BABYMETAL FOX_FEST SSA初日 ライブレポート

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1.

BABYMETALが主催するフェス「FOX_FEST」。
開催は2日間で、日程は5月25日と26日。
出演は、メタルコア / エレクトロコア界でその名が知れ渡った
ドイツのパーティ・バンド“ELECTRIC CALLBOY”。
アメリカのインストゥルメンタル・プログレッシブ・メタル・バンド“POLYPHIA”。
元Attack Attack!のJohnny Franckによるオルタナティブ・ロック・ポップの
プロジェクト“BILMURI”。
さらには、BABYMETALや「サマーソニック2023」のステージに突如として
“出現”したマルチバース・プロジェクト“METALVERSE”に、
10代で結成された若手3ピース・インストメタル・バンド“ASTERISM”。
そして、謎のプロジェクト“赤子金属”がオープニングアクトで登場する。

 

 

 

このフェスの開催に先立って、
BABYMETALとELECTRIC CALLBOYによるコラボ・シングル「RATATATA」が
5月23日にドロップされた。
また、POLYPHIAのTim Henson & Scott LePageは、
BABYMETALが2019年にリリースした3rdアルバム『METAL GALAXY』の
収録曲「Brand New Day」にゲスで参加しているので、
既に繋がりのある2組ということになる。
また、METALVERSEはASTERISMをゲストバンドに迎えての出演となり、
BILMURIのステージではユッコ・ミラーがサックスを演奏することになっている。

 

「FOX_FEST」の開催が正式に発表されたのは、
3月3日に開催されたMOMOMETALの聖誕祭「LEGEND – MM」のライブ後だった。
それ以来、この日が来るのを首を長くして待っていた。
ELECTRIC CALLBOYのライブを観るのは今回が初めてだからすごく楽しみだし、
POLYPHIAのライブもいつの日か観たいと思っていた。
前者のライブではノリノリになって踊り、後者のライブではじっくり演奏に聴き入るだろう。
その他のアクトも興味はあるので、前夜からすでにウキウキ気分。
早く明日になれという気持ちで就寝した。

 

ところが翌朝起きると、体調がかなり悪かった。
ムチ打ちの症状が残る首の痛みが特にひどく、頭痛もするし、お腹も痛い。
一度8時に起きたものの、どうにも我慢ができないので、
結局お昼頃まで横になっていた。
そのおかげで少し体調は改善されたので、午後1時過ぎに家を出た。
本当は早めに行って物販による予定だったが、こうなってしまっては仕方がない。
予定をキャンセルせずに済んだだけでも幸いと思うほかない。

 

 

 

 

2.

 

やがて電車はさいたま新都心駅へ到着した。
逸る気持ちを胸に会場のさいたまスーパーアリーナまで移動する。
物販を覗くと、待機列はなかったので、とりあえず何か買うことに。
Tシャツ1枚とナップザックを購入。
フェスTが欲しかったがすでに完売していたので致し方なし。

 

 

 

 

やがて開場時刻となり、順番に入場。
チケットはDの700番台。
荷物検査とセキュリティチェックを受けてからフロアへ移動する。
少し悩んだ挙句、真ん中ブロックの下手側へ。
一般チケットなのでステージまでは遠いが、ここでも十分楽しめるだろう。

 

果たして定刻となり、不意に暗転。
ショーが始まると場内は一気に熱がこもり始めた。
そしてオープニングアクトの赤子金属なる女性3人組が登場したのだが、
衣装や髪型はBABYMETALそのもの。
しかし顔は赤子金属と書かれた扇子で隠しているので確証が持てない。
周囲がざわつく中、3人が扇子をずらして顔を見せると、やはりBABYMETALの3人。
刹那、どよめきに似た大歓声が沸き起こる。
いったいどんなパフォーマンスを披露するのか期待して凝視すると、
彼女たちは一切歌わずに、メギツネのリミックスに合わせて終始笑顔で踊っていた。

 

