BABYMETAL 海外 ウィーン ライブレポート

スポンサー





 

1.

11月上旬は、最高気温が27度の日もあったのに、
11月中旬になると一気に寒くなってきた。
そのため、暖房を入れたことで電気代も上がったのだが、
なぜかガス代までもが上がっていた。

 

「あれっ、 おかしいな。なんでガス代まで上がるんだ?」

 

まったく心当たりがなかったので、釈然としなかった。
そもそも毎日の生活の中で、急にガスをたくさん使用することはない。
それを調べてもあまり意味はないとは思いつつも、
とりあえず家のメーターを調べてみることにした。
頭の中で“ガスメーター”と連呼しながら玄関に向かう。
するといつの間にか、僕はウィーンの“ガソメーター”に来ていた。

 

 

 

 

げ、またかよ……と思う。
うんざりだった。
いったいなぜ、こうなってしまうのか?
なにゆえ神は、僕に何度も試練を与えるのか?

 

こうなってしまった原因はまったくわからないが、
とにもかくにも、来てしまったからには仕方がない。
思えば、ガソメーターに来たのは今回で2度目。
最初に来たのは2020年2月。
コロナ禍の直前に訪れていた。
そのときはBABYMETALのライブを観たのだが、
今夜もガソメーター内のミュージック・ホールでBABYMETALのライブがあるらしい。
なんという偶然、なんという幸運。
よし、それじゃあと、僕はまたBABYMETALのライブを観に行くことにした。

 

 

 

ホテルへチェックインしたのち、
午後17時頃に現地に到着。
それにしても寒い。
わかってはいたことだが、夜になると体の芯まで冷えていく。
寒さに震えながら、とにもかくにも待ち続ける。

 

 

 

やがて開場となり、いざ建物の中へ。
懐かしさを覚えながらホールに入場。
前回の時も思ったが、やはり中は広い。
僕はフロアの中央辺りに陣取ると、周囲をぐるり見回した。
前回のライブでは2階席はクローズだったが、今回はどうも人を入れているようだ。

 

客層は今回も幅広かった。
とくに若い女性が多く目についた。
強面でガタいの良いメタラー然とした中年男性もたくさんいる。
僕の網膜はカップルは認識しない仕様なので残念ながらそれらの数はわからない。

 

果たして開演となり、サム・マトロックと(ボーカル&ギター)と
ミルキー・ウェイ(ボーカル&ベース)というイギリス出身の男女2人組、
熱狂と興奮を扇動するエレクトロ・パンク・ヘヴィロック・バンド、
WARGASM(ウォーガズム)がライブを始める。

 

キャッチーさとセクシーさを併せ持つサウンドは、
新時代の到来と激しさを追求してきたロックのこれまでを内包。
それゆえ1発目の「ヴェノム」から僕の心臓は爆上がり。
最初から最後まで、ヘヴィでカオスなパフォーマンスを堪能した。

 

彼らは12月発売のデビュー・アルバムから「ミニガン」「モダン・ラヴ」
「バング・ヤ・ヘッド」「ドゥー・イット・ソー・グッド」に加え、
人気曲の「ドリルド」「ファックスター」「Spit.」なを披露。

 

喉をかきむしるようなスラッシュ・ギター、
終末的なダンスフロアのエレクトロニクス、
気の遠くなるようなキャッチーなハーモニー、
そして無条件にセクシーなこのイギリスのデュオは、
今後間違いなくビッグになっていくだろう。
来年1月の来日公演は、仕事の都合がつけば当日券を買って観に行こうと思う。

 

 

 

WARGASMのライブが終わり、僕は呼吸を整える。
音響バランスはとてもよく、また音圧も申し分なくて、
重低音が体内にビンビン響いてきた。
これならばBABYMETALのライブもまったく問題ないだろう。
今宵も爆音で最高のライブパフォーマンスを披露してくれるに違いない。
彼女たちのライブに対する期待値は待っている間にどんどん上がっていった。

 

やがて定刻となり、客電が落ちる。
刹那、場内のあちこちで大きな拍手と歓声が沸き起こった。
喧噪の中、僕は刮目してステージを凝視する。
だいぶ興奮しているからだろう、心臓はすでに早鐘を打ち始めている。

 

 

 

 

2.

