに向かって「ヘイ! サマーソニック!」と叫んだ。
すぐさま大声を張って応える観客たち。
SU-METALは満足げな笑みを浮かべたまま、
「Are you ready to jump?」、さらに観客を煽った。
その後は“ワン! ツー!”のカウントを合図に、恒例のメギツネジャンプが炸裂。
視界には、岩場に激しく打ち付ける大波のように、大量の腕がうごめいている。
そうして場内は前曲の「メタり!! (feat. Tom Morello)」同様、お祭り騒ぎと化し、
終始大盛り上がりのもと、同曲は終了したのだった。

 

この2曲のコンボの破壊力はすさまじかった。
場内は完全にお祭り会場と化している。
続いて「ヘドバンギャー!!」が披露されると、
僕はすぐに“ヴォイ!”と叫び、気持ちよくヘドバンを繰り返した。
SU-METALの気合の乗った歌唱が心地よく耳に響く。
“こいや!”や“からの”といったコールも大きく場内に響いている。

 

間奏に入ると、僕はその場で土下座ヘドバンに興じる。
周囲でも同じように”ドゲバン”をしている人は多かった。
ビジョンに移る、微動だにしないSU-METALのクールな佇まいは、
まさにロックアーティストそのものの姿。
まるでフレディ・マーキュリーのようだ。
“絵になる”とはまさにこのこと。
その後の “ 消えろ ” の掛け声は大音量。
最後に “ ヘドバンギャー!! ” とシャウトをかまし、やがて同曲は終了した。

 

周囲を見渡すと、恍惚な表情で放心している観客の姿がちらほら目についた。
この巨大なMOUNTAIN STAGEに濃く充満している熱量は一切衰えることなく、
ライブはそのまま「Road of Resistance」へと続いていった。
ほら貝が鳴る中、近くで巨大なサークルが出来上がっていく。
そしてギターオーケストレーションの美しいメロディが響き渡ると、
大勢が“オーオーオーオー”と大合唱。
サークル内では、数人がBABYMETALのタオルやフラッグを掲げている。
フロントの3人がフラッグを持って登場すると、大きな歓声が沸いた。

 

ややあって、今日一番のウォール・オブ・デスが起こる。
僕は嬉々として参加し、サークルモッシュの渦の中へ消えていく。
声を上げて走り回り、周囲の観客と何度もハイタッチを交わす。
この儀式的な行動は何度も経験しているが、毎回清々しい気分になる。
BABYMETALのライブにどっぷり参加しているなという実感が沸々と湧いてくる。

 

SU-METALの力強い歌声が響いている。
首を激しく振りながら、僕は“Is the time!”と叫ぶ。
ドラムのツーバスが堪らない。首の振りはさらに激しくなる。
ツインギターによる演奏に心底酔いしれる。
脳内で快楽物質が何度も弾ける感覚を味わう。
最高に楽しい時間が続く。
“ウォーウォーウォーウォ”のシンガロングでは大声を出し、
そして、直後に起こったサークルモッシュの中央で、
僕は渾身のエアギターをかます。
刹那、痺れるほどの快感を味わったが、
近くにいた2人が、向き合ったままさらにエアギターに興じていたので、
僕は笑顔のままそれを見守った。
確かにこのシーンは、最大のエアギターポイント。
やらない手はない。
同じことを考えている人は他にもまだいるのだろう。

 

大盛り上がりのライブはいよいよ最後の曲である「イジメ、ダメ、ゼッタイ」へ。
冒頭のムービーが始まると、まさにデジャブ。
僕は巨大なサークル、そしてタオルやフラッグを掲げる人たちの姿を再び視界に収める。
それから再度発生する、巨大なウォール・オブ・デス。
観客は疲れ知らずで走り回り、何度も歓喜の声を上げている。

 

僕はサークルの中央で何度もタオルを回し続けながら、
美しいツインギターの演奏に酔いしれた。
SU-METALが力強い歌唱を披露。
MOMOMETALとMOAMETALがステージで溌溂と躍動する。
凄まじいドラムのブラストビートによる轟音が地を這って襲ってくるから、
僕はどうにも堪らなくなって、何度もヘドバンを繰り返した。
それでも合いの手はしっかりと入れ、
周りの人たちと一緒になって何度もダメジャンプを飛んだ。

 

間奏のセリフのシーンで、3人と一緒に親指を立てるのはマスト。
曲が再開すると再びサークルモッシュが巻き起こる。
観客たちが歓喜の声を上げながらぐるぐると走り回る。
終盤のユニゾンでは、あまりに演奏が良すぎて思わず涙を零してしまった。
そして、曲が終わると拍手喝さいの嵐。
指笛や歓声がひっきりなしに上がっている。
鳴りやまない拍手の中、3人は恒例の“ウィーアー”“BABYMETAL”コールへ。
そうして、今宵のライブは大盛り上がりのもと終了した。

 

 

 

 

4.

