さくら学院 ~放課後アンソロジー 紅葉のシャッフル・ナイト~ ライブレポート

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1.

 

さくら学院のスタンディングライブとなる『さくら学院☆2017 ~放課後アンソロジー 紅葉のシャッフル・ナイト~』が、10月9日に東京・渋谷のTSUTAYA O-EASTで行われた。この日は2部構成で、昼公演は「夜公演ファストパス争奪戦 さくら学院 2017年度 秋学期試験」と銘打たれ、3年ぶりとなる秋学期試験(イベント)だったのだが、あいにく筆者は都合が付かずに参加できなかった。従って、夜公演となった単独ライブの模様のみをお届けする。が、その前にこのことに触れておかなければならないだろう。さくら学院がライブを行ううえで3人が同時に病欠というのは今回が初めてのことである。

 

 

昼公演にも参加した人はそうでもない様子だが、職員室からの発表が直前(おそらくギリギリのタイミングまで生徒たちの回復を待ったのだろう)ということもあって、開場を待つ父兄たちの雰囲気はどことなくそわそわしているように感じられる。それもそのはず、奇麗に揃ったダンスルーティンはさくら学院のステージングの大きな魅力の1つでもあるのだが、1人だけならまだしも、3人もの人員を欠いて、果たして綺麗なダンスフォーメーションを維持できるのか。はたまた歌割りはどうなるのか。不安を抱くまではいかなくとも、そういった心配事は尽きない。むろん、体調不良を理由に欠席した3人、中等部1年の吉田爽葉香、小等部5年の田中美空と八木美樹の胸中を慮るとやはり胸が痛む。この日のために鍛錬を積んできたのに、晴れの舞台に立てない彼女たちの悔しさは如何ばかりか。そんな3人の分も顔笑って、イレギュラーにちゃんと対応できればいいのだけれど――そんなことを考えながら入場を果たし、2階の眺めの良い位置を得る。今夜のステージを俯瞰して眺めることで、いつもとは違うフォーメーションや生徒たちの動きをしっかりと見届けたいと思う。

 

影ナレが始まったのは18時くらいだった。が、始まったのは影ナレではなく、岡田愛がナビゲートする「岡田愛のミュージックセレクション」というスペシャルプログラムで、それは否応にも3年前の「白井沙樹のミュージックセレクション」を彷彿とさせた。思えばこの白井沙樹によるラジオDJ風のプログラムも、3年前の「秋学期試験」イベントの夜公演の開始前に行われたのだった。おそらく岡田愛のそれは3年前の白井沙樹のオマージュなのだろう。ちなみに岡田愛がセレクトした3曲は、高坂穂乃果・南ことり・園田海未による「START:DASH!!」(テレビアニメ「ラブライブ」の挿入歌)、スキマスイッチの「スカーレット」、そしてゴダイゴの「銀河鉄道999」だった。やがて開演時刻の6時15分を過ぎると、サブステージに岡田愛と岡崎百々子からなる一夜限りの新聞部 SCOOPERS が現れた。途端に沸く場内。特に上手側にいた父兄たちは、ちょうどサブステージのドセンという位置も相まって、ひときわ大きな盛り上がりを見せている。そして2人から、「ファストパスを持っている父兄さんも、持っていない父兄さんも盛り上がっていきましょう!」「今夜はシャッフルユニットをやります!」とライブの開演が揚々と告げられると、絶叫のような父兄たちの叫び声があちこちにこだまし、場内の盛り上がりは早くも沸点を迎え、周囲は瞬く間に異様な熱気に包まれていった。

 

 

 

2.

以下、セットリスト

01. スコアボードにラブがある/テニス部 Pastel Wind
02. Brand New Day/新聞部 SCOOPERS
03. Welcome To My Computer/科学部 科学究明機構ロヂカ?
04. ギミチョコ!!/重音部 BABYMETAL
05. ベリシュビッッ
06. 君に届け
07. Magic Melody
08. マシュマロ色の君と
EN1. Hana*Hana
EN2. キラメキの雫
EN3. 夢に向かって

 

※画像:音楽ナタリー(以下同)

 

