BABYMETAL 海外 トロント ライブレポート

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1.

スターリングハイツ公演の翌日。
早朝にホテルを出るとUberで空港へ。
デトロイト空港からカナダのトロント空港までは約2時間のフライト。
入国審査を終え、食事をした後、15時頃に空港近くのホテルにチェックイン。
Uberを手配して会場へ向かったのは16時半頃。
予報では曇りだったものの、会場付近はあいにくの雨。
到着するなり、いきなり雷雨の洗礼を浴びることとなった。

 

 

 

雨に濡れながらGAラインの列に並ぶ。
気温は15度。海沿いなので風が強く、長袖を着ていても若干寒く感じる。
並んでいる客層は比較的若く、
BABYMETALのコスプレをしている女性が多く目についた。
小さなお子さんを連れた家族の姿もある。
メタラー風の中年男性や、かなり年配の男性の姿も散見されるが、
揃いも揃ってBABYMETALのTシャツを着ているので、
相変わらずBABYMETALの客層は幅広いのだなぁと実感した。

 

 

 

やがて開場時刻となり、手荷物検査を受けてから入場。
着ているロングTシャツはだいぶ濡れていたので、
僕はパーカーを買うためにまっすぐ物販コーナーへ向かった。
目当ての品を購入後、すぐに着用。
その後はステージの方へと歩いて行った。
通りのサイドには露店が多く、どことなくフェスのような雰囲気を感じる。

 

 

 

 

 

会場であるRBC Echo Beachには大きなステージもあったが、
今晩のライブは中規模のステージで行われるようだ。
同じ屋外施設でも、先日のスターリングハイツとは違い、
Echo Beachには屋根はなかったが、幸いにも雨は上がってくれた。
僕はフッと息を吐きながら中央付近で待機する。

 

 

 

果たして開演となり、Jason Richardsonがライブが始める。
40分間、彼はたっぷりとギターテクニックを披露した。
それなりにファンも多く、ライブが終わると大きな拍手と歓声が上がった。
そして次にライブを行うのは、昨夜と同じくBABYMETAL。
開演10分前には、後方が見えないほどに人が密集していた。
彼女たちのライブが楽しみで仕方がないのだろう、
時間が差し迫るにつれ、周囲のざわつき具合が増していった。
今回の北米遠征での最後のライブ。後悔のないように全力で楽しむぞ!
僕は興奮を抑えながら、その時が来るのを今か今かと待ち続けた。

 

 

 

 

2.

セットリスト

01. BABYMETAL DEATH
02. ギミチョコ!!
03. PA PA YA!!
04. Distortion
05. BxMxC
06. Mirror Mirror
07. Monochrome
08. メタり!!
09. メギツネ
10. ヘドバンギャー!!
11. Road of Resistance

 

ライブの1発目は定番の「BABYMETAL DEATH」。
フロントの3人が登場してくるなり大歓声。
大勢がキツネサインを掲げて彼女たちを歓迎する。
ライブが始まると、DETHKLOKのファンとかBABYMETALのファンとか関係なく、
ほとんどの人がステージを凝視しているか、スマホで撮影をしている。
肉眼でBABYMETALのショーを目の当たりにする機会はほとんどないから、
しっかりと脳裏に刻み込まなければならない。
誰もがそんな風に思っているんじゃないかと思うほど、
多くの真剣な眼差しが3人に向けられている。

 

終盤になると、後方で小さなモッシュが発生。
隣にいる背の高い女性は、子供のように無邪気な声を発しながらずっと飛び跳ねている。
“DEATH! DEATH!”と手を挙げる人の数は、フロントの3人に煽られると次第に増えていった。
3人がポーズを決めて同曲が終了すると、周囲から大きな歓声が沸き起こった。

 

続いては「ギミチョコ!!」。
イントロの段階で大歓声。
特に若い女性の叫び声がひっきりなしに上がっている。
曲が始まると大勢がリズムに乗り、ピットは瞬く間にダンスフロアに。
頭を振ったり、体を揺らしたり、フリコピをしたりと、それぞれが自由に楽しんでいる。
“Hey! Tronto!”、途中にSU-METALがMCを挟むと再び大きな歓声が沸いた。
寒い中を3人は半袖で笑顔を絶やさず、見事なパフォーマンスを披露している。
やがて大盛り上がりのもと同曲は終了。
暗転するなり周囲から拍手と歓声が沸き起こった。

 

続く曲は「PA PA YA!!」。
イントロが始まった途端に大歓声。
曲が始まると大勢が体を揺らし始める。
“パッパパパヤー!”とコールする人もそれなりにいる。
F.HEROのラップ映像をバックに、3人が陽気にステップを踏んでいる。
終盤に差し掛かると、SU-METALが何度も“JUMP! JUMP!”と煽った。
大勢がそれに応じてジャンプを繰り返す。
タオルを振り回す者は少ないが、手を挙げている人は多い。
あちこちで快活な声が飛び交い続け、ピットは活況を呈している。

