BABYMETAL METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN 大阪城ホール公演 初日 ライブレポート

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1.

会社を昼で早退すると、僕はいそいそと最寄り駅へ向かう。
夢の続きを見るために、そのまま大阪へ向かう。
BABYMETALとBRING ME THE HORIZONという、
大好きなバンド2組のライブを同時に見るというのは本当に夢のようで、
しかも中2日空けただけでまた体験できるのだから、こんなに幸せなことはない。
僕は浮かれ気分で新幹線に乗車した。

 

 

 

やがて大阪に着き、ホテルのチェックインを済ませると、会場である大阪城ホールへ。
2年前のライブの時も同じホテルだったので懐かしく感じる。
出かける際に少しばかり逡巡したが、結局半袖のままで行くことに。
記憶を辿りながら、2年前と同じ道順で向かう。
大阪城を右手に見ながら進んでいくと、果たして大阪城ホールに着いた。
時刻は16時を回ったあたりだった。

 

 

 

開場時間が近づいてきたので、2年前と同じピットの待機場所へ移動。
それにしても今日の大阪は寒い。気温は10度ちょっとしかない。
意気揚々とホテルを出たものの、さすがに半袖だけでは我慢できなくなってきた。
とはいえ、上に着るものは何も持ってきていないので、そのまま耐え続けるほかない。
しばらくして整理番号を呼ばれたので、両腕をさすりながら入場口へ向かった。

 

 

 

ややあって開場となり、整理番号の若い順に入場が始まる。
「4」番や「44」番で歓声が上がるのはもはや様式美だ。
その後セキュリティチェックをパスし、通路を抜けてからアリーナへ入場。
ブロック分けは2年前と同じで、かなり縦が狭い横長の囲み。
チケットを確認しながらR-4ブロックに入る。

 

 

 

前から4番目のブロックだが、フロアからステージを見ると随分近く感じた。
さいたまスーパーアリーナでの観戦が両日スタンドだったせいもあるかもしれない。
それはさておき、この位置であれば十分肉眼で見えるだろう。
もうすぐ密度の濃い時間が来ると思うと自然と気持ちが高ぶってくる。

 

SEでメタリカやアンスラックス、カンニバル・コープスの曲がかかっているが、
随分とハロウィンの曲がかかっている。
僕は小さくヘドバンをしながら静かにその時が来るのを待つ。
やがて定刻となり、客電が落ちると、あちこちから歓声が沸いた。
BRING ME THE HORIZONの登場を心待ちにしていた人はかなり多いようだ。
言わずもがな僕も声を張り、諸手を上げた状態でバンド・メンバーを迎える。
胸を弾ませ、目を輝かせ、童心に帰って目一杯愉しもうと歓声を上げる。

 

 

 

 

2.

セットリスト

01. Ludens
02. MANTRA
03. The House of Wolves
04. Wonderful Life
05. Shadow Moses
06. Happy Song
07. Can You Feel My Heart
08. Medicine
09. Drown
10. Throne

 

爆音で流れるSEに導かれてバンド・メンバーがステージに登場。
ヴォーカルのオリヴァー・サイクスが声を上げると大きな歓声が沸いた。
ライブは今宵も新曲の「Ludens」からスタート。
新曲だから乗れないのか、それともファンではないからおとなしいのか、
周囲で盛り上がっているのは僕を入れても数人ほど。
しかしライブ中は周りのことを気にしても仕方がない。
僕はその場で体を動かしながら、オリヴァーと一緒なって歌う。
‟Do you know why the flowers never bloom?”
特にサビからコーラスにかけてはノリノリになって大声を張った。

 

続いて「MANTRA」が披露されると、場内の熱気は随分とヒートアップした。
知っている曲と知らない曲とでは熱量に差があるようだ。
スクリーンでの映像演出や女性ダンサーを交えたステージングが続く。
‟Before the truth will set you free, it’ll piss you off”
大音量ではないものの、サビではシンガロングが発生した。

 

