BABYMETAL サマソニ2023大阪 ライブレポート

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1.

宿泊先のホテルから地下鉄の最寄り駅へ向かう。
天気は曇りだが気温は高い。今日一日、暑くなりそうだ。
中央線を走る電車に乗り込むと、多くの若者と遭遇した。
車内はフェスへ赴く格好をした人たちでごった返している。
ギュウギュウ詰めの状態で車両に揺られていると、
4年前のことが想起された。
あの時もこんな風にフェスより先に満員電車でモッシュの洗礼を浴びたし、
その前にも似たような経験をしたことがあったことをふと思い出した。

 

SUMMER SONIC OSAKAには何度も来ているが、
4年前のSUMMER SONIC 2019のことは今でもよく覚えている。
いつもとはかなり勝手が違ったからだ。
直前の台風の影響でステージの設営が間に合わず、
午前から昼間のアクトのライブは次々とキャンセルになったが、
幸いにもBABYMETALはMOUNTAIN STAGEのトリだったので、
キャンセルにはならずに済んだ。
それでも正式なアナウンスがあるまでは、随分と肝を冷やしたものだった。
ライブ自体は終始、大盛り上がりで進行し、大盛況のもとに幕を閉じた。

 

結局のところ、4年前のサマソニ大阪で観たライブは、
MOUNTAIN STAGEのBABYMETAL、MACHINE GUN KELLY、BRING ME THE HORIZON、
そしてOCEAN STAGEのRED HOT CHILI PEPPERSを含めた4組だけだったが、
振り返ってみると、この上ない豪華な4組だった。
十二分にチケットの元は取れる内容だ。
とはいえ、入場列や物販列で長時間並んだので、
最初にかなり疲弊してしまったことも事実。
今回はそういったアクシデントがないので、だいぶ気分は楽だった。

 

やがて電車はコスモスクエア駅へ到着した。
時刻は8時半をまわったあたり。
駅舎を出ると、蒸すような暑さが全身を襲った。
太陽は雲に隠れているが、湿度が高いので、少し歩くとすぐにTシャツは汗だく。
僕はタオルで額の汗を拭きながら、シャトルバスの停車場へ向かう。
懐かしく感じる景色を眺めていると、少しばかり胸が熱くなった。

 

 

 

 

2.

 

バスの列をザっと眺めると、7割方は若い女性だった。
約30分後、シャトルバスの停車場でチケットとリストバンドを交換する。
その後バスに乗車し、ほどなくして現地に到着。
物販のテントに寄り、フェスTを購入。
BABYMETALのグッズは1週間前のRIGING SUNで購入済みなのでスルー。
まずはFear,and Loathing Las Vegasを観るためにMOUNTAIN STAGEへ移動。
彼らの安定感のあるライブは毎回楽しく、随分と気分が高揚した。

 

 

 

 

次はMASSIVE STAGEへ移動し、新しい学校のリーダーズのライブを観る。
ダンスパフォーマンスが素晴らしいとのことだったが、
あいにくステージが低く、スクリーンもなかったので
残念ながら彼女たちのパフォーマンスはほとんど見えなかった。
その後はOCESA STAGEへ移動し、少しばかりTREASUREのライブを堪能。
ファンを含め、若い人たちのパワーが炸裂した熱いライブだった。

 

 

 

 

昼食を食べたのち、SONIC STAGEへ移動。
MAISIE PETERSと女王蜂のライブを立て続けに観る。
両バンドとも素晴らしいパフォーマンスだったが、
とりわけヴォーカルの立ち振る舞いが2組とも素晴らしかった。
そのままAwwichのライブも観ようかとも思ったが、
念のために、早めにMOUNTAIN STAGEへ移動することに。
そしてINHALER、EVANESCENCEのライブを堪能。
EVANESCENCEのボーカル、エイミー・リーはさすがの圧巻の歌声だった。

 

 

 

いよいよ次はBABYMETALの出番。
陽は沈んでいるのでだいぶ涼しくなってきた。
4年前のMOUNTAIN STAGEでもトリを務めたが、今回も同様にトリ。
そして時間は70分なので、ほぼワンマン・ライブと変わらない。
今宵はいったいどんなステージングで観客を魅了するのだろう。
そして新曲「メタり!!(feat.Tom Morello)」はどう盛り上がるのか。
僕はわくわくしながら、ライブが始まるのを静かに待ち続けたのだった。

 

 

 

 

3.