セットリスト

01. BABYMETAL DEATH
02. ギミチョコ!!
03. PA PA YA!!
04. Distortion
05. BxMxC
06. Believing
07. Brand New Day
08. Monochrome
09. メタり!!
10. メギツネ
11. ヘドバンギャー!!
12. Road of Resistance

 

1発目は定番の「BABYMETAL DEATH」。
フロントの3人が登場してくると大歓声が上がる。
ライブが始まると大勢が一緒になってヘドバンを開始。
久々に彼女たちがウィーンに訪れたからだろう、
序盤はスマホで記念の動画を撮影している人が多い。
瞳を輝かせながらステージを凝視している人も多数。
終盤になるにつれ“DEATH!”の掛け声が大きくなっていく。
曲が終わると拍手喝采。
あちこちで悲鳴に近い歓声が上がっている。

 

続いては「ギミチョコ!!」。
イントロが始まるなり大歓声。
若い女性の叫び声があちこちで上がっている。
曲が始まると大勢が体を動かし始め、ピットは瞬く間にカオスな状態に。
大勢が笑顔で体をぶつけ合っている。
“Hey! Vienna!”、途中にSU-METALがMCを挟むと再び大きな歓声が沸いた。
3人は終始笑顔を絶やさずにパフォーマンスを披露している。
終盤になってもフロアの熱狂具合は熱を帯びたまま。
やがて大盛り上がりのもと同曲は終了した。

 

続く曲は「PA PA YA!!」。
イントロが始まった途端にここでも大歓声。
曲が始まると大勢が激しく体を揺らし始める。
多くの人が“パッパパパヤー!”とコールしている。
ピットは熱狂乱舞といった有り様。
心底楽しいのだろう、愉悦な叫び、快活な声がひっきりなしに上がっている。
終盤に差し掛かると、SU-METALが何度も“JUMP! JUMP!”と煽った。
大勢がそれに応じてジャンプを繰り返し、大盛況のもと同曲は終了した。

 

続く「Distortion」では、冒頭にローイングモッシュが発生。
曲が始まるとフロアは一気にカオスな状況に。
“ギバー! ギバー”と声を張る人は多く、
モッシュに参加する人も大勢いる。
間奏でSU-METALが“大きなサークルが見たい!”と煽ると、
すぐさまサークルピットが出来上がる。
終盤になっても“ウォーウォーウォーウォ”の声はこだまし、
高い熱量を保ったまま同曲は終了した。

 

 

 

続いては「BxMxC」。
イントロが始まると、ここまでで一番大きな歓声が上がる。
曲が始まると大勢がリズムにあわせて頭を振り始める。
僕も手を挙げて大きく体を揺らし、ライブに没入する。
SU-METALがフロウをかますとフロアの熱狂具合はさらに上昇
終盤は怒涛の“B! M! C!”コール。
最後まで大盛り上がりのもとやがて同曲は終了。
あちこちで大きな拍手と怒号のような歓声が上がっている。

 

その後に披露されたのは「Believing」。
SU-METALの力強い歌唱が場内に響く。
この曲では多くの者がステージを凝視していた。
歌唱とダンス、そして演奏のパッケージ丸ごとが出色の出来栄えだからだろう。
そして続く「Brand New Day」でもその傾向は続いた。
ほとんどの者がステージングに魅了され、直立不動で見守っている。
舞うようにして華麗に踊るMOAMETALとMOMOMETALが彩を添え、
そしてSU-METALの絶唱が、多くの者に感動を与え続けている。

 

ライブは「Monochrome」へと続く。
イントロでは歓声が沸き、大勢が体を揺らしている。
間奏に入る前には、サーフする人も。
そしてSU-METALの訴えにより、客のスマホのライトが次々に点灯。
ステージ背後のビジョンには客席の映像が映し出され、
会場は瞬く間に幻想的で美しい世界に包まれる。
最後まで響く、“オッオッオッー、オッオッオッオオー”の大合唱。
エモーショナルで心地よい時間がゆっくりと流れていった。

 

余韻が続く中、神バンドが次曲のイントロをループして演奏する。
その間、客は楽し気にサークルピットに興じている。
少ししてフロントの3人が跳ねるようにして登場。
そうして次曲「メタり!!」が始まると、フロアは一気に爆発。
大勢が笑顔で体をぶつけ合う。
MOMOMETALが見得を切るシーンでは、大勢が座り込んでから一斉にジャンプ。
誰もが大きく跳ねては体をぶつけ合う。
“どっこいしょ!”“わっしょい!”といった日本語も多くが飛び交っている。
大勢が手を振り体を揺らし、ピットは興奮の坩堝と化している。