 

ライブは勢いそのままに「Distortion」へと続く。
爆音と3人のキレのあるダンスが多くの耳目を集めている。
僕は腹の底から何度も“ギバー! ギバー”と声を張る。
ピットの中央付近ではモッシュが発生している。
クラップを促したあと、SU-METALが煽るとすぐさま大歓声。
大勢による“ウォーウォーウォーウォ”の声がこだまする。
“スクリーム!”、SU-METALの叫びでピットはさらに熱を帯びる。
終盤になっても勢いは衰えず、カオスな空間を形成している。

 

続いては「BxMxC」。
イントロが始まるなり“おおーっ!”という声が何度も上がった。
曲が始まると大勢がリズムにあわせて頭を振っている。
僕も手を挙げて大きく体を揺らす。
SU-METALがフロウをかます最中にも歓声が何度も沸いた。
日本語のライムはわかってないはずだが、大勢が笑顔で首を振っている。
終盤は怒涛の“B! M! C!”コール。
最後まで大盛り上がりのもとやがて同曲は終了した。

 

そして、日替わりの曲は今宵も「Mirror Mirror」。
SU-METALの力強い歌唱が夜空に響く。
MOAMETALとMOMOMETALが舞うようにして華麗に踊る。
大勢が固唾を呑んで美しいステージングを凝視し続ける。

 

曲は「Monochrome」へと続いていくが、誰もがライブに入り込んでいるようだった。
大勢が前のめりの状態でリズムに乗っている。
間奏に入ると、SU-METALが観客に向かってスマホのライトを点けてと促した。
歓声が沸いた後、瞬く間に辺り一面が幻想的な世界に包まれていく。
大量の光が点いてゆらゆらと揺れる映像が、ステージの背後のビジョンに映し出される。
SU-METALが“サンキューソーマッチ”と感謝を述べ、ハミングを繰り返す。
それに続く“オッオッオッー、オッオッオッオオー”の大合唱。
とてもエモーショナルで心地よい時間がゆっくりと流れていった。

 

 

 

前曲の余韻が残る中、神バンドが次曲のイントロをループして演奏する。
ややあってフロントの3人が跳ねるようにして登場。
そうして始まったのは新曲の「メタり!!」。
SU-METALが“レイズ ユア ハンド!”と煽ると、大勢が一斉に手を振り始めた。
MOMOMETALが見得を切るシーンになると、大勢が座り込んでから一斉にジャンプ。
その様は壮観で圧巻だった。
周囲では“どっこいしょ!”“わっしょい!”といった日本語が飛び交っている。
多くの者が手を振り体を揺らし、ピットは興奮の坩堝と化している。

 

ライブはそのまま「メギツネ」へと続いていく。
序盤から大勢が大きく跳ね、“ソレッ!”の声が夜空に響く。
僕もジャンプを繰り返し、サビに入るとヘドバンを繰り返す。
とても気持ちが良い。快楽物質が脳内を駆け巡る感覚を味わう。
間奏に入ると、SU-METALがジャンプをしてねと観客に煽りを入れた。
カウント後、大勢が“ソレッ!”と大声を発しながら笑顔でジャンプを繰り返す。
勢いを持続したまま、快然たる時間が終盤まで続く。
心底楽しいのだろう、観客による愉悦の声は最後まであちこちで沸き起こっている。

 

続く曲は「ヘドバンギャー!!」。
曲が始まるなり大勢が一斉に首を振る。
SU-METALの力強い歌声が夜空に響き渡る。
僕はヘドバンを繰り返しながら“ヴォイ! ヴォイ!”と何度も叫ぶ。
間奏に入ると、MOAMETALとMOMOMETALが折り畳みヘドバンを開始。
多くの者がそれに倣って大きくヘドバンを繰り返す。
すぐ後方ではサークルモッシュが発生。
カナダ人の楽し気な笑い声や叫び声が夜空を大きく揺すっている。

 

最後の曲はアンセム「Road of Resistance」。
冒頭のウォール・オブ・デスでは、何人かが笑顔で体をぶつけ合っていた。
爆音で響くツインギターの音色が心地よい。
僕はドラムのブラストビートに合わせて激しく首を振る。
途中のシンガロングは圧巻。
大勢がキツネサインを掲げて声を張り上げている。
曲が再開すると、目の前でサークルモッシュが発生。
その流れに飲み込まれてしまうのは不可抗力。
ステージにグッと近づいてしまったのは偶然の産物だった。

