BABYMETAL WORLD TOUR 2023-2024 LEGEND – MM 横アリ公演初日 ライブレポート

スポンサー





 

1.

春の訪れなど微塵も感じさせない寒風吹きすさぶ中、僕は一人、新横浜へ向かう。
昨晩までは在来線でゆっくり移動しようと決め込んでいたのに、
今朝になって急に思い止まり、予定を変更し、東京駅から新幹線に乗車した。
朝早くから物販列に並ばない日であっても、そこはやはり、
大好きなアクトのライブだからだろう、自然と気持ちが逸った。
特に急ぐ必要はないのに、早いところ現地に着きたいという衝動に駆られた。
僕はぼんやりとした視線を車窓に移すと、本日の主役について思考を巡らせた。

 

岡崎百々子の姿を初めて目にしたのはさくら学院の転入式の時だった。
その後はいち父兄として、さくら学院のライブや三大行事
(転入式、学院祭、卒業式)などで彼女の成長、活躍ぶりを見守った。
さくら学院として並行してモデルや女優の活動もしていたから、
彼女が2018年3月にさくら学院を卒業するのに合わせて
アミューズとの契約を終了したときには少なからず驚いた。
そして、海外へ語学留学しているという話を耳にして以降は、
しばらくの間ほぼ情報は入ってきていなかった。
しかし突然、彼女は今度は父兄ではなくメイトたちの眼前に姿を現したのだった。

 

2019年6月に開催された「BABYMETAL AWAKENS – THE SUN ALSO RISES -」で、
アベンジャーズ(サポートダンサー3名)システムが採用されることが発表された。
そしてそのアベンジャーズの一人として、岡崎百々子は、
同年8月4日に開催された台湾の音楽フェス「SUPER SLIPPA 10」に初登場。
その後はアベンジャーズとして欧米のツアーに帯同し、
コロナ禍に開催された武道館10公演にも出演。
BABYMETALがライブ活動を休止している間は、
韓国のオーディション番組『Girls Planet 999』に参加したりもしたが、
2023年4月の公演「BABYMETAL BEGINS – THE OTHER ONE -」より、
BABYMETALの正規メンバー“MOMOMETAL”としての活動を開始したのだった。

 

そのMOMOMETALの記念すべき誕生日を祝う公演「LEGEND – MM」が、
本日と明日の2日間、横浜アリーナで開催される。
本来であれば生誕祭は、同じメンバーのSU-METALとMOMOMETAL同様、
MOMOMETALが20歳を迎える際に執り行われるのが慣例なのだろうが、
彼女が正式にBABYMETALのメンバーになったのは20歳を過ぎた後だった。
だから今回の公演のサブタイトルは、“20NIGHT”と“21NIGHT”と銘打たれている。
20歳最後の日を迎える今夜の公演では、いったいどういった演出があるのだろうか。
“二十歳の夜を忘れない”「ヘドバンギャー!!」は間違いなく披露されるだろう。
そしてLEGEND公演、それも今回は生誕祭なので、
期待以上のアリーナショーで魅せてくれるに違いない。
僕は口元に微笑を湛えたまま、流れゆく車窓の景色を眺め続けた。

 

 

 

 

2.

 

やがて新幹線は新横浜駅へ到着した。
僕はいそいそと会場まで移動すると一般の物販列に並んだ。
相変わらず中高年の比率が高いが、若者の姿もそれなりにある。
欧米やアジア系の外国人の姿もちらほら散見された。
そして今回もコスプレをしている若い女性の姿が多く目についた。

 

 

 

3時間ほど並んでからお目当てのグッズを購入。
その後は昼食を済ませからホテルへチェックイン。
そして16時半頃に、改めて現地へ。
今日は一般シートなので、厚着のままの格好で向かう。
会場前では多くの人が談笑し、にわかに活気づいている。

 

 

 

その後開場が遅れ、ようやく入場できたのは1時間半後。
開演の予定時間だった。
僕は神器を受け取ると、急いで所定の場所へ向かった。
今回の神器は腕輪。ライブ中にLEDライトが発光するのだろう。

 

 

 

客入れBGMでBring Me The Horizon、Harperなどの曲が流れている。
それからSpritbox、Conquer Divideなどの曲が続き、
Bloodywoodの「Dana-Dan」のイントロが流れ始めたときだった。
定刻より25分が過ぎたあたりで不意に暗転。
刹那、会場のあちこちで怒号のような歓声が沸き起こった。
僕は刮目してステージを凝視し続ける。
鼓動は一気に加速し、大いなる期待感に全身が包まれる。

 

 

 

 

3.

