BABYMETAL WORLD TOUR 2023 – 2024 TOUR FINAL IN JAPAN LEGEND – 43 沖縄公演2日目 ライブレポート

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1.

昨晩のライブ後は、なかなかタクシーを捕まえることができなかった。
2日目の今日はライブ後に帰京するので、昨夜のようなことがあってはならない。
今日一日だけレンタカーを借りようかといろいろ調べてみたものの、
那覇空港近くのレンタカーは軒並み予約済。
残っているのは高い車種ばかり。
それならばと、ライブ会場からの帰りのバスの時刻を調べてみると、
ちょうどよいタイミングのバスが数本あったので、
僕は那覇市内のホテルをチェックアウトすると一度那覇空港へ向かい、
荷物をコインロッカーに預けて身軽になったのち、
それから、リムジンバスで会場近くまで向かうことにした。
ライブが終わった直後は混雑するので、
少しだけ早めに会場を出ることも想定しながら。

 

 

 

ゆいレールで那覇空港へ着いたのは11時過ぎ。
小腹が空いていたので、空港で早めのランチにする。
オーダーしたのは琉球村定食。
沖縄に来てようやく、沖縄らしい料理を食すことができた。

 

それから、リムジンバスのチケットを買いに1階ロビーへ。
初めて乗車するので、チケット売り場の男性から、
停車場や降車する地点の説明を受ける。
僕はそれなりの表情で頷くが実はよくわかっていない。

 

でも大丈夫。
小さい頃、それなりの顔をしてスーパーの駐車場に突っ立っていたら、
知らないおばさんから「賢そうなボクちゃんですねぇ」と頭を撫でられたことがある。
陣内孝則と陣内智則の違いがすぐにはわからない僕なりの処世術だ。

 

やがてリムジンバスは出発し、
14時過ぎに、沖縄コンベンションセンター近くのプリンスホテルに到着。
少し時間があるので、徒歩でぎのわんトロピカルビーチへ向かう。
BABYMETALのライブは沖縄コンベンションセンター展示棟で行われるが、
隣接する同センター劇場棟では浜崎あゆみのライブが行われる。
ビーチには双方のファン、黒いTシャツ姿のメイトたちと、
ヒョウ柄やピンク色の服を着たあゆのファンが入り乱れ、カオスな状況となっていた。

 

 

 

その後は入場待機列に並び、ほぼ定刻に入場。
今日のチケットは超モッシュピットで、指定されたブロックはB。
整理番号は160番台だったが、花道の2列目を確保。
センターステージを真正面から見ることができる位置だ。
周囲には10人弱の外国人がいる。
もしかしたら同じグループなのかもしれない。

 

 

 

客入れBGMでBad OmensやELECTRIC CALLBOYなどの曲が流れている。
そのほかにはPolyphia、Spiritbox、Bring Me The horisonなどの曲も流れ、
2度目の「Kingslayer」が終わり、熱気が場内に充満したところで不意に暗転。
刹那、会場のあちこちで怒号のような歓声が沸き起こった。
僕はすぐにフロア後方の、巨大なシーサーの顔の像を注視する。
おそらく昨夜と同じように、あの口が開き、そこから3人は出てくるだろう。
僕は刮目して彼女たちの登場を今か今かと待ち続けた。

 

 

 

 

2.

セットリスト

01. BABYMETAL DEATH
02. Distortion
03. PA PA YA!!
04. Shanti Shanti Shanti
05. MAYA
06. BxMxC
07. Brand New Day
08. Monochrome
09. メギツネ
10. ギミチョコ!!
11. KARATE
12. ヘドバンギャー!!
13. メタり!!
14. Road of Resistance

 

(Photo by Taku Fujii 以下同)

 

スクリーンにストーリー・ムービーが流れ始めると、
観客は目を凝らして映像を眺め始めた。
そして、そのムービー内で語られた、
メタルの魂が神の化身に宿った“キツネ43”が象られた巨大な岩から
BABYMETALの3人が登場してくると、ひときわ大きな歓声が沸き起こった。
目の前の花道を、SU-METAL、そしてMOAMETALとMOMOMETALが通り過ぎていく。
僕は目を見開き、息を呑んで、彼女たちの姿をゆっくりと目で追っていった。
華やかさと気品を備えた彼女たちのクールな表情は大層見目麗しかった。

 

 

 

ライブは昨夜同様、「BABYMETAL DEATH」で幕を上げた。
3人がメインステージに着いてから、楽曲はスタート。
メイトたちの“オイオイ”コールがこだまする中、花火が爆発すると、
視界はあっという間に大量のキツネサインで覆われた。

 