エンディングムービーが流れる中、僕は急いでクロークへ移動。
混みすぎると帰りが遅くなり、そうなると翌日の仕事がキツくなるので、
なるべく早く会場を後にしたかった。
時刻は21時半になろうとしている。
僕は荷物を受け取ると、ボディシートで体を念入りに拭き、着替えを済ませた。
汗臭くないTシャツは着心地は良かったが、気温や湿度はまだ高かったので、
海浜幕張駅へ向かっている最中にすでに汗だくになったが、
電車の中は冷房が効いていたので、すぐに汗は引いた。
僕は帰りの電車に揺られながら、今日一日を振り返った。

 

まずはMETALVERSEについて。
正直なところ、そんなに期待はしていなかったので、
その分、彼女たちのハイクオリティなライブパフォーマンスに大きな衝撃を受けた。
ヴォーカルも、ダンスルーティーンも、そしてゴリゴリの楽曲も、
どれをとっても大好きなものばかりだったので、
甘く見ていてすみませんでしたとひれ伏すほかなかった。
そもそも、あの爆音でも声が埋もれることがないのは単純にすごい。
24日に渋谷のSpotify O-EASTでのライブを観に行く予定だが、
次は心の準備をしたうえで、爆音を浴びながら、
彼女たちのパフォーマンスをしっかりと目に焼き付けたいと思う。

 

MOUNTAIN STAGEのトリを務めたBABYMETALのライブを振り返る。
昨日今日と披露された「メタり!! (feat. Tom Morello)」は、
今後ライブで育っていき、必須のアッパー・チューンとなっていくのだろう。
コールや合いの手が完ぺきにハマれば、さらに盛り上がること間違いなし。
「PA PA YA!!」や「メギツネ」と同様に、ワンマンライブやフェスとか関係なく、
今後はセットリストに必ず入るようになるのではないだろうか。

 

ライブ全体についてだが、僕はからはもう何も言うことはなし。
ライブバンドのBABYMETALは、長年世界でもまれてきた経験があるので、
今宵もベテランのような貫禄のステージングを披露した。
盛り上げるところは盛り上げ、魅せるところは魅せる、
メリハリの効いた、傑出のライブパフォーマンスだった。
また、本人たちがライブを心底楽しんでいる様子が直に伝わってくるので、
それが観客たちの大きな熱狂を生み出していたように思う。
やはりライブは、演者と観客とが、息の合った掛け合い、
阿吽の呼吸で進行していってこそ、素晴らしいものになるのだなと改めて感じた。

 

 

 

先週末のRISING SUN FESTIVAL、それから中3日でのZepp HANEDAの単独ライブ。
そしてそれから中2日でのサマソニ大阪、翌日のサマソニ東京と、
この1週間強で、久々にBABYMETALのライブをとことん堪能することができた。
BABYMETALのライブ観戦はこれでしばらくはなくなるが、
あまりロスに陥ることはないように思う。
それだけ充実した1週間だったし、10月末と11月頭には、
大好きなBring Me the Horizonと合わせて、すぐにまたライブを観ることができる。
こんなに充実して幸せに感じる年は、コロナがあったせいで、実に久しぶりだ。
僕は口元に笑みを湛えたまま電車に揺られ続けた。
脳裏には、楽しかったこの1週間の記憶の断片がひっきりなしに飛来している。

 

 

 

 

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2 件のコメント

  • TERI さん。相変わらずフットワークが軽いですね。Zepp Hanedaからサマーソニック大阪から千葉ですか。さらにはMETALVERSEへのライブも参加されているご様子。
    その行動力には感心致します。私はサマーソニックには参加していませんが
    wowowの中継を楽しみにしていました。しかしわずか3曲途中で切られてがっかり無念です。
    わかっていたことですが、やっぱり現地に行かないと感動は得られないということですね。

  • >ひろさん
    コメントありがとうございます。
    ベビメタのライブは、国内で見れるのはなるべく見に行くスタンスなので、
    結構スケジュールはタイトでしたけど、その分楽しめたので良かったです~
    サマソニの生中継は、いつも中途半端ですよね。
    最高で4曲やったどうかという記憶が。

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