SCOOPERS の紹介によって最初にメインステージに登場してきたのは一夜限りのテニス部 Pastel Wind 。メンバーは山出愛子、麻生真彩、有友緒心、森萌々穂の4人。彼女たちはテニスのユニフォームふうの衣装で登場し、ラケットを振りながら「スコアボードにラブがある」を披露。Aメロの節の終わりに、父兄たちによる4人それぞれの名前の大コールがあり、場内のテンションはさらに上がっていく。曲が終わった直後の歓声も凄かった。その後は一夜限りの新聞部 SCOOPERS が再登場し、スタンドマイクで「Brand New Day」を熱唱。2人とも姿勢が良いから、振りがとてもダイナミックで見応えがある。後のMCで岡田愛によって語られたのだが、岡崎百々子が考案した間奏のダンスは一見の価値あり。大変キレのあるダンスだった。2人がサビの部分で父兄たちに向かって「いっしょに!」と叫ぶと、忙しなく何度も押し寄せる波のように、フロアは辺り一面左右に振る父兄たちの両手で覆い尽くされた。その光景は上から見ていてとても壮観だった。

 

 

 

 

次に登場してきたのは、山出愛子、日高麻鈴、新谷ゆづみからなる一夜限りの科学部 科学究明機構ロヂカ?。3人は科学部の正装である白衣姿で登場し、「Welcome to My Computer」をクールに披露した。その後は再び一夜限りの新聞部 SCOOPERS の岡田愛と岡崎百々子がステージに現れてMCがスタート。開口一番、岡田愛が「Ver.2.0(倉島颯良、岡田愛、岡崎百々子)でもやっていない曲なのに」と悔しがっていたのが印象的だった。それから2人は、一夜限りのテニス部 Pastel Wind で登場した有友緒心と森萌々穂をステージに呼び込んだ。直後、有友も森も恒例の自己紹介を披露し、今回のシャッフルユニットについての感想をそれぞれ語った。「ラケットが大きくて踊るのが大変だった」(森)、「1回目の練習で倒れそうになったけど、練習を重ねて体力がついてなんとかマスターできた」(有友)と話す2人を、父兄たちは温かな目で優しく見守っていた。

 

「なんと、今夜はあの部活動が復活します!」、岡田愛の高らかな宣言を受けて続いて登場してきたのは、麻生真彩、日高麻鈴、藤平華乃からなる一夜限りの重音部 BABYMETAL 。グッズのタオルの絵柄から、重音部が復活するのはある程度予想していた父兄は多かったとは思うが、披露される曲は「ドキドキ☆モーニング」か「いいね!」あたりだと予測していた方が大半だったのではないだろうか。かくいう筆者も重音部が在籍していた頃のナンバーだと勝手に予想していたのだが、ここで披露された曲は「ギミチョコ!!」。なんとも嬉しい誤算だった。イントロが始まった途端、それまではほとんどなかった圧縮がフロアの前方で起こり、父兄たちが一斉にモシュッシュメイトと化した。そしてBABYMETALのTシャツを着た3人がひとたび激しいダンスを始めると、あちこちで驚きと興奮による叫び声が、曲中ずっと、止まることなくひっきりなしに沸いた。紛れもなく今夜のライブで一番の盛り上がりだった。

 

 

 

 

麻生真彩がSU-METAL役を担っていて、髪型はポニーテールだった。MOAMETAL役を藤平華乃が、YUIMETAL役を日高麻鈴がそれぞれ担い、髪型は言うまでもなく2人ともにツンテール。それにしても完成度の高さに驚いた。ピッチが速い曲なのに、3人のダンスのキレ、スピード感は本家に迫るほどのクオリティなのだから恐れ入る。BABYMETALと同じく、やはり彼女たちはMIKIKO先生の門下生。素人によるBABYMETALのダンスカヴァー映像はこれまでに何百と見ていると思うが、比較するのは彼女たち3人に対して申し訳ないと思えるほど完成度に圧倒的な差があった。ちょっとした仕草やら、お立ち台の上での煽り方まで、一瞬たりとも見逃せないほどの内容だった。本日参加している父兄たちの所感も筆者と同じようなものなのだろう。曲が終わった直後の歓声の中には、素晴らしいものを目にすることができたといった感嘆もかなり混じっていたように思う。パフォーマンスが終了すると、3人はそれぞれ「MA-METALです!」「MARINMETALです!」「KANOMETALでふっ!」と挨拶をし、爽やかに「SEE YOU!」と叫んで去っていった。ここでも父兄たちの盛り上がりは異様な程だった。

 

重音部の3人がステージをハケると、残りのメンバー全員がステージに現れて再びトークを展開。トーク委員長の岡田愛が落ち着いた様子でメンバーたちに話を振っていった。内容は今回のシャッフルユニットについて。山出愛子曰く、テニス部の面々には各々設定があったようで、山出自身は、部活を引退した後、受験勉強の合間にふとサークルに顔を出した先輩、有友は、ボールの軌道を読むことはできるがラケットに当てることはできない理論派の部員、麻生は熱血少女、森はおっちょこちょいの後輩、といったものだったらしい。また今回の一夜限りのテニス部の練習を見た職員室の先生から、まるで松岡修造のようにキレのある完成度だと褒められたらしいのだが、シューゾウさんみたいと言われても喜んでいいのかわからなかったという素直な感想を各々が口にしたので場内は大きな笑い声に包まれた。その後は新聞部の話題となり、岡田愛は憧れの紺の制服(さくら学院の最初の制服)を着れたことに感激したと語り、岡崎百々子は間奏部分のダンスについて述懐した。なんでもダンスは3パターンほど考案していたらしく、迷った挙句に今回の振り付けにしたとのこと。また曲の披露中は、本家の SCOOPERS(三吉彩花と松井愛莉)や岡田愛の背に少しでも合わせられるようにこっそりと背伸びをしながらダンスを踊っていたらしい。

 

続いて科学部の話題になるところで、重音部で曲を披露した麻生と日高、藤平の3人がステージに登場し、MCの輪に加わる。科学部のダンスはカッコ良かったとみんなが感想を述べるが、新谷ゆづみはムーンウォークができるかどうか不安だったとのこと。確かに本番のそのシーンでは、彼女の動きだけがどこかぎこちないように感じられた。続いては重音部の感想。麻生は、「頭を振るから本当に疲れる」「今回踊ってみて初めてBABYMETALのダンスの凄さがわかった」と語り、「BABYMETALの3人を尊敬する」と繋げた。日高も藤平も、「本当に脳が揺れている感覚」「踊っているあいだ中、他の2人は普通に見えるけど、世界はずっと揺れている感じだった」と同じような感想を述べ、いかに激しいダンスであったかを語った。そういった3人の話を、父兄たちはメイトの心境にもなって真剣に耳を傾け、そして称賛する言葉を次々とステージの3人に投げかけていた。

 

その後は藤平華乃の曲紹介から「ベリシュビッッ」がスタート。ペアで踊るシーンが多い同曲なので、9人だと必然的に一人になってしまう生徒がいるのだが、どの生徒も決して笑顔を絶やすことなく、自分のやるべきことを100%出しているように見受けられた。そして曲はそのまま「君へ届け」へ。この曲で一番印象に残ったのは山出愛子の歌唱。いつもよりも気持ちを込めて大事に歌っているように感じられた。また山出を含む3年生たちの佇まいも心に残った。パフォーマンスを披露している間、気負い過ぎず、力み過ぎず、3人とも実に堂々としていて貫禄が備わっているように感じられた。おそらくは3人のバランスがいいのだろう。互いを思い遣って接することで良い関係が築けているんだなというのは外から見ていてもわかる。

 

その後は少しばかりまたMCを挟んだ。トーク委員長の岡田愛が「今日のライブのことで言いたい人ー?」とメンバーたちに訊ねると、お約束といった具合に、何人もの父兄が手を上げて「はーい!」と声を張った。そんな父兄たちをイジりながらMCを続ける岡田愛。彼女はメンバーにトークを回すだけではなく、父兄たちとのやりとりも自然と、平然とやってのける。この生徒たちと父兄との自然な掛け合い。歴代の中でも一番と言っていいほど絶妙な距離感を保っているように思える。互いの信頼関係が成り立っているからなのだろう。その後のトークで日高麻鈴は、「昼公演と比べものにならないくらい、夜公演の盛り上がりが凄い」と、10代とは思えないゆったりとした口調で話していたが、それはいつもの優しい父兄ではなく、少しばかり凶暴なメイトの姿を目の当たりにしたからに他ならない。そしてそんな語り口調の日高に向かって岡田愛は「麻鈴の喋り方はいつもおばあちゃんみたい」とからかって場内の笑いを誘った。

 

それからライブは再開され、今度は「Magic Melody」を披露。ここでも山出愛子の歌唱力が印象的だった。そしてライブの本編最後は「マシュマロ色の君と」。2階席からステージを凝視して観ていると、やはり今回の3人の欠席で急遽いろいろと変更を余儀なくされたのだろう、いつもよりも長い距離を移動してポジションチェンジをしている箇所が何度か目に付いたのだが、その多くを担っていたのは岡田愛だった。彼女は何度も大股で移動していたのだが、上半身は決してぶれることなく、流れるようにステージを移動していた。そんな様子からは、他のメンバーの分は自分がカヴァーしてみせるという彼女の意気込みが感じられ、随分と感情が揺さぶられた。

 

しかしそんな獅子奮迅の活躍を見せていた岡田愛も、1箇所だけ同曲でミスを犯してしまった。元からのパートなのか、それもと欠席したメンバーのパートだったのかは定かではないが、自分が唄う箇所を1回飛ばしてしまった。とはいえ、本公演を通してミスらしいミスはこのときくらい。思えば2年前の単独ライブでも欠席者(確か麻生麻彩)がいて、本番では欠席者のパートはそのまま歌なしで披露されたように記憶している(記憶違いであればごめんなさい)が、今回は3人も欠員が出て、それを全部歌なしにするとさすがに具合が悪いと思ったのか、今夜のライブでは歌なしのパートを作るようなことはしなかった。確実に他の誰かが埋めていたのである。たったの1日か2日で、ダンスフォーメーションの変更ばかりではなく、歌割りの部分もみんなでカヴァーし合ったのだ。だから1箇所飛ばしたからといって、そんな彼女たちの努力をいったい誰が非難できよう。否、誰も非難などできないだろう。

 

生徒たちが一旦袖にハケると、場内はすぐさまアンコールを促すクラップ音に包まれた。ややあって生徒たちがステージに戻ってくると、すぐに「Hana*Hana」が始まった。この曲も変則的にフォーメーションを組んでいるようだったが、それを感じさせないほど、9人全員が上手にポジションを移動しながら踊っていた。移動する距離にばらつきはあるものの、揃って踊り出すときはちゃんとみんながシンクロしている。さくら学院の生徒たちはみなピンチに強い。奇麗に揃ったダンスルーティンを眺めながらそういう思いを抱かずにはいられなかった。

 

曲が終わると、ここでグッズ紹介が。いつもの購買部ではなく、岡田愛が中心となってタオルやラバーバンドの紹介をしていく。「なんと、タオルの絵柄は夜公演になっていたんです!」と言うや否や、客席の父兄たちが「おおーっ!」っと大きな歓声を上げたものだから、岡田愛は満面の笑みを浮かべて「知ってたくせに!」と、ここでも父兄たちをイジって笑いを取っていた。そしてラバーバンドの紹介の時には、山出愛子が男らしい口調で、「俺、10.9(ジュッテンキュー)に行ったんだぜ」と自慢できるから是非購入してほしいと訴え、父兄たちから喝采を浴びた。そして最後は生徒全員で「チェックしてみてください!」と締めてライブへと戻っていった。

 

続いて披露された曲は「キラメキの雫」。9人全員の息の合ったパフォーマンスが素晴らしく、また強く訴えてくるものがあり、グッと熱い思いが込み上げてくる。またここでも3人の欠員を感じさせない滑らかなフォーメーションに思わず見入ってしまった。そして最後はさくら学院のアンセム「夢に向かって」。イントロ前に曲紹介をする山出愛子は、「12人でのステージをお届けできなくて悔しいし、悲しい気持ちでいっぱいだったんですけど」と胸中を吐露し、それから、「でも父兄の皆さんが笑顔で盛り上がってくれて本当にうれしかったです」と繋げ、「次のライブに向けて12人で成長していきます」と宣言をしてから曲に入っていった。そんな彼女の真摯なMCの後に始まった同曲に見入っていると自然と涙が込み上げてきた。眼下では一面にピンクのフラッグが揺れている。その景色がまた感情を大きく揺さぶっていく。

 

「以上、さくら学院でした~! バイバーイ!」

 

ステージを去って行く生徒たちに向けて大きな拍手が鳴り響く。歓声はしばらくの間続いた。特に中3の3人への声援が一番大きかったように思う。そうして大盛況の下、さくら学院のスタンディングライブは終了となった。昨年度のさくら学院のステージは、口ではなく背中で語る前生徒会長の島倉颯良の影響もあってか、小中学生がやっているとは到底思えない程のレベルの高いダンスの出来栄えやシンクロ度が注目され、それに強い感銘を覚えることが多かったが、今日の公演を見て、今年度のさくら学院のライブは、全体的にバランスの良いステージングであるような印象を受けた。さくら学院に4年半在籍し、いろいろなものを見てきて様々なことを考えてきた山出愛子の色が自然と出た形なのかもしれない。伝えるのは全部。若い力が躍動するダンスにばかりフォーカスが当たるのではなく、歌も表現力もしっかりと伝えていきたい。今夜の山出愛子のパフォーマンスからそんなふうに感じ取ったのだが、父兄たちの感想はどうだっただろうか。とにかくこれで今年度のさくら学院の活動も折り返し地点を過ぎた。すぐ来月には、さくら学院の三大行事の1つである学院祭が控えているが、その時は12人の生徒全員が元気に揃ってライブを行ってほしい。そして、山出生徒会長率いる2017年度のさくら学院が、これから先、どんな色を見せてくれるのか。今後の半年間、しっかりと見届けよう。

 

 

 

 

 

 

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