昨日の後方の端のブロックとは違い今日はセンター付近なのでステージが良く見える。
“B! A! B! “Y!” “DEATH! DEATH!”と、
地鳴りのようなメイトたちのコールがフロアを揺るがしている。
間奏に入ると、ギターソロに合わせてすぐさまモッシュが発生したが、
僕はその場を動かずにステージを凝視し続ける。
後になってまた3人が花道にやってくるのは昨日の公演でわかっているので、
それまではこの場に留まろうと考えていた。

 

曲が終わると、あちこちでひっきりなしに声援が飛び交った。
その中を次曲「Distortion」のイントロが流れてくると、
ピットにはすぐに大きなサークルができあがった。
そして曲が始まるなり、本日1発目のウォール・オブ・デスが発生。
僕はそれを横目に見ながら“ギバッー!ギバッー!”と声を張る。
SU-MEYALの歌唱は今夜も力強く、高音がどこまでも伸びている。
メイトたちによる“Wow Wow Wow Wow”の声も随分と大きい。
もっと熱くなれと言わんばかりに、パイロからは何度も炎が噴き出ている。
間奏に入ると、SU-METALが“はいさーい、沖縄ー!”と快活に叫んだ。
大勢のメイトが歓声を上げてそれに応える。
その後もメイトたちによる“Wow Wow Wow Wow”の大合唱は続き、
同曲は大盛り上がりのもと終了した。

 

 

 

次に披露された曲は「PA PA YA!!」。
ステージ前のパイロから一斉に花火が噴き出ると、場内はドッと沸いた。
大勢がタオルを振り回し、“パッパパパヤー!”と声を張る。
ステージ上の3人は、満面の笑みを浮かべて楽しそうに踊っている。
SU-METALの歌声はここでも絶好調。
巻き舌での歌唱も含め、力強く歌い続けている。
間奏でのラップのシーンになると、3人が笑顔で華麗にステップを踏んだ。
メイトたちは絶えずタオルを振り回し、“パッパパパヤー!”を大声で叫んでいる。
途中にSU-METALが“ジャンプ!ジャンプ!”と煽る度に熱気はぐんぐん上昇。
大勢がジャンプを繰り返し、爆発的な盛り上がりを見せている。

 

ライブはそのまま「Shanti Shanti Shanti」へ。
どうやら昨日と同じセトリで進行するようだ。
曲が始まると大きな歓声が沸いた。
リズムに合わせるように、大きな手拍子が何度も起こっている。
SU-METALの歌の節回しは艶があり、堪らない感情に支配される。
正面からステージを観ていると、しなやかで美しいダンスに引き込まれていった。
スクリーンに映る幾何学模様の映像は楽曲の世界観を彩り、
はたまた3人が万華鏡にように広がっていく映像は、観客の目を愉しませてくれる。
僕は縦ノリのリズムに揺れながら、ひと時もステージから目を離さなかった。
この美しくエレガントなステージングは必見の価値あり。
やがて曲が終了すると、大きな歓声と拍手が沸き起こった。

 

 

 

少しの間をおいて披露されたのは「MAYA」。
イントロが始まるなり、僕は嬉々として折り畳みヘドバンを始める。
目の前にいる外国人数人も、同じようにヘドバンを繰り返している。
一転、SU-METALが歌い始めると一斉に手拍子が始まった。
中盤はフロント3人の独壇場。
類い稀な歌唱と、美しいシメントリックなダンスで多くの観客を魅了している。
僕はリズムに合わせて何度も折り畳みヘドバンを繰り返した。
曲が終わると場内のあちこちから大きな拍手が沸き起こった。

 

続いては「BxMxC」。
イントロが始まるなり、僕はすぐに横ノリのリズムで体を揺らし、
手を挙げて“b”“m”“c”のハンドサインを繰り返す。
SU-METALのラップは随分と板についていて、
途中のフロウでは、その完璧さに何度も指笛が鳴った。
ドラムのブラストビートが炸裂した後は、
怒涛の“B! M! C!”コールの大合唱。
3人に煽られ、大勢が手を振り大声を張っている。
やがて曲が終わると、あちこちで悲鳴に似た大きな歓声が沸き起こった。

 

 

 

場内が熱気に包まれる中、次曲「Brand New Day」のイントロが流れてくると、
観客はみなステージを注視した。
僕も正面からスクリーンを凝視する。
少しずつ昇っていく夕陽の中に、3人のシルエットが現れる。
彼女たちは優雅に歩きながら、音ハメで何度かフィンガースナップをキメる。
その一連の動きだけで、僕の心は満ち足りる。
なんて美しい入り方なんだと吐息を零し、目尻を下げた。

 