 

やがて同曲は大盛り上がりのもと終了。
最後は恒例の“We are?”“ BABYMETAL!”コールでライブを締めた。
SU-METALが“サンキュー、トロント!”と叫ぶと大きな歓声が沸いた。
その中をフロントの3人が“シーユー!”と叫んで満足げな表情で去っていく。
ただ、途中に沸いたBABYMETALコールが嬉しかったのだろう、
3人は去り際、そのコールに合わせて何度も両拳を突き上げた。
その間も、大きなBABYMETALコールは続いている。
こうして、カナダ・トロントでのライブは大盛り上がりのもと幕を閉じた。
周囲には幸福の吐息とでも言うべき温かな空気がいつまでも漂っていた。

 

 

 

3.

 

その後は30分ほどのインターバルがあったので、
トイレに行き、それから、ホットドッグでお腹を満たした。
そして引き続きDETHKLOKのライブを堪能。
彼らのファンも多いようで、曲ごとに大きな歓声や拍手が沸き起こっている。
ライブが終わると僕はすぐに移動を開始。
ライドシェアのピックアップポイントへ赴き、Uberを手配する。
数分後に到着したトヨタ RAV4に乗車。
車に揺られながら、僕は終わったばかりのライブを振り返った。

 

今夜のトロントのライブは、さながらフェスのようだった。
そもそもステージがフェスのそれで、周囲の露店などもフェス仕様だった。
フロントの3人は屋外のステージ、それも風が吹きつけるコンデションの中でも、
終始楽し気にパフォーマンスをし、多くの観客を魅了した。

 

カナダ人が満面の笑みで叫んでは大いにはしゃぎ回っている様子を眺めていると、
万国共通、改めてBABYMETALのライブは心底楽しいものなのだと実感した。
ダンスを観るだけでも楽しいし、それに合わせて一緒に踊るのはもっと楽しい。
コールするのも楽しいし、周りの観客と一緒くたになって騒ぐ行為自体が楽しい。
他のメタルのライブと違い、女性客が多かったのも、
こういった楽しめる要素がたくさんあるからなのだろう。
彼女たちのコスプレをするのも含めて。

 

そしてレポの冒頭でも触れたが、
今夜の客層も随分と幅が広かった。
他の会場よりも比較的多くいた女性客をはじめ、
小さな子ども、中年男性、初老の方々と、
人種関係なく、幅広い年齢層のファンが集っていた。
ライブパフォーマンス自体が唯一無二で、
しかも洗練されているから、多くの者が惹かれるのだが、
ビジュアルの良さだけにとどまらず、
育ちの良さ、性格の良さからくる内面の美しさが、
オーラとなって、全身から醸し出されているから、
彼女たち3人はこれほどまでに多くのファンから愛されているのだろう。
そしてそのファンの輪は、活動が続く限りどんどんと広がっていくのだろう。

 

神バンドの演奏は今宵もソリッドかつタイトだった。
音響バランスもよく、ベース音は夜の空気を振動させ、
地を這うようなブラストビートは何度も心を震わせた。
SU-METALの力強い歌声もよく響いていて、さすがのパフォーマンスだった。
MOAMETALとMOMOMETALは随所にクオリティの高いダンススキルを発揮していたが、
かなり自由に動いて煽ったり、声を上げたりして、
観客と一緒になってライブを盛り上げている様子が印象的だった。
そしてなにより、3人がライブそのものを心底楽しんでいるのがとてもよかった。
特に最後のシーン、本来であれば、
3人は“シーユー!”と叫んでキツネサインを掲げたままステージを去っていくのだが、
今回は観客のBABYMETALコールに合わせて何度も拳を突き上げてみせた。
その様子からは、BABYMETALのライブの様式美は大切にしながらも、
その時その時の“瞬間”を自由に楽しんでいるのがよく伝わってきた。

 

 

 

8月30日のヒューストンから始まった、
北米全30公演を開催する“THE BABYKLOK TOUR 2023”。
9月18日の今宵のトロント公演は本ツアーの14公演目にあたるわけだが、
1ヵ月半にも及ぶ北米ツアーは、まだ半分以上が残っている。
いくら海外ツアーに慣れているとはいえ、
その都度、体調管理は難しいことだろう。
くれぐれも体調には気を付けていただき、
各地で待っているファンを大いに熱狂させ、
無事に北米ツアーを完遂してほしい。
今回の遠征中に何度か見かけたツアーバスでの彼女たちの生活を慮りながら、
そして、ライブ後に瞳を潤ませて、
「BABYMETALを日本から連れてきてくれてありがとう!」と僕に握手を求めてきた
一人の青年ファンの姿を思い出しながら、
僕はそう願わずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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