セットリスト

01. BABYMETAL DEATH
02. メギツネ
03. DA DA DANCE
04. Shanti Shanti Shanti
05. Kagerou
06. MAYA
07. BxMxC
08. シンコペーション
09. Monochrome
10. メタり!!
11. ギミチョコ!!
12. ド・キ・ド・キ☆モーニング
13. THE ONE
14. ヘドバンギャー!!
15. Road of Resistance

 

ライブ1発目は定番の「BABYMETAL DEATH」。
フロントの3人が十字架に磔の姿で登場。
その様子を目にした瞬間、僕は非現実な世界に没入する。
スタンドの客のほぼ全員が起立し、キツネサインを掲げている。
両隣の若い女性が主だろう、左右から悲鳴のような声が聞こえてくる。
“B!”“A!”“B!”“Y!”とコールする声が大きい。
“MOMOMETAL DEATH!”の際にはひと際大きな歓声が上がった。
曲が終わるや、あちこちで彼女たち3人の名を呼び声が飛び交っている。

 

眼下のピットでは10個近いサークルピットが発生していただろうか。
アリーナ全体がすでに大きな盛り上がりを見せている。
そのような状況の中で投下された次なる曲は「メギツネ」。
“ソレッ!”“ソレッ!”の掛け声とともに、
フロアでもスタンドでも大量の腕が揺れている。
SU-METALが渾身の歌唱を披露する。
久々のライブだからだろうか、
序盤は苦しそうなシーンも見受けられたが、後半は持ち直していた。
間奏では恒例の“メギツネジャンプ”を促して盛り上げ、
会場が一つになって同曲は終了した。

 

そして、続いて披露されたのが、
おそらく多くの者が予想していなかった「DA DA DANCE」。
イントロが始まるなり、僕はノリノリになって踊る。
SU-METALの力強く、かつ伸びやかな歌唱が心地良い。
鋭い切れ味はそのままに、MOAMETALもMOMOMETALも楽し気に踊っている。
間奏明けはMOAMETALの独壇場。
センターで1人、高速ラップを披露する。
最初の2曲は赤が主体の照明だったが、同曲では青が基調になっているので、
それだけでステージは華やかになり、随分と明るく感じられる。
曲のテンポ、背後のスクリーンに映るカラフルな映像もそれを後押ししている。
終盤になっても周囲の熱量は高い状態を保ち続け、
やがて同曲も大盛り上がりのもと終了した。

 

続く曲は「Shanti Shanti Shanti」。
この選曲も予期していなかったのだろう、
イントロが始まった途端にどよめくような歓声が沸いた。
“Shanti Shanti”“生けるものたちのプラナ“
曲が始まると、僕はすぐにリズムにノッて体を揺らす。
途中に何度か跳ねながら拍手を繰り返す。
同曲でのSU-METALの歌唱も見事。
難しいパートも滑らかに弾むように歌っていく。
遠目に見ても、MOAMETALとMOMOMETALのダンスは美しい。
久方ぶりに同曲のパフォーマンスを目にしたからだろうか、
僕はノスタルジックを感じながらステージを見続けた。

 

続いての曲は「Kagerou」。
これも予期していなかった。嬉しい誤算が続く。
西の神バンドの面々がソロプレイで観客を沸かせたのち、
3人が颯爽とステージに登場。
奇麗に揃ったダンスルーティンで場内をヒートアップさせる。
この曲でのSU-METALの歌唱はとても情感豊か。
艶やかに、そして狂おしく溢れるような感情をうまく乗せている。
それでいてリズムが抜群なので、終始心地が良いし、まったく飽きない。
やがて同曲が終わると、場内から温かな拍手が沸き起こった。

 

続いて披露されたのは「MAYA」。
ヘヴィなイントロが堪らず、僕は折り畳みヘドバンを繰り出す。
SU-METALの伸びのある歌声が館内に響き渡る。
白いレーザー光線の明滅する美しい演出が神秘的な楽曲をさらに彩り、
誰もが集中してパフォーマンスに見入っている。

 

続く曲は「BxMxC」。
イントロが始まるなり大勢がリズムにノッて体を揺らし始める。
僕は手を挙げて“b”“m”“c”のハンドサインを繰り返す。
周囲の人たちも同じようにハンドサインをしている。
SU-METALがフロウをかますと場内が沸いた。
終盤の“B! M! C!”コールは大合唱。
怒号のような声が場内を揺すっている。
やがて曲が終わると、大きな歓声や拍手が沸き起こった。

 

続いて「シンコペーション」のイントロが流れてくると、それだけで場内は沸いた。
人気曲なので、嬉しく思った人が多くいたことだろう。
僕は音を貪るようにして気持ちよく頭を揺らす。
“回れ 回れ”SU-METALの渾身の歌唱にあわせて頭上で腕を振り回す。
それにしてもSU-METALの力強い歌声が心地良い。
まるで大空に放たれた鳥にでもなったように、自由でふわふわする気分だ。
終盤に入ると自発的に手拍子が発生。
誰もがリズムにノッて体を揺らし、大盛り上がりで同曲は終了した。

