BABYMETAL 海外 アムステルダム ライブレポート

スポンサー





 

1.

「先輩、久々にご飯でも行きませんか?」

 

4月下旬のことだった。
久しぶりに後輩のK山くんと電話で話していると、
不意に食事に行こうと誘われた。
“コロナ禍の時はほとんど外食しなかったし、たまにはいいかな”。
そう思い、僕は快諾する。

 

「いいよ、行こっか」

「先輩は何が食べたいです?」

「別になんでもいいよ」

「わかりました。じゃあ〇月〇日に、五反田で」

 

日時を決めたのち、電話を切る。
場所はK山くんの予定に合わせ、JR五反田駅の改札出口。
近くに行きつけの飲食店があるのだそうだ。
彼曰く、「サバの煮込み」と「トンカツ」がおいしくておススメらしい。
和食は好きなので、僕はその日が来るのを楽しみにしていた。

 

そして迎えた当日。
現地には1時間もあれば着くはずだった。
が、しかし――。

 

 

 

 

 

気が付けば僕は “ゴタンダ” ではなく “オランダ” に来ていた。
そして「サバの煮込み」と「トンカツ」のことを考えていたせいか、
サバトン(Sabaton)のコンサート会場に来ていた。
いったいなぜ、こうなってしまったのか?
なにゆえ神は、僕に試練を与えるのだろう。
原因はまったくわからないが、
とにもかくにも、来てしまったからには仕方がない。
今夜はBABYMETALがゲストで出演するらしいので、それを観に行くことにする。

 

 

 

ホテルにチェックインした後、16時半頃に現地に到着。
会場はジッゴ・ドーム(Ziggo Dome)。
アムステルダムにあるコンサート専用施設だ。
キャパシティは最大で17000人を収容可能。
サッカーのアヤックスのホームスタジアムである
ヨハン・クライフ・アレナに隣接している。

 

 

 

レギュラーチケットの最後尾に並んだあと、周囲を窺う。
ざっと見た限り、僕の周りには日本人はいないようだ。
今夜のライブにキツネ(海外メイト)たちがどれほど押し寄せてくるのかはわからない。
わかっているのは、周囲の人たちはほとんどがサバトンファンであるということ。
そんな彼らは、初めてBABYMETAのライブを生で観て、どういった印象を抱くのだろうか。
眉根を寄せて忌み嫌うのか? それとも目尻を下げて受け入れるのか?
いずれにせよ、ソリッドなメタルサウンドと完璧なライブパフォーマンスで、
初見の人たちに大きなインパクトを与えることは間違いないだろう。

 

 

 

果たして開場時刻となり、入場。
ぐるりと場内を見渡す
アリーナクラスの会場なので、やはり広い。
そしてオランダ人はみなデカい。
僕はあっという間に周囲の中に埋もれてしまった。
徐々に人が集まってくると、にわかに活気づいてきた。
ライブに対する期待感が大きく膨らむと自然と胸が高鳴っていった。

 

 

 

開演時刻となり、サポートアクトのLORDIがライブを始める。
思っていたよりもヘヴィだ。
曲間のボーカルのMCが会場を沸かしている。
音響も良い。音圧も申し分ない。
BABYMETALのライブでも爆音を浴びれそうだ。
そう思うと自然と口元は緩み、次第に興奮してきた。
サバトンファンの度胆を抜く、そういった渾身のパフォーマンスを披露してほしい。
にぎわうフロアを見渡しながら、僕はその時が来るのをそわそわしながら待ち続けた。

 

 

 

 

2.

セットリスト

01. BABYMETAL DEATH
02. メギツネ
03. PA PA YA!!
04. METALIZM
05. Monochrome
06. ギミチョコ!!
07. Road of Resistance

 

定刻となり、場内が暗転。
刹那、館内には期待を込めた歓声が沸き起こった。
1曲目は「BABYMETAL DEATH」。
西の神によるソリッドなサウンドがフロアに轟く。
6連府のリフがそう想起させるのだろう、
中にはメタリカの「ONE」を歌っている者もいた。

 

初見のほとんどの人たちは食い入るようにステージを眺めている。
ただ僕の周りにはノリの良い観客が数人いたので、
ひとり「DEATH! DEATH!」と叫び、ジャンプを繰り返した。
その行為が周囲に伝播することはなかったが、
曲が終わると大きな歓声が沸いた。
オランダのサバトンファンは、1曲目からそれなりに楽しんでくれているようだ。

 

 

 

2曲目は「メギツネ」。
SU-METALのクリアな歌声がフロアに響き渡る。
ステージまでが遠いので詳細はわからないが、
MOAMETALもMOMOMETALも元気に楽しく踊っているように見受けられた。

 

間奏に入ると、SU-METALが「Hi,Amsterdam」と観客を煽った
「We are BABYMETAL!」
そしてここオランダでも、そのままメギツネジャンプへ。
飛んでいる人は少なかったが、リズムに乗っている人はそれなりにいた。

 

