BABYMETAL 武道館公演 DOOMSDAY-Ⅶ ライブレポート

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1.

1月と2月に開催された武道館6公演、“DOOMSDAY-Ⅰ~Ⅵ”同様、
緊急事態宣言が発出されている中で行われる『10 BABYMETAL BUDOKAN』。
当初は3月7日で解除される予定だった緊急事態宣言だが、
感染者数の下げ止まりが続き、結果、3月21日まで期間は延長された。
それによりテレワークも継続したため、本公演への参加も迷ったものの、
出勤日を調整することで行くことに。
明日16日の公演は最初から観に行くことが無理だったので、
今日の公演だけは観に行こうと早めに決断したのだった。

 

会社を早退したのち、いざ武道館へ。
九段下の駅を出て黙々と坂道を上る。
先月のライブで観た景色がぼんやりと脳裏に浮かぶ。
DOOMSDAY-Ⅳで披露された「From Dusk Till Dawn」の幻想的な世界に心奪われ、
また、DOOMSDAY-Ⅵで目にした冒頭のオープニング、
「BABYMETAL DEATH」をアレンジした新曲は破壊力抜群で度肝を抜かれた。
演出面に工夫が見られた「おねだり大作戦」と「紅月-アカツキ-」も最高だった。
そしておそらく今夜の公演では、また別の曲が驚きの演出をもって披露されるだろう。
そう思うと自然と胸が高まっていった。

 

 

 

田安門を抜け、やがて会場に到着。
ぐるりと周り、入場口Bに進む。
ドレスコードのSavior Maskを着用して手荷物検査を受ける。
館内に入り、所定の席に移動する。
今日の席は西2FのD列だが、最前列がBなので、実質“並”チケットの最前。
めったにない幸運に恵まれ、嬉しい限り。
眼前に360°スクリーンとラインアレイスピーカーがあり、
視線を落とすと巨大な八角形のセンターステージの全貌を間近で捉えることができる。
ステージを立体的に俯瞰して観る景色は間違いなく素晴らしいことだろう。
少しだけ気持ちが逸ると、僕はマスクの下で笑みを溢した。

 

今宵もSEでBring Me The Horizonの曲が連続で流れている。
聴いているだけで自然とテンションが上がってくる。
ステージの外側の通路にドラム缶のようなセットがあるので、
今夜の一発目はまたあの曲になるのだろう。
果たして開演時刻となり、不意に暗転。
刹那、館内は割れんばかり拍手に包まれた。
僕も手を叩きながら、刮目してスクリーンを眺める。
今回で『10 BABYMETAL BUDOKAN』は4回目の観覧だが、
ライブに対する期待値は今夜も高いし、むしろ益々上がっている。
いつだってBABYMETALのライブは最新が最強――。
毎回気持ちが昂るのは、身をもってそれを知っているからにほかならなかった。

 

 

 

 

2.

セットリスト

01. IN THE NAME OF
02. Distortion
03. PA PA YA!!
04. ギミチョコ!!
05. ド・キ・ド・キ☆モーニング
06. BxMxC
07. Brand New Day
08. メギツネ
09. KARATE
10. ヘドバンギャー!!
11. Road of Resistance
-ENCORE-
12. THE ONE
13. イジメ、ダメ、ゼッタイ

 

ややあって、骨タイツ姿のKOBAMETALがビジョンに映し出される。
その後のムービーの内容は前回と同じ。
途中に手拍子や足踏み、そしてウェーブヘドバンのデモが行われた。
「IN THE NAME OF」の前奏が始まると、今宵もまた点火の儀式が。
黒装束姿の8人がドラム缶のようなセットに揃って点火を行う。
黄金の衣装を身に纏ったフロントの3人が杖を掲げると大きな拍手が沸き起こった。
楽曲が激しくなるにつれ、ドラム缶から吹き出る火花も高く噴き上がる。
儀式のようなオープニングに見入っていると、僕はすぐさま非日常の世界へ。
光と映像の演出に誘われ、自然とリズムに同化して体を揺らす。
轟音が全身を覆う度に一種の快感を覚える。
没入しているせいだろう、頭や目から下を黄金の頭巾で覆っている3人は、
クレオパトラよろしく、まるで古代エジプトの女王のように瞳に映った。

 

続いては「Distortion」。
センターステージの真ん中がせり上がった状態でスタートする。
SU-METALの伸びやかな歌唱が館内に響き渡る。
見応えがあるから、MOAMETALと岡崎百々子のキレのあるダンスに自然と目がいく。
パイロから吹き出す炎が熱い。
今夜も光と映像の演出は圧巻。瞬きするのが憚られる。
間奏に入るとSU-METALが嬉々として叫んだ。“Welcome to 10 BABYMETAL BUDOKAN!”
僕は大きく体を揺らし、何度も内心で“Wow Wow Wow Wow”と叫んだ。

 

“Are you ready?”
SU-METALの掛け声を合図に、次曲「PA PA YA!!」が始まる。
さらに彼女は冒頭から“Jump! Jump! Jump! Jump!”と観客を煽った。
大勢がタオルを振り回している絵は壮観。
僕も愉快な気分でタオルを回し続ける。
リズムは違うが、「Distortion」からの畳みかけで館内は早くも興奮の坩堝。
館内全体の熱量が高まっているのは、パイロの炎のせいだけではないだろう。
気が付けばすでにTシャツは汗ばんでいる。
発声していないのに随分と喉が渇く。

 

曲が終わると、館内には録音された“BABYMETAL”コールが発生。
少しの間を置いて「ギミチョコ!!」が始まった。
ここでようやく、西側を向いた状態で曲がスタート。
3人ともが笑みを浮かべて楽し気に踊る。
間奏でも3人は笑顔で観客にクラップを要求。
SU-METALが“武道館!”と声を張る。“みんなー、ちゃんと見えてるよー!”
ライヴをすることが心底愉しいのだろう。
3人は何度も笑顔でアイコンタクトをしている。

 

続けざまに「ド・キ・ド・キ☆モーニング」が始まる。
ステージには魔法陣の絵柄が映し出されている。
フリコピをしている人は多かったが、
僕はただただ笑みを浮かべてステージを凝視した。
録音された“今何時”のコールが大きく館内に響く。
観客による手拍子も大きく響いている。
ここでも3人は楽し気に歌って踊っている。
僕がずっと笑顔でいるのは、彼女たちのそんな様子に感化されている側面もあった。

 

曲が終わると、スクリーンに映像が流れ始めた。
そこに映し出されたのは、見覚えのある“天下一メタル武道会”の文字。
MVでお馴染みの映像だった。
次に披露されたのはそう、BABYMETALの新機軸「BxMxC」だ。

 

冒頭の“B! M! C!”コールから館内の空気は一変。
レーザー光線による演出もクールで、楽曲が持つ世界観に観客を一気に誘う。
やがてSU-METALが渾身のラップを披露。
ライミングのセンスはすっかり板についてきている。
途中のフロウは思わず鳥肌が立つほどの素晴らしさ。
直後の轟音の波が全身を襲うと再び快感を覚える。
終盤の“B! M! C!コール”では、3人は会場を圧倒的に支配していた。
曲が終わった後の拍手は長い間続いた。

 

大声で“B! M! C!”と叫べないのがもどかしい。
それでも存分に満足し、しばらくは余韻に浸る。
やがて披露された次なる曲は、昨年の1月以来となる「Brand New Day」。
軽やかな前奏が始まると館内は水を打ったように静まり返った。

 

曲が始まった途端、僕はすぐに魅了される。
ライティングとスモークによる演出が神がかっていたからだ。
あるときは宇宙空間、あるときは火星のような真っ赤な世界、
あるときは緑色の草原、またあるときは雲海に浮かんでのパフォーマンス。
MOAMETALと岡崎百々子のダンスは妖艶かつエレガントで、
しなやかな動きに何度も魅了された。
また、エモーショナルなギターサウンドが胸を打った。
そしてなにより、極上のSU-METALの大人びた歌唱に何度も心奪われた。
僕は涙を浮かべながら、集中して耳を澄まし続けた。

 

曲が終わると、大いなる感動を覚えた。
幕張で観た時よりも近い場所で、それも上から俯瞰して観たからだろう。
この曲は演奏、ダンス、歌、そして光や映像の演出をワンセットとしてみるのが最良。
楽曲が持つ芸術的で圧倒的な世界観を、一番良いアングルで見渡すことができた。
1階席からではおそらく、立体的に観ることはできないので、
今回はこの席で観れたことに感謝するほかない。

 

※公式ツイッターより

 

 

ここからはライブ定番の人気曲が続いた。
「メギツネ」では今回もヘドバンに夢中になり、
何度も手を上げては内心で“ソレッ! ソレッ”と叫んだ。
SU-METALの歌唱は常に安定していて、伸びのある歌声を館内に響かせている。
そして今回上から見ていて初めて気付いたのだが、
“なめたらいかんぜよ”の文字がステージにデカデカと映し出されていた。
間奏ではSU-METALのレクチャーにより、ヘドバンウェーヴを敢行。
ライブは熱を帯びたまま「KARATE」へと続いていった。

 

白と黒を基調としたライティングが大層美しい。
グルーヴィなサウンドに否応なく上体が揺れる。
サビに向かう展開は今回も見事で、
開放感と共にヘヴィな楽曲、SU-METALの渾身の歌唱に酔いしれた。
間奏に入ると、「メギツネ」の冒頭の時と同じように、
スクリーンに過去のライブ映像が流れ始めたのだが、
それはより、エモい空気を生んだ。
MOAMETALと岡崎百々子が向かい合っているシーンでは、
ウインクをしているMOAMETALの表情がスクリーンに映った。
そして、SU-METALが2人を起こす場面に今回も胸が熱くなった。
最後の彼女のロングトーンはどこまでも気持ちよく伸びていった。
曲が終わると大きな拍手が沸き起こった。

 

続く曲は「ヘドバンギャー!!」。
SU-METALのパワフルで伸びのある歌声が響く。
僕は小刻みにヘドバンしながら“ヴォイ!”と拳を突き上げる。
間奏に入ると、3人ともが観客に向かって折り畳みヘドバンを煽る。
ここでのライティングによる演出も秀逸。
赤、青、白と、目まぐるしく景色の色が変わる。
僕は終始ノリノリになって同曲を楽しんだ。
曲が終わると録音された歓声が館内に大きく響き渡った。

 

 

※公式ツイッターより

 

そして本編最後は、アンセム「Road of Resistance」。
録音された“wow wow”のシンガロングが館内に鳴り響く。
SU-METALが様式美的にWODを煽る仕草をするが、最初は南、次に北に向かって行った。
曲が始まると、巨大なパイロの炎が何度も噴出した。
ドラムのブラストビートが凄まじい。
中盤のピロピロで僕は久々にエアギターをかます。
途中のシンガロングのパートでは、「BABYMETALは結成10周年を迎えました」、
SU-METALがまた挨拶をした。「皆さんのおかげです。本当にありがとうございます」。
その言葉を聞いた瞬間、熱い感情の波に襲われた。
コロナ禍で自由にライブができない彼女の苦しい胸の裡、
そしてまたこうしてライブができる喜びが感じ取れて、胸が熱くなった。
僕は目尻に涙を溜めたまま、深いお辞儀をするSU-METALとMOAMETALに視線を送る。
その間、サポートダンサーの岡崎百々子は、今回も笑顔で何度も観客を煽っていた。

 

その後は少しの時間をおいて、アンコールが始まった。
降下していたスクリーンの中から、黄金のマントを纏った3人が現われた。
曲は「THE ONE」。
テクニカルなギター演奏に続き、SU-METALがしっとりと歌い始めると、
館内は荘厳だけどもなんとも柔らかい、優しい世界に包まれた。

 

間奏に入ると、3人がキツネサインを掲げながらステージ外の通路を回った。
MOAMETALが途中に何度も足を止めて両手を振っていたのが印象的だった。
岡崎百々子も観客に向かって笑顔を振りまいている。
そしてSU-METALはというと、2人以上に満面の笑みを浮かべていた。
本当に歌うこと、ライブをすることが楽しくて仕方がない、
そんな濁りの一切ない純粋無垢な笑顔を振りまいている。

 

そしてラストは「イジメ、ダメ、ゼッタイ」。
映像に合わせ、SU-METALによる英語のナレーションが館内に流れる。
“ルルルー”と歌い出す彼女は憂いを帯びた表情をしていて、一瞬ドキッとする。
そしてシャウトに合わせ、駆け出していくMOAMETALと岡崎百々子。
パイロの炎が何度も噴出し、文字通りライブを熱く演出している。

 

メロスピの疾走感が堪らない。
僕はふわふたとした心境でダメジャンプを繰り返す。
ドラムのリズムが最高だ。
自然とヘドバンせずにはいられない。
間奏のセリフは、やはり岡崎百々子の声も含まれているように感じた。
気のせいなのかもしれないが。
やがてライブはクライマックスへ。
ツイン・ギターの音色をギュッと噛み締めるように味わい、
ユニゾンではおもいきりヘドバンをする。
「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の曲構成、曲展開は素晴らしいから、
最後はいつだって感無量といった心境に陥る。
そして、恒例の“We are BABYMETAL!”コールでライブを締める3人。
銅鑼の模様はMETAL RESISTANCE第7章“DARK SIDE”の絵柄だった。

 

 

 

 

3.

 

順に退場するため、少し待たされた後、会場の外に出る。
今宵のライブも心底楽しかった。
毎回楽しめるのは、やはりライブエンターテイメントの質だろう。
九段下の駅に向かいながら、今夜のライブを振り返る。

 

まず、今夜のライブで一番良かったと思えたのは、自分が観た位置。
1回目は2階席の真ん中やや後ろ、2回目は1階席後方、
そして前回の3回目は1階席の前方で観て、ライブの全体を把握したつもりでいたが、
それはあくまでも平面で観た視点に過ぎなかったと思い知った。
今回は2階席のほぼ最前だったから、立体的にステージ全体を見ることができ、
前回以上にライブの全体像を掴むことができた。
1階席よりもキャストとの距離が若干遠くなるのは仕方がない。

 

そして全体を近い距離で俯瞰して観て、改めて素晴らしいと思ったのは、
照明やスモーク、パイロの炎を駆使した、立体空間の演出。
とりわけ何種類もの光に変わるレーザー光線はとても効果的で、
楽曲ごとの世界観を神秘的に極上に演出していた。
BABYMETALのライブはフロアが一番盛り上がるのだろうが、
こうやってスタンド席から眺める景色も壮観で、いろいろな楽しみ方ができるのも
BABYMETALのライブの魅力の一つだと改めて思い知った。

 

前回は、目線の高さでずっと見ていたから、
3人はまるで立体的な丸い空間の中でパフォーマンスしているように見受けられた。
だけど今回は、斜め上から見下ろすように俯瞰して観たので、
3人がいるセンターステージと、その周りに降り注ぐようなライティングを、
1つの大きな立体的な空間と捉えて見ることができた。
伝わりにくいかもしれないが、常にスポットライトを浴びている立体的な空間の中央で
堂々とパフォーマンスしているように見に映った。

 

また、3人は、今まで以上にキラキラと輝いていたようにも感じた。
1ヵ月ぶりのライブを待ちわびていたから、なのかもしれない。
とにかくライブ中、悦びが全身から溢れていた。
神バンドの演奏は今宵もタイトで、ソリッドなメタルサウンドを奏でていた。
今回はISAO神が一番近かったので、時折視線を向けて彼のテクニカルな演奏を堪能した。

 

今回の『10 BABYMETAL BUDOKAN』で初めて演奏された2曲も素晴らしかった。
「BxMxC」のサウンドは強力で、
ステージにリリックが大きく映し出される演出も良かった。
また、「Brand New Day」をパフォーマンスしている際、
この曲のときだけ、上空のスクリーンに一切映像は映らなかったのだが、
それがかえって、レーザー光線による演出を際立たせていた。
目まぐるしく色が変化する景色は幻想的で、楽曲の世界観を美しく彩っていた。

 

 

 

『10 BABYMETAL BUDOKAN』公演は残り3公演。
僕が観に行くのはそのうち1公演のみで、次は1ヵ月後となる。
コロナ禍でテレワークが続き、知れずストレスが溜まって、
気が滅入るような毎日を過ごしている現状では、
BABYMETALのライブを観ることは、言い方は適切ではないかもしれないが、
この上ない息抜き、気分転換、極上のリフレッシュとなる。
とにもかくにも、僕はまた生き返った。
1ヵ月後のライブまで、なんとか頑張っていけそうだ。

 

 

 

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2 件のコメント

  • 武道館公演 DOOMSDAY-Ⅶ ライブレポートありがとうございました。
    私は2019年11月の大阪城ホール以来ライブに行けておりませんので
    とてもうらやましく思います。ディレイビューイングや配信などでは
    見てはいますがやっぱりライブですよね。
    今回、Brand New Dayの演出が素晴らしいと誰もが言っていますが
    大阪城ホールのStarlightの時もスモークとレーザーの織り成す
    オーロラの海を漂いながら歌っている幻想的な光景が忘れられません。
    (わかっていただけますでしょうか?)
    今回の武道館はもっとスケールの大きなものだったのでしょう。
    意外と2階席の方が演出が良く見えてよかったりすることもあるんですよね。

    あるyoutuberの方がBABYMETALのライブを見た後
    今後、他のアーチストのライブは同じような感動ができるのかどうか
    分からないと言っていましたが全く同感です。

  • >ひろさん
    コメントありがとうございます。
    コロナ禍でライブに行けない方が多いので、早く状況がよくなるのを祈るばかりです。
    今回はBrand New Dayの演出が素晴らしかったですが、楽曲ごとの演出が凝っているので、
    確かにスタンドから俯瞰して立体的に観た方が良いでしょうね。
    1Fの前で観ると近いから感動しますけど、どうしても平面でしか捉えられないので。
    Starlightののスモークとレーザーは毎回すごいですよね。大阪城ホール、よく覚えています。
    確か初日がレーザーが低くて、観客が万歳して光を遮ったりしたので、
    2日前は少し上になっていましたね。
    世界観は最高でした。

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