セットリスト

01. BABYMETAL DEATH
02. ギミチョコ !!
03. PA PA YA!!
04. Distortion
05. B×M×C
06. MAYA
07. Monochome
08. メタり!!(feat.Tom Morello)
09. メギツネ
10. ヘドバンギャー!!
11. Road of Resistance
12. イジメ、ダメ、ゼッタイ

 

一発目の曲はご存じ「BABYMETAL DEATH」。
怒涛の六連符が轟音で暗闇を切り裂いていく。
ただ、下手側のアリーナはまだ人が集まっておらず、
一緒になって“DEATH!”“DEATH!”とコールする人は少ない。
それでも本日最初のウォール・オブ・デス、
そしてその流れからサークルモッシュが発生すると、
メイトと初見の人が一緒くたになって笑顔で走り回った。

 

その後は「ギミチョコ !!」「PA PA YA!!」とアッパーチューンを
畳みかけてきたので、アリーナはあっという間に興奮のるつぼと化した。
他のステージから流れてきたのかもしれない、
主に若者たちが次第に入場してきたのでだいぶ観客は増えていった。
「ギミチョコ !!」では大勢がモッシュに参加し、
「PA PA YA!!」では、これまた大勢の観客が楽し気にタオルを振り回した。
続く「Distortion」では巨大なサークルが発生。
照明が当たる人の顔はみな笑顔に溢れている。
終盤にもモッシュが起こり、陽気な弾む声が周囲に響き渡った。

 

続く「B×M×C」では、多くの人たちが頭を振って楽曲にノッた。
僕も終始リズムにノり、大声で“B!”“M!”“C!”と叫んだ。
BABYMETALのライブを初めて見る人たちも楽しんでいるようだ。
各々自由に手や頭を揺らしている。
続いて披露された「MAYA」では、タイトな演奏とSU-METALの歌唱で観客を魅了。
多くの者がステージを凝視していた。
演奏はヘヴィでタイトなので折り畳みヘドバン不可避。
僕は気持ちよく何度も上体を前方へ折り曲げた。

 

ライティングとダンスが美しい「Monochome」が始まると、
同曲でも多くの者がうっとりした表情でステージを凝視していた。
間奏に入るとSU-METALのMCが始まり、恒例のスマホのライトによる演出が。
スタンドでも多くの光が揺れ、幻想的な世界に包まれている。
MOAMETALとMOMOMETALのダンスルーティンも見事、楽曲に彩を与えている。
メイトと初見の人たちが一緒になって“オッオッオー”とコールしている。

 

少しの間を置いて始まったのが、新曲の「メタり!!(feat.Tom Morello)」。
SU-METALが笑顔で颯爽と現れ、「まだまだ盛り上がっていくよ!」と観客を煽る。
アリーナの前方にいるメイトたちは扇子を揺らし、
ピットでは大勢が輪になって“わっしょい!わっしょい!”と騒いでいる。
その後のMOMOMETALの口上シーンはまさに独壇場。
“メタり!”と見えを切った後は、“アーユーレディ!”のグロウルが響いたが、
ビジョンのアップを観たところでは、デスボイスは音源のようだった。
盛り上がるこの曲は今後のライブでも必須のキラーチューンとなっていくのだろう。

 

「メギツネ」の冒頭には、大勢によるローイングモッシュが発生。
黒Tシャツじゃない初見の人も、笑顔でオールを漕いでいる。
曲が始まれば“それっ!”“それっ!”の大合唱。
多くの者が所狭しと笑顔で騒いでいる。
大勢によるメギツネジャンプも壮観。
大量の腕が押し寄せる波のようにうねりを上げて揺れている。
終盤になっても観客のエネルギーは衰え知らず。
最後まで盛り上がってやがて同曲は終了した。

 

次に披露された曲は「ヘドバンギャー!!」。
不穏なイントロが鳴り響くと場内が沸いた。
ビジョンに映るSU-METALの眼光は鋭く、
クールな表情を崩さずに張りのある声で歌い上げていく。
間奏に入ると、汚れた床などお構いなしに土下座ヘドバンを開始。
最後まで楽曲にノり、何度も“ヴォイ!”と大声で叫んだ。

 

観客たちの熱量は下がることなく、ライブは「Road of Resistance」へ。
SU-METALの合図のもと、巨大なサークルができあがる。
美しいイントロが流れる間、サークル内ではハーコーモッシュをする若い人も。
カウントの後はウォール・オブ・デスが繰り広げられる。
曲中、サークルモッシュは頻繁に発生。
僕は笑顔で走り回る人たちと何度もハイタッチを交わす。
途中のシンガロングの声も大きかった。
大勢がキツネサインや拳を掲げて声を張っている。

 

最後の「イジメ、ダメ、ゼッタイ」も、冒頭から巨大なウォール・オブ・デスが。
メイトとか初見の人とか関係なしに、大勢が笑顔で体をぶつけあっている。
SU-METALの渾身の歌唱が続く。
彼女の伸びのある美しいクリアボイスがどこまでも響く。
間奏のシーンでは、ステージに向かって親指を立てるのはマスト。
その後は再びサークルモッシュで走り回る。
ダメジャンプを何度も飛び、大盛り上がりのもと同曲は終了。
観客が一斉に大きな拍手と歓声で称える。
ライブを終えた3人は満足げな笑みを残し、颯爽とステージを後にしたのだった。

 

 

 

 

4.

 

BABYMETALのライブが終わると、僕は一目散にシャトルバスの停車場に向かった。
なぜならば最終の新幹線に乗車する必要があったからだ。
行きの際は、シャトルバス乗り場からサマソニ会場までは1本道だったが、
帰りの際は、その道が封鎖されていたため、一度OCESA STAGEの手前まで行き、
そこから大きく迂回してバスの停車場に向かう必要があった。
ずっと走っていると、だんだんと息が上がってくる。
ライブでのモッシュやサークルよりも過酷な運動だった。

 

果たしてシャトルバスの乗り場につき、急いでTシャツを着替える。
それからバスに乗車し、一路コスモスクエア駅へ。
帰りのバスに揺られながら、僕は今日一日を振り返る。
真っ先に思ったのが「今年の大阪も暑かった!」だった。
ただ、1週間前のRISING SUN FESTIVALでの教訓を活かし、
事前に日焼け防止に努めていたため、肌に大きなダメージはなかった。
それでも直射日光はえげつなく、途中予定を変更して、
唯一の屋内ステージであるSONIC STAGEへ移動した。
WILLOWの代わりに観たMAISIE PETERSのライブが良かったのは幸いだった。

 

BABYMETALのライブを振り返る。
音響バランスはよく、SU-METALの歌唱は張りがあって凄味があった。
MOAMETALとMOMOMETALも洗練されたパフォーマンスを披露したが、
ただ3人ともに、大量の汗をかきながらのステージングだった。
夜のステージでさえこれだけ過酷なのだから、
昼間のアクトはもっと大変だっただろう。
思えば、BABYMETALの前のEVANESCENCEの時はだいぶ陽も傾いていたが、
それでもバンドメンバーはみな大量の汗を拭きだしながら演奏していた。

 

今夜もソリッドな演奏、類まれな歌唱、美しいシンクロしたダンスと、
貫禄のパフォーマンスを披露したBBAYMETAL。
ボーカルが少しキツそうな箇所があったり、ダンスで若干の乱れがあったのは、
この暑さ所以、致し方なし。問題ない範囲だろう。
そして楽しかったBABYMETALのライブを、2日続けて観ることができる。
東京の会場は屋内の幕張メッセだから、今日よりも格段にライブがやりやすいだろう。
明日のライブを想像すると、すぐにまたワクワクした気持ちになった。
僕は口元に微笑を湛えたまま帰りのバスに揺られ続けた。

 

 

 

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