 

勢いそのままにライブは「メギツネ」へと続いていく。
もはや定番となっているローイングモッシュが序盤に起こる。
曲が始まるなりフロアは大盛り上がり。
大勢が大きく跳ね、“ソレッ! ソレッ!”の声を響かせている。
間奏に入ると、SU-METALが連続ジャンプを観客に促した。
大勢が“ソレッ!”と大声を発しながら笑顔でジャンプを繰り返す。
心底楽しいのだろう、観客による愉悦の声は最後まであちこちで沸き起こっている。
そうして同曲も大盛り上がりのもと終了した。

 

続く曲は「ヘドバンギャー!!」。
曲が始まるなり大勢が一斉に体を揺らし始める。
SU-METALの力強い歌声がフロアに響き渡る。
あちこちで“ヴォイ! ヴォイ!”のコールが上がる。
間奏に入ると、MOAMETALとMOMOMETALが折り畳みヘドバンを開始。
僕はサークルの中央で土下座ヘドバンを繰り返す。
終盤になってもモッシュピットはカオスな状況を形成している。
オーストリア人の楽し気な笑い声や叫び声が最後まで響いている。

 

そして最後はアンセム「Road of Resistance」。
イントロの段階で再びローイングモッシュが発生。
冒頭のウォール・オブ・デスでは、大勢が快活な声を上げて体をぶつけ合った。
僕も笑顔でその中に飛び込んでいく。
途中のシンガロングは圧巻の一言。
ビジョンに観客が映る中、大勢がキツネサインを掲げて声を張り上げている。
曲が再開するとすぐさまモッシュが発生。
最後まで大盛り上がりのもと、やがて同曲は終了した。

 

最後は恒例の“We are?”“ BABYMETAL!”コールでライブを締める。
フロアで大きな拍手と歓声が起こる。
SU-METALが“ダンケシェーン!”と叫ぶとさらなる歓声が沸いた。
その中をフロントの3人が満足げな表情で去っていく。
こうして、ウィーンでのライブは大盛り上がりのもと幕を閉じた。
幸せな笑顔を浮かべているオーストリア人の顔が視界のすべてを埋めている。

 

 

 

 

3.

興奮状態のまま外に出る。
気温は低いので急いで汗を拭き、上着を羽織る。
会場から出てくるオーストリア人たちはみな笑顔。
全員が今夜のライブに満足しているようだ。
夜に聳える巨大なガソメーターに一瞥をくれ、僕は帰途に就く。
ホテルまでの道を歩きながら、今夜のライブを振り返った。

 

まず触れておかなければいけないのは、
今回のライブはフルキャパで行われたということ。
前回の同会場でのライブは、今回と同じようにかなり盛り上がったが、
2階席のスタンドはクローズされており、
そして奥行きのあるフロアの後方にはスペースもあった。
しかしながら、今夜のライブでは、
スタンドも満員、そしてフロアもぎゅうぎゅうパンパンの状態だった。
コロナ以前よりも明らかにBABYMETALのファンは増えている。
そのことを実感するライブとなった。

 

また、音響バランスは良かったので、ライブは最初から最後まで楽しめた。
神バンドは今宵もさすがの演奏、タイトでソリッドなメタル・サウンドを奏でていた。
ヴォーカルのSU-METALの声の調子もよく、何度も多くの者を魅了していた。
MOAMETALとMOMOMETALのダンスもメリハリがあり、
時に笑顔で煽り続けては観る者の心を鷲掴みにしていた。

 

そして、今夜会場に訪れたオーストリアのキツネたちは、
前回のライブ同様、大変素晴らしかった。
終始、みんなで盛り上げて最高のライブにするぞ!、そんな気概に溢れていた。
驚いたのは、ライブを通してローイングモッシュが多かったということ。
「メギツネ」では冒頭と間奏で2度発生したし、
ライブを通しておそらく6回か7回くらいはあっただろう。
それも含めて、オーストリア人たちの観客は今宵も盛り上げ上手だった。
満員の観客、そしてあのフロアの熱狂具合、
それから2階席も含めた、「Monochrome」での無数の光による美しき世界。
BABYMETALの3人の脳裏では、素敵で最高な思い出が上書きされたに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スポンサー

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください