BABYMETAL 武道館公演 DOOMSDAY-Ⅳ ライブレポート

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1.

新型コロナウイルスの対策として1月8日に発出された緊急事態宣言。
当初の期間は2月7日までだったものの、大方の予想どおり、
栃木県を除く10都府県は3月7日まで期間が延長された。
そのため、イベントは未だ5000人以下、かつ収容定員の50%以内の
参加人数に制限され、営業時間は20時までのまま。
そのような状況下で開催される『10 BABYMETAL BUDOKAN』DOOMSDAY-Ⅳ公演。
僕は上着のポケットに手を突っ込んだまま北の丸公演の坂道を足早に進んでいく。

 

本来であれば、昨日の火曜に開催されたDOOMSDAY-Ⅲ公演も観に行く予定だった。
そして明後日金曜日のDOOMSDAY-Ⅴにも参加するはずだった。
しかしながら、緊急事態宣言発令中の1月の時と同じように、
仕事など諸々の事情を鑑み、キャンセルせざるを得ない状況となった。
テレワーク中であるがため、平日に都内への移動はどうにも憚られた。
だけどこれも1月の時と同様、1日だけでも観に行きたいという欲望に駆られ、
本日水曜開催のDOOMSDAY-Ⅳ公演のみ、当初の予定どおりに観に行くことにした。
当番制の出勤日を事前に今日に変更し、そして早退していそいそと現地へ赴いた。
先ほどまで仕事をしていたせいか、気持ちの切り替えはまだできていなかったが、
田安門を抜け、大きな玉ねぎを視界に捉えると、気分は次第に高揚していった。

 

 

 

果たして会場に到着。
そのまま入場口Aに進む。
ドレスコードのSavior Maskを着用して手荷物検査を通過。
館内に入り、所定の東の1階後方席に着席する。
眼前には八角形の形をしたセンターステージがフロア一面に設営されている。
そしてなんとかステージの真上に、360度のスクリーンがあるのを確認。
その上にはラインアレイスピーカーが吊られているはずだが、ここからは見えない。
僕は視線を戻し、ゆっくりと館内を見渡していく。
1ヵ月前に2階で見たのとは違う景色。近い分、ステージが大きく見える。
それにしても、武道館の広いフロア一面を贅沢に使用したこのステージは壮観。
1階席も2階席も、全ての客席がより近くなっているので、
これは最高レベルのセンターステージ型と言えよう。

 

今回も隣の人とは一席空いているので十分なスペースがあった。
SEで今宵もBring Me The Horizonの曲が流れている。
自然と頭を揺らし、マスクをしたまま歌詞を口ずさむ。
ふと昨日のTLを思い出し、僕は口ずさむのをぴたりと止める。
前日のライブでは、遂に「From Dusk Till Dawn」が国内で初披露されたのだった。
不意に2017年6月の記憶が蘇る。
ロサンゼルスのパラディウム公演で一度だけ披露した「From Dusk Till Dawn」。
曲を通しての神秘的な空間・雰囲気、大人びたダンス、
そしてSU-METALの突き抜けるようなロングトーンは今も鮮明に覚えている。
果たして今夜の公演でも「From Dusk Till Dawn」は披露されるのだろうか――。
僕は大きく息を吸い込み、期待に胸を膨らませてその時が来るのを静かに待ち続けた。

 

 

 

 

2.

セットリスト

01. IN THE NAME OF
02. Distortion
03. PA PA YA!!
04. ギミチョコ!!
05. ド・キ・ド・キ☆モーニング
06. シンコペーション
07. メギツネ
08. KARATE
09. From Dusk Till Dawn
10. ヘドバンギャー!!
11. Road of Resistance
-ENCORE-
12. THE ONE
13. イジメ、ダメ、ゼッタイ

 

やがて定刻となり、客電が落ちると、場内は大きな拍手に包まれた。
ややあってビジョンに骨タイツ姿のKOBAMETALが映る。「キッツネッだお~」
その後冒頭のムービーが始まるが、1月の時と内容が少し違っていた。
観客への説明として、録音された歓声や拍手の音が何度か流れる。
ムービーが終わると、火を灯したトーチを手にした黒装束姿の8人が通路を移動し、
所定の位置にて点火の儀式を行った。
炎や火花が飛び散る中、1曲目の「IN THE NAME OF」が始まる。
僕はその場で立ち上がり、食い入るようにステージを見つめる。
左手前にいるギターの神はおそらく大村神。
右手前では青山神が軽快なリズムでドラムを叩いている。
位置的に、ベースの神ともう一人のギターの神の姿は遠目にしか見えない。
それにしてもサウンドが今宵もヘビィだ。

 

続いて2曲目の「Distortion」が始まる。
イントロが始まるだけでテンションが一気に上がる。
僕は小さくヘドバンを繰り返しながら内心で「Give up!Give up!」と叫ぶ。
SU-METALの張りのある歌声が激しく心を揺さぶる。
MOAMETALと岡崎百々子のダンスは今夜もキレッキレだ。
神バンドの演奏は今宵もタイト。ずっと耳が幸せ。
間奏でSU-METALが嬉々として叫ぶ。「Welcome to 10 BABYMETAL BUDOKAN!」
僕の体は終始ノリノリ。ライブに100%没頭している。

 

続けざまに「PA PA YA!!」が披露される。
僕は引き続きノリノリの状態でタオルを振り回す。
録音された歓声が時々挟まれるので、かなり盛り上がっているような印象を受ける。
1階席なので炎の熱を直に感じる。
SU-METALの張りのある歌声が館内に響く。
声量は1月の時よりも上がっているように感じられた。
やがて曲が終わると館内には録音されたBABYMETALコールが流れた。
僕はそれに合わせて手拍子を繰り返す。

 

続いては「ギミチョコ!!」。
ステージの真ん中で3人がキレキレでダンスを踊る。
前半は後ろ姿、後半は正面でのパフォーマンスを見たが、改めて3人のシンクロ具合、
それと激しいのに美しく、きめ細かいダンスであることに気付かされる。
他に感じたのは、3人の余裕度。
互いに目配せをし、笑顔で心底楽しそうにパフォーマンスしている。
間奏でSU-METALが「武道館!後ろもちゃーんと見えてるよー!」と声を上げると、
観客は嬉々として大きく拍手をしたり、キツネサインを大きく掲げたりした。

 

続けざまに「ド・キ・ド・キ☆モーニング」が始まる。
陽気な始まりから一転、ヘビーなサウンドに思わず笑みが零れる。
ここでも3人のステージングに目がいった。
可愛らしいメロディと振り付けのデビュー曲だが、今見ても新鮮に見える。
見せ方やパフォーマンスが成熟しているからだろうか。
次曲「シンコペーション」でも似たような感覚に陥る。
何度も見たことがあるのに、その完成されたパフォーマンスに終始圧倒された。
可愛い振り付けの前曲とのギャップも良い。ダンスはとことんクールだ。
多くの照明によるライティング演出も彼女たちの完璧なパフォーマンスを彩っている。
転調後のアウトロ、泣きのギターサウンドが骨身に染みる。

 

続く「メギツネ」では終始ヘドバンを続ける。
内心で“ソレッ!ソレツ!”と叫びながら何度も手を上げる。
掛け声や歓声は録音されたものだが、眼前に広がる光景は、
いつもの単独ライブと変わらない。大きく揺れる無数の手が視界を覆っている。
間奏に入ると、SU-METALが観客にウェーブを促した。
ぐるりと2周、武道館のスタンドでウェーブが起こる。
2016年のサマソニ大阪だったか、「Catch me if you can」か「KARATE」の間奏でも、
3人に促されてウェーブをやった記憶があるが、それ以来だろうか。
とにかく楽しいライブは佳境へと入っていく。

 

続いて披露されたのは「KARATE」。
黒と白を基調にしたライティングが美しい。
SU-METALの力強い歌声が館内に響く。
3人の研ぎ澄まされたダンスルーティンが見る者に勇気を与える。
間奏に入り、SU-METALが2人を助け起こす。
開放感と共に訪れるサビの部分では、一瞬の火花と共に一気に照明が明るくなり、
エモーショナルな曲展開をさらにエモく演出した。
僕は目に涙を溜めながら、最後のロングトーンに酔いしれた。

 

そして次の曲は、ずっと披露されるのを願っていた「From Dusk Till Dawn」。
無数のライトとスモークが、武道館のフロア全部がステージのように演出する。
そしてその中央に、3人が広い雲海に浮かぶようにして現れる。
その瞬間、僕は鳥肌を覚え、刮目してステージを凝視した。

 

 

※公式ツイッターより

 

2016年6月に、ロサンゼルスでの公演でこの曲を見たことはあったが、
その時とはまるで別物の曲であるように感じられた。
それは言うまでもなく、この館内全てを覆い尽くす、光とスモークによる演出。
スローな曲調に合わせて3人が雲海の上をゆらゆらと動いていく様は幻想的で、
SU-METALが「In the air!」と突き抜けるように歌えば、それが琴線を刺激した。
僕はまた目に涙を溜めたまま、この神秘的な世界観に没入する。
途中の台詞は新しく録り直しているのかもしれない。確証はないが。
ブレイクダウンは快感の一言。脳内にドーパミンが溢れる。
そして後半部分のライティングは、まるで宇宙を表しているかのようで、
神秘的に光り輝く銀河の中でパフォーマンスする3人に否応なく惹き込まれた。
BABYMETALの曲ごとの緻密にプログラムされた演出は本当に素晴らしい。称賛に値する

 

大いなる余韻に浸る中、続いて「ヘドバンギャー!!」が始まる。
不穏なイントロが始まると、観客は前のめりになった。
先月は普通のマイクだったが、今回SU-METALはいつものスタンドマイクを手にしている。
録音された掛け声の「ヴォイ!」が館内に響く。
SU-METALが歌う、小気味よいピッチが心地よい。
自然と頭が揺れる。
僕は終始リズムに乗り、ライブをとことん楽しむ。
「キ・エ・ロ!」の掛け声も録音だが、ここにいる観客が叫んでいるようだ。

 

続いて披露されたのは「Road of Resistance」。
3人がフラッグを手に凛とした姿で登場する。
序盤、それと途中のシンガロングも録音だったが、
ライブの臨場感を効果的に生んでいる。
間奏に入ると、SU-METALは北側へ移動し、
「ライブができることって、本当に幸せなんだなって、改めて感じてます。
みなさん、今日は来てくれてありがとう!」と叫ぶと、その場で深々とお辞儀をした。
南東方面では同じようにMOAMETALも深々とお辞儀をしている。
そんな彼女たちの健気な姿を眺めていると、また目頭が熱くなった。
疾走感あふれる曲が終わると場内は大きな拍手に包まれた。

 

しばしの“BABYMETALコール”の後、アンコールが始まる。
曲は「THE ONE」。
金と黒のローブ姿の3人が、降下していた円形のスクリーンの中から登場する。
SU-METALが美しく歌い上げると、僕はうっとりとして聴き惚れる。
笑みを浮かべる小柄なMOAMETALが全身で喜びを表現している。
岡崎百々子もまた、何度も観客に向かって笑顔を振りまいている。
ずっと聴き入っているうちに、やがて同曲は終了。
「THE ONE」後半の曲展開はいつだって僕を心地よい気分にさせてくれる。
夢見心地でこのまま昇天してしまいそうになるほどに。

 

そして最後は「イジメ、ダメ、ゼッタイ」。
集中していたからだろう、もう終わりなのかとふと思う。
ややあって怒涛のメロディック・スピード・メタルが始まる。
僕は一音も漏らさずに、夢中になってヘドバンを続ける。
SU-METALのパワフルな歌唱が続く。
MOAMETALと岡崎百々子が最後までキレキレなダンスを披露する。
そして曲が終わると恒例のC&Rへ。
北から時計回りで、3人が笑顔でステージの外の通路を一周する。
最後はSU-METALが銅鑼を鳴らして今夜のライブは終了。
こうして大満足のライブは幕を閉じた。

 

※公式ツイッターより

 

 

 

 

3.

 

興奮状態のまま会場の外に出る。
屯しているメイトはほとんどいない。大勢が最寄駅へ向かっている。
僕は彼らの中に混ざり、九段下駅へ向かう。
帰りの電車に揺られながら、終わったばかりの今夜のライブを振り返る。

 

1月は2階席からステージを俯瞰して観たが、
今日は1階席だったので、横からのアングルでステージを見た。
2階席では、ステージ全体の演出を立体的に視界に収めることができたが、
1階席からだと、視点も平面が主で、ステージ上部のスクリーンはほとんど見えず、
ステージの3人は目視するほかないのだが、近いので表情まで見ることができた。
双方ともに長短あるが、両方の客席を体験できたのは単純に良かったと思う。

 

そして近い場所から観て改めて思ったのが、計算されたステージの素晴らしさ。
まるで巨大な3段のケーキのような変幻自在のステージは、四方八方に満遍なく
ライブの熱量を起こし、観客を飽きさせることはなかった。
また、ライブ中は曲ごとに3人は東西南北、いろいろな方向を向いていたのだが、
「KARATE」では、MOAMETALと岡崎百々子は南、SU-METALだけ北を向いて
パフォーマンスする場面もあった。
武道館の形状の特徴をうまく活かした、こういった工夫・努力は嬉しい限りだ。

 

横から見る映像の演出も素晴らしかった。
ステージ上や3段の各ステージ側面にも絶えず映像が流れているので、
視覚だけでも存分に楽しむことができた。
それは映像だけでなく、ライティングにも言えることで、
映像と照明、それとスモークやパイロの炎は、曲ごとの世界観を美しく彩っていた。
これは1月のショウを観た時にも感じたことだが、
360度全方位の観客を楽しませるように緻密にプログラムされていたステージングは、
決して観客にストレスを与えることがなかった。
照明やレーザー光線での美しい演出に僕は何度も魅了された。

 

神バンドの演奏もタイトで素晴らしかった。
そして音響も1月よりよく感じられたのだが、それは階によるのかもしれない。
とりわけヴォーカルはよく聞こえたので、SU-METALの高音ヴォイスを十分堪能できた。
SU-METALの声の調子自体、かなり良いように感じられた。

 

 

 

最後に、1ヵ月ぶりのライブを見ての一番の感想だが、
やはり今回も“生き返った!”、これに尽きる。
今回もモッシュはできず、2重のマスクが口元を圧迫してほとんど声も出せなかったが、
BABYMETALの素晴らしいショウを観覧して、僕の体には生気が蘇った。
テレワーク中は誰かと会話することもなく、
気分転換を図らないと気が滅入る一方なので、
今宵、美しくて壮大なBABYMETALのショウを観たことで随分と心が潤った。
また、曲ごとに違う世界観を、照明やスモーク、その他の演出効果で、
ここまで際立たせて美しく表現していることに改めて気付かされて心から感動した。
久々のライブで、得たものは大きかった。
僕は大いに満たされた気分のまま、次に参加する3日後のライブを迎える。

 

 

 

 

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4 件のコメント

  • ありがとうございます。ライブに行った気になる様な臨場感のあるレポでした。

    東京在住だし、肉体的にスタンディングはキツいので、今回のライブは私の様な老体にはうってつけなんですよねっ。だけど、全く電車やバスに乗らない生活になり、武道館にたどり着く事が怖い!人混みが怖い!のです。

    ここだけ克服出来たら!そろそろ重い腰上げてみようかな。

  • >おばメタルさん
    コメントありがとうございます。
    少しでもライブの様子が伝わったのであればなによりです。
    確かに現在の東京は一番危ない場所ではありますが、マスクをしたまま誰とも会話をせず、
    定期的に手も消毒すれば、十分な感染予防対策になるのではないかと思います。
    ただ危ないことにはかわりはないので、判断は慎重にされたほうがいいでしょうね。

  • いつも楽しく拝読しています。
    まるで武道館にいるような臨場感がひしひしと伝わってきます。とても素人のレポートとは思えません。
    BABYMETALの力が文才に彩りを加えているのでしょう!
    いま武道館、DoomsdayⅤにて開演を待っています。
    今宵のセットリストはいかに?2日ごとに変化を加えていますね!
    10周年おめでとう!そしてありがとう!ともに祝いましょう!

  • >YOSHI-METALさん
    コメントありがとうございます。
    ライブの様子が少しでも伝わったのであれば幸いです。
    セットリストは2回開催ごとに変えてきていますね~
    僕は明日のⅥに行くので楽しみですよ!

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