続く「The House of Wolves」では渾身のヘドバンをかます。
ピットが狭いので残念ながらモッシュやサークル・モッシュはできないので、
より大声を張り、絶えずヘドバンを繰り出した。
‟Brick by brick by brick” ‟The house of wolves you built”
大音量なので、どんなに大声で歌っても周りの迷惑とはならない。
とても気持ちよく楽しむことができた。

 

4曲目は「Wonderful Life」。
僕はここでも大声で歌う。
‟Lone, getting high on a Saturday night”
しかしながら、血管が切れそうになるほど繰り返しサビを大声で歌っていたら、
途中から早くも声が掠れてしまった。
‟Oh, what a wonderful life”
それでも気持ちは良いので僕は最後まで全力で歌う。

 

次に披露された「Shadow Moses」はそれりに知名度は高いようで、
冒頭からコール&レスポンスに参加している人は多かった。
僕も負けじと‟We’re going nowhere”と声を出し、‟This is sempiternal”と叫ぶ。
その後ライブは人気曲の「Happy Song」と続いていくが、
ここでオリヴァーは威勢よく‟サークルピットが必要だ。作れ!”と何度か叫んだ。
しかしながら、モッシュは不向きなブロック割りなので、観客はほとんど動かなかった。
オリヴァーもサークルピットはすぐに諦めたようで、ジャンプを促しながら盛り上げていった。
‟sing along a little fuckin’ louder To a happy song, I’ll be alright”
僕はほぼ全部を歌いながら同曲を心底堪能した。

 

ライブのクライマックスは「Can You Feel My Heart」の次にやってきた。
日本のテレビのCMソングで流れている「medicine」になると、
オリヴァーは観客に向かってライターかスマホのライトを点けるよう促してきた。
すると、大勢の観客がスマホのライトを照らすことで応えたのだった。
大量の光が揺れる幻想的な世界が広がる中、オリヴァーがキャッチーなサビを歌う。
‟You need a taste of your own medicine”
僕もスマホを左右に振りながら一緒になって大声で歌った。
最高に気持ちの良い時がゆったりと流れてゆく。

 

‟Who will fix me now? Dive in when I’m down?”
続いて披露されたアンセミックな「Drown」では大合唱が生まれ、
感動のあまり僕の心は打ち震えた。
自然と涙が溢れてくる。
ラストの「Throne」では冒頭から大勢が一斉にジャンプ。
‟Beat me black and blue” ‟Every scar will build my throne”
サビでは最後の力を振り絞って全力でコールする。
間奏では、もはや恒例となっている、座り込んでからの一斉ジャンプでピークを迎え、
45分間に及ぶ最高のパフォーマンスは終了となった。
オリヴァーをはじめ、メンバー全員が満足したようで、彼らは笑顔で袖にハケていった。
僕はタオルで涙を拭きながら拍手を続けて去っていく彼らを称える。
スタンドと違い、フロアでノリノリで楽しむライブは最高の体験だった。

 

完全燃焼したBring Me The Horizonのライブの余韻が続いている。
この柵の状態ではモッシュはできないと判断して、急遽あの演出を考えたのだろうか。
「medicine」のスマホライト、それに、「Drown」の大合唱はハイライトだった。
僕は半ば放心状態で突っ立っている。
とても心地が良い。
大声で歌ってかなりエネルギーを消耗したので、インターバルの間に呼吸を整える。
やがてBABYMETALのライブが始まると、場内の空気は一変した。
客電が落ちた瞬間、絶叫のような声援があちこちから上がる。
僕は背筋を伸ばしてステージを凝視する。
口元には自然と笑みが浮かんでいる。

 

 

 

 

3.

セットリスト

01. FUTURE METAL
02. DA DA DANCE(feat. Tak Matsumoto)
03. ギミチョコ!!
04. Elevator Girl
05. Shanti Shanti Shanti
06. Starlight
07. Kagerou
08. Distortion(feat. Alissa White-Gluz)
09. メギツネ
10. PA PA YA!!(feat. F.HERO)
11. KARATE
12. Road of Resistance
EN
13. Shine
14. Arkadia

 

Bring Me The Horizonの熱量を受け取ったBABYMETALのライブが始まる。
スタートは今宵も「FUTURE METAL」。
ステージの巨大なワイドスクリーンには宇宙を旅していく宇宙船の映像が流れている。
続いて「DA DA DANCE(feat. Tak Matsumoto)」のイントロが始まると、
SU-METALとMOAMETAL、それとサポート・ダンサーの鞘師里保が現われた。
その瞬間、思わず「近っ!」と声にする。
4番目のブロックでも視界は良好。肉眼で3人の表情までよくわかる。
そしてセンターステージが上昇しても、ちょうど良い角度で眺めることができた。
彼女たちの姿が少しでもステージに隠れることはなかった。
僕は躍動する3人を凝視したまま体を揺らす。
目映い映像とユーロビート調のリズムが絶え間なく脳天を刺激する。

 

SU-METALの力強くて伸びやかな歌声が場内に響く。
今宵も調子は良いようだ。
MOAMETALと鞘師里保のダンスも見惚れるほどにキレキレだった。
ラップパートのMOAMETALのダンスもはっきりと見ることができた。
場内のボルテージが一気に上がる中、続けて「ギミチョコ!!」で畳みかけてくる。
僕はヘドバンを繰り返しながら同曲を堪能。
周囲を窺うと、ブロックが狭いからモッシュは起こっていないようだった。
連続写真のようにスクリーンに映し出される映像がとても刺激的だ。

 

続く「Elevator Girl」では、トライアングル型のステージとスクリーンが連動し、
エレベーターが上下する演出に目を奪われた。
曼荼羅模様の映像とともにスタートした「Shanti Shanti Shanti」も印象的。
シンクロナイズしたダンスとSU-METALの独特な節回しが観衆の耳目を集めている。
「Starlight」では最初から最後まで無数のレーザーが飛び交い、
幻想的な世界観に終始圧倒された。
続く「Kagerou」ではパイロから炎が噴出されたが、
スクリーンにもゆらゆらと揺れる炎のエフェクトがかかっている。
楽曲に合わせてステージ上で繰り広げられる一つひとつの演出が美しく、
3人のパフォーマンスを鮮やかに彩り、世界感を色濃くしている。

 

ライブは勢いを保ったまま「Distortion(feat. Alissa White-Gluz)」へと続く。
激しくヘドバンをしながらデス・ヴォイスのパートを大声で叫ぶのはいつだって爽快だ。
「メギツネ」ではみんながジャンプし、ピットはお祭り騒ぎとなるが、
続けて披露された「PA PA YA!!(feat. F.HERO)」で場内はさらに熱狂。
観客がグルグルと振り回すタオルが視界全体を覆う。
「KARATE」でも熱量は保たれていて、多くの者がエモーショナルな同曲に酔いしれる。
特に間奏からサビにかけてのエモさは抜群で、心地よい開放感に全身が包まれる。
最後のSU-METALのロングトーンを聴いていると毎回自然と涙が零れ落ちてゆく。

 

ノンストップのライブはあっという間に本編最後の曲へ。
アンセム「Road of Resistance」のイントロが流れ始めると、
ここにきてようやく、周囲のメイトたちが動き出した。
誰かが謙虚な姿勢で発した「ちょっとだけやりますか」という言葉を合図に、
自然と小さなサークルができ、そしてなんとも優しいWODが起こった。
そしてそのまま10人程度のサークルモッシュが展開された。
僕は小回りする人たちと笑顔でハイタッチを交わす。
途中の間奏では、場内いっぱいに力強いシンガロングが巻き起こり、
最後のSU-METALのロングトーンは天井を突き抜けるほどに力強く、
歌い切ったあとの彼女の満足気な表情はとても印象的だった。

 

BABYMETALコールが続く中、ややあってアンコールへ。
スクリーンの太陽と月が重なると、壮大なメタル・バラード「Shine」が始まった。
MOAMETALと鞘師里保が踊るスモークに包まれたステージは幻想的で、
情感たっぷりにSU-METALが歌い出すと場内には静寂が訪れた。
神バンドの演奏に乗る、3人によるライブ・パフォーマンスが会場を支配している。
誰しもがこの楽曲の持つ荘厳で壮大な世界観に引き込まれている。
そしてライブはいよいよラスト・ナンバーの「Arkadia」へ。
怒涛のバンド・アンサンブルとダイナミックなダンス・ルーティン、
煌びやかな映像と凛とした強さを見せるSU-METALのヴォーカルが多くの観客を魅了する。
ドラマティックに展開される楽曲、テクニカルなツイン・ギターのリード、
そして力強くも艶やかに舞うメンバーが観客をさらなる昂揚へと誘い、
大盛況のもと、今宵のライブは終了した。
最後にSU-METALが嬉々として、今日が誕生日だったオリヴァーを祝ったが、
そのシーンを見て、3年前にRed Hot Chili Peppersのチャドが、
SU-METALの誕生日をサプライズで祝った場面を思い出した方も多かったと思う。
僕は笑みを浮かべたまま、いつまでも演者に対して拍手を送り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

4.

会場の外に出ると、痛烈な寒さが全身を襲ってきた。
それでも満足しているせいか心は温かいので、僕は口元に笑みを湛えたままだ。
やがてホテルに向かって歩き出しながら、今宵のライブを振り返った。
やはりアリーナから見るステージはスタンドのそれとはまったく違った。
3人はもとより、ステージングそのものの輪郭がはっきりとよく見えた。
BRING ME THE HORIZONのライブもBABYMETALのライブも心底堪能できた。

 

BRING ME THE HORIZONのライブを少しばかり振り返ってみる。
体を動かしながらほぼ全曲通して歌ったので、大満足の内容だった。
そして、ヴォーカルのオリヴァーは今宵も気持ちよく観客を煽っていたが、
おそらく厳しいとわかっていたうえで、ここ大阪城ホールでも、
「サークル・ピットが必要だ! 作れ!」と叫んだのだろう。
そう叫んだのは「Happy Song」の時だったと思うが、
やはりこの細かく区切られたフロアでサークル・ピットを作るのは無理だとわかると、
彼は2曲後の「Medicine」の冒頭で、ライターかスマホのライトを点けるように促してきた。
先週のたまアリではそういった演出はなかったので、
あれはサークル・ピット代わりの、オリヴァーの機転だったのだろうと思う。
観客と一体になってライブを盛り上げようとする姿勢には感銘を受けたし、
あの幻想的な光景には心から感動した。

 

BABYMETALのライブを振り返ってみる。
なんといってもフロントの3人の溌溂とした姿をじっくり見れたこと、
これが一番のハイライトだった。
演者に徹して完璧にプログラムを遂行する姿勢からは、
彼女たちのプロフェッショナルな部分を垣間見ることができたが、
MCや演目の途中にたまに見せる、無邪気で楽し気な笑みからは、
本当にライブが楽しくて仕方がないといった感情を汲み取ることができた。
‟BABYMETALはライブの中に生きている”
その言葉が自然と頭の中で想起された。

 

また、SU-METALの歌唱は今宵も安定感抜群で、
たまに苦しそうに歌う中音域もうまくカバーしていた。
MOAMETALと鞘師里保のダンスも終始躍動感があって、
時にエレガントに、時にダイナミックに、楽曲ごとに見事に世界観を表現していた。
とりわけ最後の2曲には随分と惹き込まれた。
煌びやかな映像をバックに歌い踊った最後の「Arkadia」では、
フロントの3人がなによりも光り輝いていた。
それと、鞘師里保初参加の「DA DA DANCE(feat. Tak Matsumoto)」。
その演目を見れたのは貴重な経験だった。
そういえば彼女は今宵もニコニコしながらずっと歌っているようだった。

 

BRING ME THE HORIZONとBABYMETALのライブを続けて見るという、
本当に夢のような時間も残すところは明日の1日のみ。
できることならばまだ終わってほしくはないが、
1週間のうちにトータルで4日間も見れるのはやはり贅沢な体験だ。
明日のライブもスタンディング・フロアなので、気持ちよく体を動かして、
目一杯最高の2組のライブを満喫しよう。
僕は胸の高鳴りを感じながら小走りでホテルに向かう。
走り続けていると息は弾むが、口元に湛えた微笑はホテルまで消えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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