曲が始まると、SU-METALの渾身の歌唱がすぐさま場内を支配した。
彼女の絶唱による倍音の響きが否応なく涙腺を刺激する。
僕は微動だにせずに、3人のステージングを眺め続ける。
バックの映像にシンクロする3人の美しいダンスルーティンに心奪われる。
SU-METALの高音の響きに、再び打ち震える。
堪らない。倍音の響きが何度もグッと刺さる。
僕は涙を流したまま、最後までステージを眺め続けた。
曲が終わると、“オオー!”“ヒュー!”といった嘆息交じりの歓声が周囲で沸き起こった。

 

少しして披露された次の曲は「Monochrome」。
僕は指先で涙を拭った後、ヘヴィなイントロに合わせてすぐに頭を振る。
SU-METALが感情をこめてしっとりと歌い始める。
抑揚をつけて、情感たっぷりに歌う。
間奏に入ると、いつものようにSU-METALが“スマホのライトを点けて”と訴えた。
“このくらーい世界を、みーんなの光で照らしてほしい”
場内は白い光に覆われていき、瞬く間に幻想的な世界に包まれていった。
SU-METALが満面の笑みではしゃいだ声を上げる。
“後ろまで、みーんなの光見えてるよー、ありがとう、ほんとに綺麗”
僕はスマホのライトを左右に揺らしながら、“オッオッオッー”のコールを繰り返す。
曲が終わると、場内は大きな拍手と歓声が沸き起こった。

 

続いて「メギツネ」のイントロが流れてくると、すぐに“オイオイ”コールが発生。
僕もキツネサインを掲げてそれに倣う。
曲が始まると、フロアは一気に大盛り上がり。
大勢がジャンプしながら“ソレッ!”“ソレッ!”と大声で叫ぶ。
間奏に入ると大きな手拍子が発生。
SU-METALが“エブリバディ ジャンプアップ”と煽ると、再びフロアは爆発。
誰も彼もが“ソレッ!ソレッ!ソレッ!ソレッ!”と声を発して騒いでいる。
最後にSU-METALが“あ~あ~”と艶めかしくキメて、
まさにお祭り騒ぎといった具合に盛り上がった同曲は終了した。

 

続けざまにライブは「ギミチョコ!!」へと続く。
大勢が一斉に歓声を上げ、すぐにリズムに乗って体を揺らす。
間奏に入ると、大きな手拍子が起こった。
SU-METALが“今日はみんなに会えて嬉しいよー”と声を張ると大きな歓声が沸いた。
ピットではモッシュが何度も発生。
外国人も笑顔で体をぶつけあっている。
僕は終始、リズムに乗って気持ちよく頭を揺らし続けた。
曲が終わると大きな歓声と拍手が沸き起こった。

 

立て続けに「KARATE」が披露される。
緑と紫のレーザー光線が伸びる中、3人が揃ってポーズを決める。
大きな“押忍!”のコールの後に、SU-METALが力強く歌い始める。
僕も一緒になってコールし、3人のステージングに見入る。
間奏に入ると、3人に倣って倒れこむメイトが多数。
SU-METALが2人を引っ張り起こすシーンはいつ見てもグッとくる。
その後の“エブリバディジャンプ!”の煽りでフロアはさらに熱狂。
最後のSU-METALのロングトーンに感極まり、僕は再び涙を流した。

 

休む間もなくライブは「ヘドバンギャー!!」へと続く。
曲が始まると、大勢が一斉にベビーヘドバンを敢行。
MOAMETALとMOMOMETALの可愛らしい“ヘドバン!”コールに合わせて首を横に振る。
SU-METALの力強い歌声が気持ち良いほどに場内に響き渡る。
間奏に入ると、SU-METALがスタンドマイクを掲げる中、
MOAMETALとMOMOMETALが観客に土下座ヘドバンを要請。
その後にフロア全体で起こった土下座ヘドバンのシーンでは、
MOAMETALとMOMOMETALも渾身のヘドバンを繰り出した。
終盤の“キ・エ・ロ!”のコールはこの上なく大きい。
最後まで大盛り上がりで、やがて同曲は終了した。

 

暗転すると、すぐに“BABYMETAL”コールが発生。
しばらくしてから披露されたのは「メタり!!」。
スクリーンにストーリームービーが流れ始める。
琉球メタル村の勇者ニキ&ネキによる踊りと太鼓の祭囃子に導かれ
といった文章が流れたのち、“ちもどんどん”の文字が繰り返し大きく表示され、
その後太鼓を持ったエイサー隊10名が登場。
その中心に、フロントの3人が姿を現し、SU-METALが
“はいたーい! 沖縄ー! ぐすーよーちゅーうがなびら!”と叫ぶと、
場内のあちこちで大きな歓声が沸き起こった。

 

 

 

掛け声なども沖縄バージョンにアレンジされたパフォーマンスが披露され、
観客も歌い踊り、会場のボルテージは最高潮に達した。
MOMOMETALが見得を切るシーンになると、
3人は花道を練り歩き、観客にしゃがむように促した。
そんな中ふと、SU-METALは、“キツネ43”の像の前に正座すると、
リズムに合わせて首を左右に振るアドリブをかました。
その様子を、MOAMETALとMOMOMETALの2人が笑顔で見守る。
その後3人は急いでメインステージに戻り、
MOMOMETALが見得を切ると、あちこちで“岡崎屋ー!”の声が飛び交った。
デスボでの“Are you ready?”の後は、全員が立ち上がり一斉にジャンプ。
場内は興奮の坩堝と化し、同曲も大盛り上がりのもと終了した。

 

 

 

そして最後に披露されたのはアンセム「Road of Resistance」。
冒頭、僕は大声で“オーオーオーオー”と声を張る。
そして満を持してウォール・オブ・デスに参加し、
そのままサークルモッシュに興じた。
ステージでは、SU-METALが力強く歌い上げている。
MOAMETALとMOMOMETALは、キレのあるダンスを披露している。
僕はその光景を目に焼き付けたのち、ここで会場を後にすることに。
ライブ終了後の混雑を避けるためだった。
この後、帰りのフライトがあるので致し方なし。
最後まで参加したかったが、僕は断腸の思いで展示棟の外に出た。

 

 

 

 

 

 

4.

ライブは16時半に始まり、現在は17時50分。
18時過ぎの那覇空港行きのバスに乗るため、僕は急ぎ足でバイパスに出る。
するとすぐ目の前に流しのタクシーを見つけた。
メーターは空車。まさかだった。
昨日はタクシーの配車に45分もかかったのに、
少し早く会場を出ただけで、こんなにすぐにタクシーが捕まるなんて。
ライブ前の心配は一体なんだったのだろうか。
だけどライブ後であれば、こうもすんなりとはいかなかっただろう。
とにもかくにも、これ幸いと僕はタクシーに乗り込むと、
那覇空港へ向かう間、2日間のライブを振り返った。

 

ライブのハイライトはやはり、「メタり!!」のエイサーバージョン。
演出だけでなく楽曲も沖縄バージョンにアレンジされていたので、
随分と楽しく踊ることができた。
SU-METALの沖縄方言もばっちりだったようで、
彼女が声を発するたびに大きな歓声が沸き起こっていた。

 

そして、改めて思ったのが、
BABYMETALのライブの完成度の高さ。
今日の会場は最大5000人のキャパだが、フロアには花道があり、
また各ブロックも人数には余裕があったので、
おそらく今日集まった観客の数はだいたい3000人~4000人くらいだっただろうか。
それくらいの大きさの会場なので、
ステージ背後のスクリーンも特別に大きいというわけではなかったが、
それでもそこに映る映像とレーザー光線とパイロの炎の演出と、
クオリティの高い彼女たち3人のパフォーマンスが披露されれば、
すぐに非現実的な世界に誘われ、深くライブに没入した。
とりわけ「Shanti Shanti Shanti」に「MAYA」、「Brand New Day」、「Monochrome」は、
ほとんど微動だにせずに、食い入るようにして彼女たちのパフォーマンスに見入り、
そして酔いしれた。
もう何十回も彼女たちのライブには通っているのに、
行くたびに、参加するたびに、大きな感動を享受している。

 

次に参加できるライブは、5月のFOX_FEST。
その間にBABYMETALは、アメリカ西海岸でライブを行うが、
せめて明日から1週間ほどは沖縄を満喫し、英気を養ってほしい。
彼女たちのスケジュールは知る由もないが、そんなことを願いつつ、
僕は口元に笑みを湛えて、タクシーの車窓から覗く美しい沖縄の海を眺め続けた。
脳裏には、三線のリズムに合わせて響き渡る、
“セッセッセッセッ、イヤハヤアイヤー”の陽気な掛け声がこだましている。

 

 

 

 

うっとりしながら海を眺めていると、高齢のタクシードライバーが話しかけてきた。
十何年か前にパルコができたから、このバイパスが通り、
おかげで那覇空港へ向かう渋滞が解消されたと言っている。
方言交じりなのでところどころわからなかったが、
僕はなるほどーと言わんばかりにうんうんと首肯した。

 

でも大丈夫。
小さい頃もわかった風な顔をして路肩に突っ立っていたら、
知らないおっさんから「偉そうな坊主やないか」と褒められたことがある。
木村文乃と木村佳乃の違いと、水野美紀と水野真紀の違いがすぐにはわからない
僕なりの処世術だ。

 

 

 

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