BABYMETAL 海外 Good Things 2018 ブリスベン ライブレポート

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1.

私たちの生き方には二通りしかない。
奇跡など全く起こらないかのように生きるか、
すべてが奇跡であるかのように生きるかである。
――アルベルト・アインシュタイン

 

 

 

 

 

2018年12月9日午前9時。
カンタス航空512便はほぼ定刻どおりにシドニー空港を離陸した。
目的地であるブリスベン空港へ到着したのは午前9時半頃。
約1時間半のフライトだったが、時差が1時間あるので時計の針は30分進んだだけ。
空港を出て、切符を買うと、僕はいそいそと市内へ向かう電車に乗り込む。
やがて電車は出発し、車窓から覗くのどかな田園風景をぼんやりと眺める。
ここ二日間のライブの情景を思い返すと自然と口元は綻んだ。

 

先日のシドニー公演、そして一昨日のメルボルン公演の余韻が未だに続いている。
出演アクトのラインナップは変わらず、12月7日にはメルボルン・フレミントン競馬場、
8日にはシドニー・パラマタ・パーク、そして9日にはブリスベン・ショウグラウンズと
そのまま会場を移しながら3日間に亘り開催された「Good Things 2018」。
BABYMETALは、昨日一昨日と、15時15分にメイン・ステージに登場。
彼女たちのライブを一目見ようと多くの現地ファンが詰めかけた。

 

BABYMETALがオーストラリアでライブを行うのは今回が初めてだったものの、
2016年4月発売の2ndアルバム『METAL RESISTANCE』が、日本人のみのアーティスト
としては最高位となる全豪7位にチャートインしたこともあり、すでにその名は浸透。
彼女らの人気ぶりを表わすように、初日のメルボルン公演の開演前には、
待ちわびた大勢による大きな “ BABYMETAL ” コールが発生するなど大いに盛り上がった。
そして翌日のシドニー公演も地元ファンから熱烈に歓迎され、
騒ぎまくる観客によって終始、砂塵が舞うほど、ピットは活況を呈したのだった。

 

改めて考えてみても、この二日間の盛り上がりは驚異的だった。
ある程度人気はあるだろうと踏んではいたが、あそこまでの盛況は想定外だった。
おかげでオージーたちの熱狂具合を肌で感じるたび、感涙してしまった。
また、ライブ中は日本語の歌詞を一緒になって歌う光景も多くみられ、
終演後 BABYMETAL へ向けられた歓声や拍手は、しばらくの間止むことはなかった。

 

今日のブリスベン公演も盛り上がること間違いなし。
それにしても、日本語のわからない人種をあれだけ熱狂させるなんて――。

 

そういったシーンは、これまでに何度も目にしてきたけど、
改めて、BABYMETALは類い稀なグループなのだと思い知る。
これほど海外で歓迎され、受け入れられる日本人アクトはそうはいないだろう。
そもそも日本語で歌うライブであれだけの観客を熱狂させ続けるのは称賛に値する。
そうしてあの感動的な光景を、あと数時間後に再び目にすることができる。
大勢のキツネたちと一緒になって喜びを分かち合うことができる。
嗚呼、“ 人生を謳歌する ” とはまさにこのこと。
早くまたあの狂騒を体験したい。
渇求の念に心を支配された僕は、口元に薄い笑みを湛えたまま電車に揺られ続けた。

 

 

 

 

2.

 

やがて電車は最寄り駅の Fortitude Valley へ到着した。
僕は急ぎ足で宿泊先のホテルへ移動する。
しかし、アーリーチェックインはできなかったので、とりあえず荷物を預けることに。
その際、フロントの女性が僕の着ていたTシャツを指さして“BABYMETAL!”と叫んだ。
僕は少しはにかみながらキツネサインを掲げた。

 

 

 

ホテルを出ると、一路、フェス会場であるショウグラウンズへ向かう。
徒歩10分ほどの距離だ。
時計を確認するとちょうど11時。
屋内の待機場所で30分ほど待つ。
果たして開場となり、フェスの敷地内へ移動。
気温は高いが曇り空なので、ここ二日よりもかなり快適に感じる。

 

 

 

入場して真っ先に物販列に並ぶも、BABYMETALのTシャツは12時前には完売。
まさか開場前に並んで買えないとは思ってもいなかったが仕方がない。
フェスTEEとSTONE SOUR TEEを購入したのち、場内をぶらりと練り歩く。
サブステージの手前にも物販ブースがあったので立ち寄ってはみたが、
やはりここもBABYMETALのTシャツは早々に完売していた。
海外遠征でBABYMETALのTシャツを買えなかったのはウェンブリー以来のことだ。

 

 

 

その後は隣の建物の中に移動。
サブステージではちょうどEcca Vandalがライブを行っていた。
僕はそのままその場所で、WaaxBOSTON MANORThe Wonder Yearsと続けて観る。
日射しもなく、音響もまずまずだったので、随分と快適に楽しむことができた。

 

 

 

その後は昼食を摂り、いざメインステージへ。
La Dispute のライブ中、僕はするすると前の方へ移動する。
彼らのライブが終わり、次はいよいよBABYMETALの出番。
ふと周りを見渡すと、随分と後方まで観客が詰め掛けていた。
ここブリスベンでも、BABYMETALのライブを楽しみにしている人は多いようだ。

 

 

 

あの興奮を三度味わえると思うと一気に気持ちが高揚した。
オーストラリアでのライブはひとまず今日で終わり。
次にいつ、この国を訪れるのかはわからない。
だから演者も観客も、心底今日のライブを楽しめたらと願う。
またBABYMETALには、持っているものをすべて出しきってほしいとも思う。
やがて彼女たちのライブが始まると、耳をつんざくほどの大歓声が沸き起こった。
僕は満面の笑みを浮かべると、周囲を見渡してからステージ上を凝視した。

 

 

 

 

3.

セットリスト

01. メギツネ
02. ギミチョコ!!
03. Elevator Girl
04. META!メタ太郎
05. Distortion
06. KARATE
07. Road of Resistance

 

ライブは今回もメギツネでスタート
曲が始まるとピットにいる人たちはすぐに躍動した。
僕も小刻みにジャンプを繰り返しながらオージーたちと一緒になって騒ぐ。
間奏でSU-METALが “ Hey! Brisbane!” と煽ると場内はさらに沸き、
一発目からピットはお祭り状態となった。
メギツネジャンプを決める人たちはみな笑顔で楽しそうに体をぶつけ合っている。
いきなりの爆発的な盛り上がりを見せて、やがて同曲は終了した。

 

続いて代表曲「ギミチョコ!!」が始まると、ピットはさらに活況を呈した。
激しいモッシュが発生し、大勢が笑顔で弾け合う。
僕は揉みくちゃになりながらも首を振り、同曲を堪能する。
間奏で大きな手拍子が起こるとピットはさらにヒートアップ
何度もモッシュが起こり、激しさを増した。
それにしてもさすがはキラー・チューン。「ギミチョコ!!」の破壊力は毎回凄い。

 

 

 

少しの間をおいて「Elevator Girl」が始まる。
3人が息の合ったダンスで観客たちを魅了する。
ここでもピットではモッシュが発生したが、僕はなるべくステージ上を凝視した。
SU-METALの高音ボイスは今日も突き抜けている。
MOAMETALとSAYAのダンスの切れ味がすごい。
思わず振り付けを真似したくなる衝動に駆られる、というか無意識に真似している。
神バンドのタイトな演奏をバックに、3人は渾身のパフォーマンスを披露した。

 

 

 

続く曲は「META!メタ太郎」。
冒頭、SU-METALの伸びやかな歌声が大空に響く。
イントロに入るとここでもモッシュが発生。
軽快なリズムに合わせ、人々が飛び跳ねながら体をぶつけ合う。
途中のシンガロングの声はさほど大きくはなかったが、
ピット全体で溌剌たる空気を醸し出したまま同曲はやがて終了した。

 

少しの間を挟み、ライブは「Distortion」へと続く。
イントロが始まるなり、再び熱狂する観客たち。
ピットではまた激しいモッシュが始まっている。
間奏に入ると、SU-METALが再び英語で煽り、さらに場を盛り上げた。
大きな手拍子が起こり、ピットの観客は狂ったようにモッシュを始める。
心底楽しいのだろう、オージーたちの陽気な声がそこら中に響いている。

 

ピットの熱狂具合は、次曲「KARATE」が始まるとさらに上昇していった。
グルーヴを感じているのだろう、大きく体を動かす人が多く目に付く。
人気曲とあって一緒に歌い出す観客の数も多い。
間奏でSU-METALが “ Everybody Jump!” と煽れば観客たちはそれに従順に応える。
終始ピットはお祭り騒ぎのまま、やがて同曲は終了する。
空に響き渡るSU-METALのロングトーンが心地よく耳に残る。

 

そしてライブはあっという間に最後の曲「Road of Resistance」へ。
勇壮なギターオーケストレーションに続くのは定番のWOD
現地のオージーたちが快活なる奇声を発しながら体をぶつけ合う。
その後はサークルモッシュも発生し、そこら中で陽気な叫び声が交差する。
シンガロングを促すMOAMETALがとびっきりの笑顔を見せる。
そうして終始大盛り上がりのもと、BABYMETALのライブショーは終了したのだった。

 

 

 

 

 

興奮が覚めやらない中、僕は後方のスタンドへ移動する。
デカい男たちに何度も弾き飛ばされたので、体力の回復が必要だった。
それにしても――。
着席するなり、僕はすぐさまBABYMETALのライブを思い返す。
凄まじかった観客の熱狂具合が今でもはっきりと網膜に焼き付いている。

 

ライブ時間は40分ほどだったが、最後まで勢いが衰えることのない密度の濃さ。
MOAMETALを中心に綺麗にシンクロするダンス・パフォーマンスは素晴らしく、
ひとときも目が離せないといった具合に多くの観客が笑顔でステージを凝視していた。
神バンドのラウドでタイトな演奏パフォーマンスと一体化したステージングは見事の一言。
舞台から放たれる “気焔” を伴った音像に狂喜乱舞し、驚異的な盛り上がりを見せた。
もちろん、ヴォーカルのSU-METALの存在感、歌唱は今回も凄まじく、
堂々とした佇まいで会場を支配し、クリアで倍音豊かな歌声を大空に響かせ、
詰めかけた多くの観客を魅了した。
即ち、彼女たちは今回もやり遂げたのだ。
この三日間、最高のパフォーマンスを披露し、観客を熱狂の渦に巻き込んだのだった。

 

初めてBABYMETALのライブを観た現地のキツネたちは大満足だったに違いない。
初見の観客たちもきっと彼女たちのライブを気に入ったはずだ。
なぜならばBABYMETALのライブは最高に楽しいのだから。
本格的なダンスを取り入れた、唯一無二のクオリティの高いメタルショーは、
観客の耳目を惹く、目映いばかりの輝きを放ち続けているのだから。

 

 

 

 

その後はスタンド席から遠巻きにThe Usedのライブを鑑賞。
最後にニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」をカヴァーすると場内はひときわ沸いた。
それからはまたグランドへ移り、Bullet For My ValentineDropkick Murphysを続けて観る。
どちらのライブも楽しく、時間はあっという間に過ぎていった。

 

 

 

小腹が空いたので再びフードエリアへ向かう。
暮れゆく景色は幻想的な雰囲気を醸し出している。
日が沈んだ頃にフィールドへ戻ると、All Time Lowのライブを鑑賞。
人気曲「Lost In Stereo」「Dear Maria, Count Me In」が披露されると場内は盛り上がった。

 

 

 

続いてトリ前で登場してきたのはSTONE SOUR。
三日連続のフェスも終盤、いよいよ佳境へ入る。
コリィの存在感は抜群で、歌だけではなく、曲間のMCでも観客を楽しませていた。
「Song #3」をじっくりと聴き、「Through Glass」では周りと一緒になって合唱する。
そしてトリのThe Offspringのライブを最後まで観てすべてが終了。
移動しながらのフェス三日連続鑑賞はかなりタイトだったが、これにて無事に完遂した。

 

 

 

 

4.

 

大満足のもと、僕は会場を後にする。
毎日が楽しすぎて、あっという間の三日間だった。
徒歩でホテルへ向かいながら、今一度、BABYMETALのライブを振り返る。
パフォーマンスは言うことなし。
三日間とも、他のアクトにはない異彩を放っていた。
そして嬉しい誤算と言うべきか、オージーたちの反応は予想以上に良いものだった。

 

初日のメルボルンでは、開演前に大きなBABYMETALコールが沸き起こった。
「KARATE」では一緒になって歌う観客の姿が多く見られた。
モッシュは頻繁に起き、「Road of Resistance」ではローイング・モッシュも発生。
またシドニーの観客も、一発目の「メギツネ」から砂塵が舞うほどのお祭り騒ぎ。
自発的に発生した、座り込んでからの一斉のKARATEジャンプは圧巻だった。
そして今日のブリスベンも、メルボルンやシドニーに匹敵するほどの盛り上がりを見せた。

 

道すがら、ふとドイツのフェスを思い出した。
6月にニュルンベルクで開催された「Rock im Park 2018」だ。
あの時も開演前には、大きなBABYMETALコールが発生した。
激しいモッシュも頻繁に起こり、想像以上の盛り上がりを見せた。
そしてライブのハイライトは、座り込んでからの一斉のKARATEジャンプ
今回のオーストラリアと同様に、ドイツでも、あれは観客が自発的に起こしたものだった。

 

たとえばこの熱狂的な事象が、BABYMETAが “第二の故郷” と呼ぶイギリスや、
何度もワールドツアーで訪れているアメリカで起こったのならばすぐに合点がいく。
しかしながらそのどちらでもない。
3年半前のフェスで苦戦したドイツや、初めて訪れたオーストラリアの地で、
日本と変わらないくらいの盛り上がりを見せた。
それもただ騒ぎたいがために、モッシュで暴れるといったものではなく、
BABYMETALのライブを心底楽しみたいから皆で騒いでいる、すべてがそのように見て取れた。
こういった観客の熱狂具合は、想像の範疇を軽く超えていた。

 

 

今年を振り返ってみると、2018年はBABYMETALにとってとても難しい年だった。
それは言うまでもなく、藤岡幹大の訃報、水野由結の脱退という、
二つの大きな事実を受け止め、乗り越えていかなければならなかったからにほかならない。
個人差はあれど、メイトでさえかなり苦しんだのだから、
言わば戦友である当人たちが抱え込んだ心の痛みや苦悩は相当なものだったと推測できる。
だけど彼女たちは、時には涙に暮れたであろう辛い心情を表立って一切吐露することなく、
鉄壁のパフォーマンスを披露することで自分たちの存在意義、存在価値を示した。
そこには、改めて誓い合った揺るぎない想いが反映されているかのようだった。

 

辛くて悲しいことが続いても、いつまでも立ち止まっているわけにはいかない。
グッと受け止め、ギュッと唇を噛んで、前に進んで行かなければいけない。
もしかしたらそんな強い思いを胸に、12月の海外ツアーに臨んだのかもしれなかった。

 

仮にそうだとすると、今回のオージーたちの熱狂的な反応は、
本人たち、ひいてはチームBABYMETAL全員にとって励みになったのではないだろうか。
世界にはBABYMETALを待ってくれる人がたくさんいる。
改めてその現実を思い知ったことだろうと思う。
だからいろいろな思いを胸に抱きつつも、自分たちを信じ、
これからも突き進んでいかなければならない。
そういった純粋で強くて前向きな気持ちを胸に、次なるワールドツアーへ備えてほしい。
帰路につく間、そう願わずにはいられなかった。

 

 

 

 

やがてホテルに着くと、僕は早速身支度をする。
明朝の便で帰国すれば、その次の日には出社。
つまりは平凡な日常に戻るわけだ。
何の変哲もない、奇跡など全く起こらないかのように生きるほかない生活に。

 

だけどいざ、海外遠征に向かえば、
そこでは、目を疑うような光景を目にすることができる。
彼女たちBABTMETALからすれば、単純に自分たちの実力を発揮しているに過ぎないのだが、
日本語で歌って外国人を熱狂させる構図は、傍から見ると、やはり奇跡のようにしか思えず、
彼女たちを追っている間は、すべてが奇跡であるかのように生きることができるのである。

 

 

さすがは世紀の大天才、20世紀最高の物理学者。
よく言ったもんだな、アインシュタインよ。

 

 

SU-METALとMOAMETALを中心とした新体制のBABYMETAL。
次は一体どの地の観客たちを熱狂させるのだろう。
BABYMETALを待ちわびているファンは世界中に存在している。
2019年の彼女たちの活躍からも目が離せない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※本レポの簡易版です。こちらも合わせてどうぞ。

BABYMETALが豪ロック・フェス〈Good Things 2018〉に出演 初の豪上陸にファン熱狂 – CDJournal ニュース
 BABYMETALが、12月9日(現地時間)にオーストラリア・ブリスベンのショウグラウンズにて開催されたロック・フェスティバル〈Good Things 201……

 

 

 

 

 

 

 

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4 件のコメント

  • 海外遠征でBABYMETALが起こす、目を疑うような光景
    どれほどの驚きと高揚に満ちたものでしょう!
    行動する者のみが味わう感動ですね。
    よく伝わってきました。ありがとう!

  • >匿名さん
    コメントありがとうございます。
    イギリスの盛り上がりは想定内でしたけど、今年はドイツとオーストラリアの盛り上がりがすごくて、
    心底嬉しかったですね。あの感動は病みつきになります。
    読んでいただいてありがとうございました!

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