続いては「PA PA YA!!」。
3人が奇麗に揃ったダンスルーティンを披露。
SU-METALの力強い歌声が場内に響き渡る。
おそらく最前付近にはキツネたちが何人かはいたはずで、
そしてSU-METALの「ジャンプ!ジャンプ!」という煽りもあって
それなりに盛り上がっていたのかもしれないが、
僕がいるフロアの真ん中付近は、圧倒的にステージをガン見している人たちが多い。
やはり初見は見入ってしまうのだろう。
曲が終わると周囲で拍手と歓声が沸き起こった。

 

 

 

4曲目は「METALIZM」。
楽曲に合わせて自然と手拍子が沸き起こる。
西のギターの神がテクニカルな演奏を披露。
大勢が食い入るようにしてステージを見ている。
それらの視線を浴びながら、3人が美しく舞い踊る。
曲が終わると周囲で歓声が沸き起こった。

 

ライブはその後「Monochrome」へ。
出だしの爆音で、周囲の観客が喜悦の声を上げる。
曲が始まると、SU-METALの美しい歌声が館内に響き渡った。
間奏に入ると、恒例となっているシーンへ。
SU-METALが「スマホのライトを点けて」と促すと、
会場はあっという間に幻想的な空間へと変貌した。
そして曲が終わっても、しばらくの間歓声は止むことはなかった。
スマホのライトもすぐには消えない。
多くの者たちが余韻を楽しんでいる

 

続けて「ギミチョコ!!」が始まると、
途端にフロアはヒートアップ。
体を揺らす者たちが一気に増えた。
やはり代表曲なので、知っている人も多いのだろう。
間奏に入ると大きなクラップ音が発生。
曲が終わると大きな歓声が沸いた。

 

そしてラストの曲は「Road of Resistance」。
近くではウォール・オブ・デスとモッシュが発生。
僕も嬉々として参加する。
序盤から食い入るように見入ってた観客たちが、
ここにきて大きく体を動かしたり、首を振ったりと、
アクションを起こすケースが増えてきた。
メロディック・スピード・メタルのリズムにもノリやすいのだろう

 

3人の渾身のパフォーマンスが続く。
西の神によるタイトな演奏が観客たちの心を掴む。
モッシュは終盤になっても続いている。
曲が終わると多数のメロイックサインが掲げられた。
最後は恒例の“We are?”“BABYMETAL!”コール。
そのままSU-METALが観客に対してお礼の挨拶をする。
大勢の観客たちがこれに温かく応じる。
こうしてBABYMETALのライブは全7曲をもって終了した。
オランダのサバトンファンの反応は総じて好意的だったように思う。

 

 

 

その後は後方に下がり、
メインのサバトンのライブを鑑賞。
場内の盛り上がりは相当なものだった。
ヨアキムのMCもフロアを沸かし、
パイロの炎や大音量の爆竹は観客の度肝を抜いた。
僕も久しぶりのサバトンのライブをとことん堪能したのだった。
ライブ① ライブ② ライブ③ ライブ④

 

 

 

 

3.

気分が高揚した状態のまま会場の外に出る。
一息ついてからホテルへ向かう。
道中、今夜のライブを回想する。
全体的には、3人のパフォーマンスをしっかり見届けることができたので満足だった。

 

それから、音響が良かった。
リズム隊も安定し、ギター・ソロも痺れた。
音圧も申し分なかったので爆音を心ゆくまで堪能できた。

 

ステージまでが遠かったので、細かい表情まではわからないが、
フロントの3人は楽しそうにパフォーマンをしているようだった。
そしてヴォーカルのSU-METAL。
英語でのMCもさることながら、このアウェイの空間でも、
そのクリアで力強い歌声で、会場を支配していた。
フロアの真ん中でもあの張りのある声が響いてきていた。
そして心底楽しかったのだろう、彼女はライブ中に何度も笑顔を浮かべていた

 

サバトンファンの反応はというと、全体的に好意的で、
僕の周りにいる観客に限っては、どの曲でもノリを楽しもうという様子が窺えた。
彼らと手を上げたり、一緒に歌ったりと、僕自身も楽しむことができた。
そしておそらく後方では、モッシュも何度か起こっていたのだろう。
僕は「Road of Resistance」の時しか参加しなかったが、
ライブの途中から、楽しげな雰囲気が後方から何度も伝わってきていた。

 

 

 

僕にとって、2020年2月以来、約3年ぶりとなった海外遠征。
仕事の後の夜の便から現地に向かい、
少し休憩しただけでライブに参加したので最初からかなり疲労は溜まっていたが、
海外の人たちがBABYMETALのライブを見てどういった反応を示すのかは興味深く、
また、ピットで彼らと一緒くたになって騒ぐ行為は心底楽しいので、
ライブを見終わった後は疲れなんて一瞬にして吹き飛んでしまう。
僕は口元に微笑を湛えたまま、宿泊先のホテルへと向かった。
余韻に浸りつつ、次回のライブも楽しみにしたい。

 

 

 

 

 

スポンサー

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください