BABYMETAL 海外 ベルリン2023 ライブレポート

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1.

アムステルダムでBABYMETALとサバトンのライブを見たのは2日前。
そして僕は今、ドイツのベルリンにいる。
サバトンのライブツアーの日程の順に移動しているから当たり前なのだが、
隣国のオランダまで来ているのに、ドイツに立ち寄らないという選択肢はなかった。
なぜならば僕には、ドイツに大きな借りがあったからだ。

 

「くっそー、今日こそは……今日こそは絶対にぎゃふんと言わせてやる!」
血気盛んな若者のように、僕は拳を握り締める。
あの戦いの数々を思い返すと、沸々と怒りが込み上げてきた。
過去のライブの光景が脳裏に浮かぶ。
毎回僕は、デカい奴らにコテンパンにやられまくったのだった。

 

 

2015年ベルリン

 

2016年シュツットガルト

 

2018年Rock im Park 2018(ニュルンベルク)

 

そして……2020年ハンブルグ

 

 

ずっと負けたままで引き下がるわけにはいかなかった。
デカいドイツ人たちとのモッシュに勝利する、
それこそが、僕の人生のゴール地点なのだ。
結果が出るまでは、デカいドイツ人たちととことん勝負してやる!
そして次こそは絶対に勝――――つ!
そう強く胸に誓いながら、僕は会場へと向かった。

 

 

 

ホテルからシュプレー川に沿って歩くこと約10分。
今夜の会場、メルセデス・ベンツ・アレーナに到着。
キャパ17,000人だけあって、会場はデカい。
今は午後16時半過ぎ。だいたい100人くらいは集結しているだろうか。

 

 

 

周囲にいる年齢層は青年から熟年の方まで幅広い。
子供はほとんど見かけないが、女性の姿はそれなりに目につく。
僕の網膜はカップルは認識できない仕様だから、残念ながらそれらの数は分からない。
メイトも少なからずいるとは思うが、ほとんどがサバトンファンだろう。

 

 

 

果たして開場時刻となり、入場。
Regularエリアにいる、BABYMETALのフラッグを身に纏った女性を眺めながら、
Golden Circleエリアへ入る。
ステージまではかなり近い。
このバカでかい会場にあって、この位置からステージを鑑賞できるのは嬉しい限り。
僕は口元を緩めたままぐるりと場内を見渡す。
天井が随分と高い。
これなら音の抜けも良さそうだ。

 

 

 

定刻となり、サポートアクトのLordiがライブを始める。
今夜も音響は良い感じだ。音圧も申し分ない。
そしてアムステルダムに続き、ベルリンのファンも温かいようだ。
LordiのボーカルのMCに対して、大勢が好意的な反応を示している。
楽曲もヘヴィでテクニカルでキャッチーなので、
終始楽しく彼らのライブを堪能することができた。

 

 

 

30分強でLordiのライブは終了。
Lordiのセットが片付けられると、BABYMETALのフラッグが現れた。
異国の地で見ると、毎回誇らしく感じる。
次第に周囲がざわつき始め、館内はほぼ満員の状態となった。
僕は首のストレッチをし、戦いの準備をする。
さあ、周りにいるデカいドイツ人たちよ、
今夜は激しくモッシュして、ともに大いに盛り上がろうではないか!

 

 

 

 

2.

セットリスト

01. BABYMETAL DEATH
02. メギツネ
03. PA PA YA!!
04. METALIZM
05. Monochrome
06. ギミチョコ!!
07. Road of Resistance

 

1曲目は「BABYMETAL DEATH」。
曲が始まると大きな歓声が沸いた。
このGolden Circleエリアには、それなりにキツネがいるようだ。
フォックスサインが多く掲げられている。
西の神によるタイトな演奏が場内に響く。
締まった音だ。堪らなく心地良い。
3人がクールな表情で演目を始める。
僕は一気に非日常の世界に誘われ、ライブに没入する。

 

モニターがないので、後方の様子はまったくわからない。
が、このエリアに限れば、それなりに盛り上がっている。
サバトンファンはステージを凝視している人たちが多いが、
キツネたちに釣られて手を上げたりする者もちらほら。
が終わると大きな歓声が沸いた。
ライブのスタートは上々の出来だ。

 

 

 

ライブはそのまま「メギツネ」へ。
すぐ横では、数人のメイトたちによるモッシュが発生している。
SU-METALの張りのある声が館内に響く。
今夜も喉の調子は良いようだ。
MOAMETALとMOMOMETALの快活な掛け声が愛おしい。
2人とも笑顔を絶やさずに観客を煽り続けている。

 

間奏に入るとSU-METALが挨拶をし、クラップを促す。
何度も笑顔を浮かべて話しかけては、観客に飛ぶように指示する。
そしてそのままメギツネジャンプへ。
大勢が嬉々としてジャンプする。
フロアの熱量が上がっていくのを肌で感じる中、やがて同曲は終了。
周りのドイツ人たちが歓声と拍手で3人のパフォーマンスを称えた。

 

勢いそのままにライブは「PA PA YA!!」へ。
キツネたちが勢いよくタオルを回している。
SU-METALの張りのあるクリアな歌声が場内に響く。
MOAMETALとMOMOMETALが全身を使って躍動する。
ラップパートに入ると3人が揃ったダンスルーティンを披露。
SU-METALが時折“ジャンプ!ジャンプ!”と観客を煽り続ける。
曲が終わると周囲で歓声が上がる。
サバトンファンを含めた大勢がライブを堪能しているようだ。

 

 

 

続く曲は「METALIZM」。
SU-METALの心地良い歌唱が続く。
すぐ横では、キツネが振りを真似している。
曲が始まったときに歓声を上げていたので、
ライブでの同曲を楽しみにしていたのだろう。
曲が進むにつれ、クラップが自然発生。
奇麗に揃った3人のダンスは素晴らしく、目を見張るばかりである。

 

 

 

ライブは「Monochrome」へと続く。
ヘヴィなイントロが場内に轟く。
SU-METALが丁寧な歌い出しで言葉を紡ぐ。
ここでも3人が完璧なダンスルーティンを披露する。

 

間奏に入ると、SU-METALが観客に向かって「スマホのライトを点けて」と訴える。
瞬く間に場内が幻想的な世界へと変貌する。
そしてハミングの後、彼女が「シンギン」と促すと、
キツネたちによる“オッオッオー、オーオッオオー”の合唱が続いた。
3人による渾身のパフォーマンスが続く。
曲が終わるとこれまでで一番の歓声が沸いた。

 

ライブはそのまま代表曲の「ギミチョコ!!」へと続いたが、
このあたりからモッシュが激しくなってきた。
どうもキツネだけでなく、サバトンファンも参戦しているようだ。
みなが笑顔で体をぶつけ合っている。

 

間奏に入ると、SU-METALが観客にクラップを要求。
大勢がそれに従い手を叩く。
モッシュは最後まで頻繁に発生。
そして曲が終わると大歓声。
このエリアの人たちははしゃぎ回り、存分に同曲を楽しんだようだ。

 

 

 

そしてライブはラストの曲、「Road of Resistance」に。
SU-METALが凛々しい姿でウォールオブデスを促す。
カウントを合図に、ドイツ人たちが一斉に体をぶつけ合う。
僕も嬉々として参加する。
モッシュする人たちは全員が笑顔。
誰かが倒れれば即座にみんなで一斉に起こした。

 

3人による迫力あるパフォーマンスが続く。
西の神々によるタイトな演奏が心地良い。
シンガロングのパートでは、多くの者が手を上げていた。
僕も拳を突き上げ“オーオーオーオ”と叫ぶ。
渾身のパフォーマンスを見せつけた後、やがて同曲は終了。
恒例の“We are?” “BABYMETAL!”コールでライブを締める。
大きな歓声と拍手が沸く中、SU-METALが観客にお礼の挨拶を始める。
ドイツ人たちがそれにまた歓声で応える。
最後の“See You!”の後はお決まりのポーズではなく、
観客に手を振りながら笑顔で退場していった。
僕は手を振り返しながら、彼女たちの雄姿を見送った。

 

 

 

 

 

インターバルを挟み、メインアクトのサバトンのライブが始まる。
序盤から、大きな体躯のドイツ人たちが破顔して大騒ぎしている。
その後も大盛り上がりのライブは続く。
僕も心底彼らのライブを堪能する。
ライブでは、パイロの炎や花火の爆発音だけでなく、ソープの泡が降り注ぐ演出も。
観客がスマホのライトを点けて一斉に横に振るシーンは感動的だった。
また、曲間には何度も“ビールを飲め”といったコールが起こり、
ボーカルのヨアキムは3杯目のビールを飲み干すシーンも。
そしてライブは大盛り上がりのもと終了したのだった。

 

 

 

 

3.

 

興奮した状態のまま会場のに出る。
そこでは、多くのサバトンファンが笑顔で語り合っていた。
このまま帰るのが惜しい気もするが、僕はホテルに向かって歩き出す。
その道中、今夜のライブを振り返った。

 

今日はGolden Circleエリアだったので、
3人のパフォーマンスを近くで堪能することができて大満足だった。
そしてキツネたちの集団もいたので、
どの曲でもそれなりの盛り上がりを見せた。
当初、サバトンファンの多くは地蔵で見入っていたとは思うが、
途中から楽しくなって次第にライブに入り込んでいっているといった印象を受けた。

 

持参の照明セットも効力を発揮していた。
曲ごとにステージをカラフルに彩っていた。
そしてボーカルのSU-METALは今日も絶好調で、
張りのあるクリアボイスを館内中に響かせていた。
MOAMETALとMOMOMETALのダンスも素晴らしく、
僕は何度も目を奪われた。
ステージ中央の少しだけ引いた場所から眺めたので視界の収まりもよく、
彼女たちの奇麗に揃ったダンスルーティンも存分に堪能することができた。

 

ライブを重ねるごとに、
新生BABYMETALのライブパフォーマンスは研ぎ澄まされていくのだろう。
サバトンツアーはまだまだ続くが、
まずは健康のままツアーを完走してほしいと願うばかりである。

 

また、今回のピットでの体験も心底楽しかった。
デカいドイツ人たちによるモッシュは大迫力。
それに巻き込まれるたびに、体のあちこちをぶつけまくったが、
この体験は現地のピットに入らないことには経験できない。
そしてその経験はプライスレス。
これだからBABYMETALのライブは止められない。
改めて、ワールドツアーを再開してくれたBABYMETALに感謝しつつ、
僕は口元に笑みを湛えたまま、夜道を弾むようにして歩き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

そして肝心の、ドイツのデカい奴らとの勝負だが、
そもそもドイツに入国してから、僕はずっと臨戦体制だったのだ。

 

 

 

 

 

最初から気合十分。
戦う準備はできていた。
あとはデカい奴らをボロ雑巾のように捻り潰すのみ。
だから結果は言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、好きなようにやられまくっても、
コテンパンに打ちのめされようとも、
3つのバンドのライブすべてを全力で楽しんだ僕はある意味勝者。
特に海外のライブでは、外国人たちと楽しく騒ぐことができるので、
何ものにも代えがたい経験を積むことができる。
そしてまたこれを体験するために、僕はいつの日か再度異国の地へ赴くのだろう。
だからこれからも、ドイツ人たちの戦いは懲りずにまだまだ続いていく。

 

 

 

 

 

 

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