 

次の曲は「Monochrome」。
SU-METALが感情をこめて力強く唄う。
MOAMETALとMOMOMETALの華麗なダンスルーティンに大勢が魅了されている。
僕は直利不動でステージを凝視し、SU-METALの歌唱にうっとりする。
間奏に入ると、僕はそそくさとポケットからスマホを取り出す。
が、SU-METALがいつものように“スマホのライトを点けて”とは言わなかった。
“おや?”と違和感を覚えていると、
いつのまにか場内にはおびただしい白い光の数がゆらゆらと揺れていた。
入場時に渡された神器、腕輪のライトが白く光り出したのだった。
僕はスマホをポケットに仕舞うと、腕輪をしている左手を挙げて左右に振った。

 

会場が瞬く間に幻想的で美しい世界に包まれていく。
SU-METALの渾身の歌唱の後を、“オッオッオッー”の合唱が続く。
白い光は一旦消え、そして終盤に再度光り輝いたのだが、
その光は暖色系の光だった。
腕輪のライトをよく見てみると、青、赤、紫で光っていて、
僕にはそれが一瞬“虹色”のように思えた。
刹那、“モノクロームの花火なら 僕らは 虹色で包もう 世界を 笑って”
聞こえてくるSU-METALの絶唱に、思わず身震いした。
曲が終わると怒号のような歓声が周囲に響き渡った。

 

エモい空気が残る中、次曲「メタり!!」が始まると大きな歓声が沸いた。
神バンドがソロプレイを披露したのち、3人が飛ぶようにしてステージに登場。
SU-METALのMCで手を前後に揺らす観客たち。
“ここからラストまで駆け抜けていくよ~”“みんな、ついてこれるー?”
“そんなんじゃぜんぜん足りないよ~”“みんなの声もっと聞かせて~”
SU-METALが煽ると、その都度大きな歓声が沸いた。
MOMOMETALが見得を切るシーンでは、スタンドの人たちも一旦座ってからジャンプ。
みんなが一斉に飛ぶので、足元はだいぶ振動している。
終盤では大きな“わっしょい!”コールが場内に響き渡った。
大勢が好きなように騒ぎまくり、場内は興奮の坩堝と化している。

 

続いて披露されたのは、
セトリの終盤にもってくるのは珍しい代表曲の「ギミチョコ!!」。
曲が始まるなり場内は大盛り上がり。
両隣の若い女性が嬉々としてフリコピをしている。
僕は終始、気持ちよく頭を揺らした。
この独特なテンポのリズムが心地良い。
サビにかけて場内の熱量は徐々に上がっていき、
やがて同曲も大盛り上がりの元終了した。

 

そして続けざまに「ド・キ・ド・キ☆モーニング」がスタートすると、
場内のあちこちから温かい声援がひっきりなしに沸いた。
メイトたちが“オイ!オイ!”と声を張り、一斉に手拍子を始める。
周囲の若い女性たちがここでも楽し気にフリコピをする。
僕も周囲の人らと楽しい時間を共有しながら“今何時!”と声を張る。
大きなスクリーンに映る3人もとても楽しそうに踊っている。
SU-METALがいつも以上に可愛らしい歌い方をする。
終盤になっても多くの人たちが一緒になって踊っている。
温かい空気に包まれた中、同曲も大盛り上がりの元終了した。

 

少しの間をおいて始まった次の曲は「THE ONE」。
イントロが流れ始めてくると、曲の世界観がそうさせるのだろう、
場内は一斉に静寂に包まれた。
誰もが集中して3人のパフォーマンスに見入っている。
その静けさを打ち消すように、SU-METALの渾身の歌唱が響き渡る。
曲が中盤に差し掛かると、再び腕輪のライトが白く光り輝いた。
その光景には見覚えがあった。
2016年の東京ドーム公演、あの時も同じような光景を目にした。
郷愁を覚えながらライブに浸っていると、僕は堪らなくなり、
目に涙を溜めたまま美しいツインギターの音色に身を委ねた。
“ ララララ~ ”の大合唱で会場は一つになり、
大きな感動を伴って、美しい演出の同曲はやがて終了した。

 

場内が暗転すると、すぐに“BABYMETAL”コールが始まった。
コールの後の手拍子に合わせて、腕輪のライトが明滅する。
やがてストーリームービーが始まった。
“西のオレンジの空が桃色に染まったとき、1人のメシアが誕生した”
それは明らかにMOMOMETALのことを語る内容だった。

 

そして、少しの間をおいて始まったのは「ヘドバンギャー!!」。
誰もが待ち望んでいた楽曲がついにここで披露される。
冒頭、MOMOMETALの乗ったゴンドラが天井から花道のステージに降下。
スクリーンに映し出されているMOMOMETALの表情が凛々しい。
やがて曲が始まると、熱量が大きなうねりとなって場内を包んでいった。
大勢が“こいやー!”と声を張り、“ヴォイ!ヴォイ!”と拳を突き上げている。

 

間奏に入ると、SU-METALがスタンドマイクをMOMOMETALへ渡す儀式が。
その様子を、大勢が喜びとともに見守っている。
土下座ヘドバンを繰り返すSU-METALとMOAMETALを従え、
決意に満ちた表情のMOMOMETALがスタンドマイクを掲げる。
そして彼女が発した第一声は、デスボイスによる“頭頭頭ー!”の掛け声。
まさかのグロウルに沸くメイトたち。大勢が嬉々として頭を揺らす。
そしてその後、ついにMOMOMETALが歌い出すのだが、
最初から狙っていたのだろう、彼女は何とも可愛らしいアニメ声のような声色で、
“はったちっのっ、よっるっはっ、”と切り出したので大勢が笑顔になった。
終盤には腕輪が桃色に光り、場内がピンク色に染まった。
曲が終わっても拍手と歓声はしばらくの間続き、
やがてそれは大きな“MOMO”もしくは“モモちゃん”コールへと変わっていった。

 

クライマックスを迎えた直後に披露されたのは、
ライブのクロージングとして定番のアンセム「Road of Resistance」。
冒頭のウォール・オブ・デスは、アリーナのあちこちで見られた。
僕はドラムのブラストビートに合わせて気持ちよく頭を振った。
シンガロングのシーンになると腕輪が再び白く光り輝いた。
幻想的な世界にうっとりしながら、僕は何度も拳を突き上げる。
“ウォーウォーウォーウォ”の大合唱が場内を揺らしている。
終盤になってもフロアの熱狂は続いているようだった。
至る所で何度もサークルピットが形成されている。
そして大盛り上がりのもと、やがて同曲も終了。
最後は恒例の“We are?”“ BABYMETAL!”コールでライブを締めた。
最後に大きな花火が打ちあがり、ライブは大盛り上がりのもと幕を閉じた。
今日でしか体験できない特別な演目に対する大きな満足感を伴って。

 

 

 

 

4.

 

熱気に包まれた場内を後にし、外に出る。
会場前では多くの人が顔を輝かせ、今宵のショーの感想を熱く語り合っている。
僕はひとり、口元に微笑を湛えたままホテルへ向かう。
そうして楽しかった今夜のライブを振り返った。

 

まず音響に関してだが、横浜アリーナはいつも満足できるのだが今夜も随分良かった。
バランスも良く、演奏もヴォーカルもクリアに聞こえた。
今夜はバックスタンドだったのでさすがに音圧を感じることはなかったが、
それでも十分に愉しむことができた。

 

続いてライブの内容についてだが、
言わずもがな、BABYMETALのライブパフォーマンスは今夜も傑出していた。
今日は久しぶりのスタンドからの観覧だったが、
まるで始めて見るような感覚で、終始楽しかった。
改めて思う。
こんなにも前のめりで我を忘れて純粋に楽しめるライブはそうそうない。

 

細かい部分で言えば、SU-METALは今夜もさすがの歌唱力を披露したが、
何ヵ所か声が上ずる部分があり、少なからず不安定さを露呈した。
それでも全体を通しては素晴らしく、今夜も会場を支配していた。
やはり彼女は傑出したボーカリスト。
楽曲の良さや目を見張るダンス、効果的な演出もさることながら、
自分は彼女の歌声が好きで何度もライブに足を運ぶんだなと痛切した。

 

そして、今夜の主役のMOMOMETAL。
BABYMETALの正式メンバーになってから約1年が過ぎたが、
彼女のBABYMETALでの佇まいはすっかりと板についてきて、
もはや貫禄すらあった。
それでいて愛嬌や可愛らしい部分は残っていて、
それがライブに反映されているから、
そのギャップに萌えることもしばしば。
今夜の“モモバンギャー”も良い例。
グロウルと可愛らしい歌声とのギャップは大層楽しいものだった。
そして二十歳最後の夜を経て、明日は21歳の誕生日を迎える彼女。
きっと明日のライブでは、彼女の誕生日を祝福する温かい空気が場内に充満し、
誰もが幸せになれるような体験をすることだろう。
今からもう、明日のライブが楽しみで仕方がない。

 

 

 

スポンサー

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください