BABYMETAL AWAKENS – THE SUN ALSO RISES – 横アリ公演初日 ライブレポート

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1.

アマリリスが美しい薄紅色を見せるころ、僕はひとり、新幹線で西へ向かう。
といっても、東京から新横浜までの距離なので、所要時間はほんの20分ほど。
会社を早退できたおかげでなんとか開場前には着きそうだ。
安堵の嘆息を溢しつつ、視線を車窓へ移すと、
流れゆく街並みをぼんやりと眺めながら僕はしばし物思いに耽る。

 

2018年、メタルレジスタンス第7章。
BABYMETALは、激動の中にいた。

 

「キツネ様に選ばれし、DARK SIDEの7人の勇者達“THE CHOSEN SEVEN”が降臨する」
BABYMETALの公式ツイッターがそう表明したのは2018年5月1日のことだった。
以来、「BABYMETAL WORLD TOUR 2018」では、
新衣装に身を包んだSU-METAL、MOAMETALがダンサーを率いる4~7名体制で、
「光」だけではない「闇」の部分をライブ・パフォーマンスで表現した。
そして2017年12月以降、体調不良により休養していたYUIMETALが、
10月19日に正式にBABYMETALから脱退した。
併せて、BABYMETALは、SU-METALとMOAMETALを中心とした新体制へと移行し、
海外アクト2組を招待した国内フェスの開催を経て、
12月にはオーストラリアのフェスへ出演。
ダンサー1名を加えた従来の3名編成でのパフォーマンスは、
BABYMETALの豪州初上陸を心待ちにしていた多くのファンを熱狂の渦に巻き込んだ。

 

 

去年は本当にさまざまなことがあって、自分の中でもいろいろ考えさせられたし、
いろんな感情を持った1年でした。
もっと言うと自分がハタチになったタイミングで「大人とは」ということを考えたし、
BABYMETALに対しても客観的にいろんな見方をすることで、
自分が置かれている状況を見つめ直した1年だったと思います。

 

 

今年4月に発売されたPMCのインタビュー記事内で、
SU-METALがそう総括したように、2018年はBABYMETALにとって本当に激動の年だった。
それはメイトたちにとっても同じで、随分と感情を揺さぶられた一年だった。
しかし、それはもう過ぎ去ったこと。大切なのは未来である。
今日のライブを皮切りに、いよいよメタルレジスタンス第8章がスタートするのである。

 

 

新生BABYMETALを作っていくのはこれからですね。
去年10月のライブは2018年のまとめで、
「これからも進んでいくぞっ!」っていう意味合いが強かったですけど、
似ているようでまた別の意味を持つんだろうなと思っています。
そういう意味でお客さんにも覚悟してもらいたいし、
私たちとしても自分たちの覚悟を見せられたらなって思います。
何があっても、ふたりになっても、BABYMETALは進んでいくんだっていう気持ちです。

 

 

同インタビュー記事の最後に記されていたSU-METALの言葉がふと脳裏をよぎる。
車窓に向けた焦点の定まっていない視線はそのままに、僕はギュッと唇を噛む。
SU-METALがそう言うのならば、こちらもしっかりと覚悟を持って、
今宵のライブに臨むとしよう。
そしてカッと刮目して、2人の覚悟を見届けよう。
口元をフッと緩めると、視線を落とし、空想する。
今宵のライブではどんな趣向で僕たちを楽しませてくれるのだろう。
一度上がった口角は、その後下ろすことをすっかり忘れている。
最寄り駅までの十数分、僕は妄想めいた逡巡を重ねるだけ重ねるのだった。

 

 

 

 

2.

 

やがて新幹線は新横浜駅へ到着した。
僕はいそいそと会場まで移動すると、まずは物販に立ち寄る。
その後はホテルへチェックインし、開場前に再び横浜アリーナへ。
蒸し暑い中、超モッシュピットの待機場所に並ぶも、
場内の作業が終わらないために開場時間が大幅に遅れる。
結局、予定よりも50分遅れで開場となった。
その後は係員の誘導の元、チケットに印字されているAブロックへ向かう。
入場が早かったので最前2列目をキープ。
中央がせり出たメインステージがすぐ目の前にある。

 

 

 

客入れBGM(SE)でメタリカのBatteryが流れてきてテンションが上がる。
続いてBRING ME THE HORIZONの曲が3曲流れてきたのでさらにテンションが上がった。
そのほかには、ANTHRAX、Judas Priest、Iron Maiden、
DragonForce、Dream Theater、Arch Enemyなどの曲が流れている。
アリーナの中央には花道らしきレールがあり、先端にはオブジェが鎮座している。
おそらくはあの場所でもパフォーマンスを披露するのだろう。

 

これはとてつもないショーになるに違いない。
あの伝説の“Legend -S-”をも凌駕するかもしれない。
場内が人で埋まり、喧騒が大きくなるにつれ、
そういった期待感が急速に膨らんだ。
僕は周囲を見渡しながら武者震いをする。
そうして定刻より50分遅れて開演。
SEの音が消え、客電が落ちた瞬間、
会場のあちこちで怒号のような歓声が沸き起こった。
“私たちとしても自分たちの覚悟を見せられたらなって思います”
刹那、SU-METALのセリフが脳裏を過ぎり、鼓動が一気に加速する。
まさに今、新生BABYMETALとしての初のライブの幕が切って落とされる。

 

 

 

 

3.

セットリスト

01.新曲(仮: アルカディア)
02. メギツネ
03. Elevator girl
04. Distortion
05. 新曲(仮: シャンディ)
06. Starlight
07. シンコペーション
08. ヤバッ!
09. PA PA YA!!
10. ギミチョコ !!
11. KARATE
12. THE ONE
13. Road of Resistance

 

左右の2つのスクリーンにオープニング・ムービーが流れ始める。
続いてナレーションが始まるが、今回も染谷歩の声ではなく、
流暢な英語を駆使したSU-METALによるそれだった。
誰もが映像を見ながら、彼女の澄んだ声に聞き耳を立てている。

 

“約10年間の長きに渡る激動の年を経て――”と続き、
メタルの銀河へ旅立つというストーリーが展開される。
やがてメインステージに、仮面を被った3人の女性が現れ、
花道をゆっくりと歩いていった。
その3人は、まさに過去のBABYMETALといったいでたちをしていた。
そうして彼女たちの姿が暗闇に消えると、今度は八面体のオブジェが開き、
人の大きさほどの蝶々を模したアンドロイドのようなものが、
メインステージに向かってゆっくりと羽ばたいていった。
羽の背には、ソニスフィアを始め過去のBABYMETALのライブ映像が映し出されている。

 

そのBABYMETAL特有の様式美的な一連の流れ・光景を、
僕はただ固唾を呑んで見守っている。
毎度のことだが、無意識にショーに入り込んでいる。
その間もナレーションはずっと続いていて、
“この日いずる国から戦いに挑むのだ――”
メインステージ奥のビジョンに文字が浮かび、SU-METALが紹介される。
刹那、スポットライトを浴びたSU-METALが眼前のステージ上に佇む。
髪型はポニーテール。衣装は過去のものをアップグレードしたものだった。
ああ、Light Side の BABYMETAL だ。
グッとくるのを堪えながら、僕は目の前の凛とした姿の歌姫を注視する。

 

次にMOAMETALが紹介され、少し大人びた彼女にスポットライトが当たる。
アイメイクも多少影響はあるのかもしれないが、
それにしても、随分と美しさに磨きがかかっている。
そして背後に3人の女性が現れ、ナレーションによる説明が始まる。
どうも3人のうち誰かが、SU-METAL、MOAMETALと3人のBABYMETALを形成するようだ。
そして誰がその1人になるのかは、公演によって変わるのだという。
なるほど、やはり今後はこういう体制でやっていくのかと得心が行く。

 

“ 首の準備はできているか?”
恒例の煽り文句のあと、いよいよライブがスタートする。
1曲目はどうも新曲のようだ。
それにしても随分とドラムの威勢が良い。
ものすごい勢いでブラストビートが続く。
そうする中、ダンサーとして加わった女性が目の前に現れる。
えっ、鞘師!? うそ。でも、あっ、鞘師里保だ。
彼女の姿を確認した途端、僕はSU-METALに視線を送る。
ASH時代の良きライバルだった2人が、その後それぞれ別々の時を経て、
こうして同じ舞台に立っている姿を目にするのは実に感慨深い。

 

 

※画像:音楽ナタリー(以下同)  Photo by Tsukasa Miyoshi(Showcase)

 

SU-METALの伸びやかな歌唱とドラマティックな曲展開が印象的な新曲が終わると、
すぐさま「メギツネ」が披露される。
移動式のステージがセンターの花道を通り、アリーナ中央へ向かっていく。
彼女たちが離れていったので、僕は正面のビジョンでライブを引き続き堪能する。
神バンドは、それぞれの楽器の特色からISAO神、BOH神、青山神、Leda神のようだ。
ただ今回は白塗りではなく、プレデターのようなキツネの仮面を被っていた。

 

「メギツネ」の爆発力は相変わらず圧倒的だ。
多くが腕を上げて「それっ!」と声を張っている。
そして途中の間奏でSU-METALが「横浜ー!」と叫ぶ。
「みんなー、会いたかったー!」
「最高の日にしようね」
SU-METALが嬉々として叫ぶたびに、メイトたちも大声で応えた。
そのやり取りを、僕は唇を噛み締めながら見守った。
2018年を経た、今のSU-METALの感情が素直に吐露された台詞は否応にも琴線に触れた。

 

その後ライブは「Elevator girl」「Distortion」と続いた。
2曲ともダンスが素晴らしく、3人の姿からはひとときも目が離せなかった。
「Elevator girl」では、ビジョンに映る3人に、
まるでエレベーターに乗っているかのようなエフェクトがかかっていた。
また、SU-METALの声の調子は良さそうで、
「Distortion」の大サビの高音も気持ちよく伸びていた。
そして少しの間を置いてから、再び新曲が披露された。
Perfumeのライブを思わせるような映像がビジョンに映し出された後、
オリエンタルチックな曲調のイントロが流れてくる。

 

曲が始まると、SU-METALが滑らかに歌い始めた。
ビジョンにはインドを彷彿させる映像が流れている。
この曲は、特筆すべきSU-METALの素晴らしい歌唱と
情熱的なダンスを堪能するのがベストなのかもしれない。
曲が終わった後はそういった印象を抱いたが、
今後何度か見るうちに印象も変わるかもしれない。

 

 

 

続いては「Starlight」。
僕は微動だにせずに、眼前の3人の姿を見守る。
まるで何かに吸い込まれるような感覚を覚えながら、SU-METALの歌声に心酔する。
圧倒的な「Starlight」が終わり、指先で目元を拭いながら待っていると、
次に来たのは嬉しいかな「シンコペーション」。
久々にライブで披露されたので、僕はノリノリで同曲を楽しんだ。

 

 

 

それから、軽快なリズムで踊る「ヤバッ!」が終わると、
ついに「PA PA YA!!」がライブで初披露された。
思っていたとおり、この曲はかなりライブ映えする。
途中でゲストのF.HEROが登場し、観客を煽ってからRAPを披露。
まさにお祭りといった感じで進行し、やがて同曲は終了した。
この楽曲は今後もライブ定番のキラー・チューンになりそうだが、
F.HEROが務めるRAPパートがどうなるのかはまだわからない。

 

 

 

その後は定番曲が続く。
「ギミチョコ !!」では大勢がノリノリで踊り、
エモーショナルな「KARATE」ではグルーヴを全身で感じた。
途中の間奏に入ると、目の前で鞘師里保が倒れ込んだが、
しっかりと苦しむ演技を行ったのちに、SU-METALに引っ張り起された。
随分と練習は積んできたんだろうなと思わせるシーンだった。

 

 

 

続く「THE ONE」では、SU-METALがさすがの歌唱を披露。
3人はローブを身に纏わずに、黒いマントを装着していた。
そして最後はアンセム「Road of Resistance」。
歌い踊る3人の姿は観る者を熱くさせた。
感化された僕は何度も大声でコールする。
そうして大盛況のもと、新生BABYMETALの初ライブは終了したのだった。

 

 

 

 

ライブ後のビジョンでは、3rdアルバム「METAL GALAXY」のリリースが発表された。
発売日は10月11日。
そしてそのアルバムを携えたジャパン・ツアーの開催も発表。
11月16日(土)、17日(日)はさいたまスーパーアリーナ、
11月20日(水)、21日(木)は大阪城ホール。
宿泊先のホテルに戻ったらすぐに11月の大阪のホテルを抑えよう。
そう意に決めながら僕は会場を後にした。

 

 

 

 

 

4.

 

3rdアルバム「METAL GALAXY」の予約購入を行ってから外で出る。
会場前には多くの人が顔を輝かせ、今宵のショーの感想を熱く語り合っている。
僕はひとり、微笑を湛えたままホテルへ向かう。
そうして楽しかった今夜のライブを振り返る。

 

まず音響に関してだが、今日はほぼ最前で観ていたのでどうだったのかはわからない。
でもだいぶ良かったようには思う。
次に神バンドだが、今後も仮面のままでいくのだろうか。
白塗りをする手間が省けるのはメリットかもしれないが、
顔出しが一切なくなるのは残念に思う。
衣装も含め、今後の推移を見守りたい。

 

続いてライブそのものの内容についてだが、
正直なところ、どう形容すればいいのか今もわからないでいる。
一言で表すと “昔のBABYMETALがスケールアップして帰ってきた” なのだが、
これではさすがに具体性に欠ける。
ただ確信して言えるのは、今宵観たショーは、
“BABYMETALのライブは心底楽しい”という事実を、
改めて想起させてくれた。それは間違いない。
こんなにも前のめりで我を忘れて純粋に楽しめるライブはそうそうない。

 

 

私はBABYMETALはもっとおもしろいものだと思っているんです。
こんなグループって初めてじゃないですか。
だからこそもっといとんなことができると思うし、
もっといろんな考え方があると思っています。
BABYMETALはメタルというジャンルにおいても王道じゃないというか、
別の場所から来たからこそ唯一無二の存在になったと思っています。
ただ正直、私たちもずっと同じことを続けてきたところがあって、
ある程度形が決まってきていた部分もあったと思うんです。
それをぶち壊したのが去年だし、
多分これからもそういうことを続けていくと思っています。
だったらもっともっとおもしろくしたい。

 

 

PMCのインタビュー記事内で語ったSU-METALの言葉が思い出される。
ああ、そうだよなー、と僕は目に涙を浮かべる。
今日のライブは、過去から未来、先へと歩みを進めていく一歩目のライブ。
「最高の日にしようね」と彼女が語ったとおりの結果となった。
最後に、同記事内のSU-METALのセリフを記し、今宵のレポを終えたいと思う。
ったく、これだから、BABYMETALはまことにおもしろい。

 

 

そもそも私たちはずっと挑戦者だと思っているから、新しい形だからこそ挑戦できる。
これまでいろんな世界で受け入れられてきたからこそ
忘れてしまっていたことがあったと気づけた今、
これからはもっと、新たなBABYMETALの形を提示できると思います。
――SU-METAL

 

 

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4 件のコメント

  • ライブレポート、楽しみに拝見させていただいております。
    私はステージ正面のスタンドで観覧していましたが、レポート中にある
    “人の大きさほどの蝶々を模したアンドロイドのようなもの”
    はまさしくベビーメタルのクラッシュロゴでした。
    アリーナの中央に幻想的に誇らしく浮かび上がり、そこに映し出された
    過去の映像を見ていら自然と目頭が熱くなってしました。
    演出やBGMも含めてとてもよいオープニングでしたね。

  • 相変わらずの秀逸なリポート!有り難うございます。二階Ⅾブロック前の方での参戦でしたが、いつものように「心の底からライブに浸り、叫び、泣いた」記憶が飛んでしまうライブでしたね。吹っ切れました!

  • >TESTAROSSA様

    このたびはコメントありがとうございます。
    なるほど、羽の形自体がBMのロゴでしたか。
    僕はメインステージ側からこちらに来るのをみていたので、
    中のロボットのようなものにしか気が付きませんでしたね。
    ソニスフィアの映像が流れていたのを目にした時には僕も目頭が熱くなりましたよ~

  • >KUROTURI-METAL様
    コメントありがとうございます。
    SU-METALが言ってたように、最高の夜になりましたね。
    僕も心底ライブに浸り、我を忘れて泣き叫びましたよ^^;

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