場内の空気が楽しげな雰囲気にがらりと変わったところで、
次に登場してきたのはMETALVERSEとASTERISM。
METALVERSEが5人体制から3人体制になってから初めて観るライブ。
ボーカルの戸高美湖は相変わず歌がうまく、
木村咲愛と加藤ここなの2人もキレのあるダンスを披露。
定番の「Crazy J」や「Naked Princess」のほかに、戸高がソロで
「紅蓮華」のカヴァーも披露したのだが、歌唱も演奏も抜群に素晴らしかった。
また、ASTERISMの3人の演奏がうますぎるというのは分かってはいたが、
実際にライブで観ると、テクニックに裏打ちされたグルーヴがあってかなり良かった。

 

続いて登場したのはBILMURI。
Attack Attack!のメタルコアの印象があったものの、
同バンドで3年間、クリーンヴォーカルを務めていた
Johnny Franckが披露した楽曲の数々はキャッチーなものが多数。
楽曲はヘヴィだが、メロディはポップで、
ユッコ・ミラーのサックスが程よいアクセントを加えている。
全曲通してのJohnnyの美声、そしてドラムの演奏が素晴らしかった。

 

そして次に登場してきたのは、お待ちかねのELECTRIC CALLBOY。
一番期待していたバンドの登場だ。
1曲目の「Tekkno Train」からフロアは大盛り上がり。
「Pump It」「Spaceman」「Mindreader」「We Got the Moves」などの
最新アルバム『TEKKNO』からの楽曲に加え、
人気曲の「MC Thunder」「MC Thunder II」「Hypa Hypa」なども披露。
彼らのライブは理屈抜きにとにかく愉しく、
ある時はWOD、ある時はモッシュ、ある時は激しくヘドバンをしながら、
終始ノリノリで踊りまくった。

 

続いて登場してきたのはPOLYPHIA。
これまた楽しみにしていたバンドだ。
1曲目の「Loud」が始まると、のっけから彼らのライブに没頭。
とりわけTimの高い演奏技術に釘付けとなる。
「ABC」が披露されたときには嬉しくなってつい、一緒になって“あいうえお”と歌い、
ScottのMCに倣い「Champagne」ではギター・リフを合唱したが、
それ以外では、ほとんど微動だにせずにうっとりと演奏に聴き入っていた。
このままいつまでも聴き続けていたい、そんな衝動に駆られながら。

 

そしていよいよ次はBABYMETALの出番。
今日はいったいどんなセットリストでくるだろう。
「Brand New Day」のステージでは間違いなくコラボするだろうし、
おそらく「RATATATA」も披露するのではないだろうか。
そういった期待を胸に抱くと、気分はぐんぐん高揚していった。
僕は目を見開いて、その時が来るのを今か今かと待ち続けた。

 

 

 

 

3.

セットリスト

01. BABYMETAL DEATH
02. Distortion
03. PA PA YA!!
04. BxMxC
05. Brand New Day(with Tim Henson & Scott LePage)
06. メタり!!
07. メギツネ
08. RATATATA(with Kevin Ratajczak & Nico Sallach)
09. ギミチョコ!!
10. Road of Resistance

 

ライブの1発目はお決まりの「BABYMETAL DEATH」。
オープニング・ムービーが流れ、やがてフロントの3人が登場してくると、
場内のあちこちから大きな歓声が沸き起こった。
老若男女、大勢がキツネサインを掲げている。
ライブが始まると、メイトやその他のファンとか関係なく、
ほとんどの人がステージを凝視している。
すぐ近くではモッシュが発生。
嬉々として自分もそれに参加する。
終盤になってもフロアの熱気は高いまま。
隣にいる若い女性は無邪気な声を発しながらずっと飛び跳ね続けている。
“DEATH! DEATH!”と手を挙げる人の数はどんどん増えていった。
3人がポーズを決めて終了すると、周囲から大きな歓声が沸き起こった。

 

続いては「Distortion」。
ヘヴィな楽曲と3人のキレのあるダンスが多くの耳目を集めている。
ドラムのブラストビートが堪らない、僕は腹の底から何度も“ギバー! ギバー”と叫ぶ。
サビに入っての“Wow Wow Wow Wow”の掛け声は大音量だ。
近くでは何度もモッシュが発生し、続けざまにサークルピットが形成される。
“FOX FEST in さいたまスーパーアリーナ! エブリバディ クラップ ユア ハンド”
SU-METALが大声で叫ぶと大歓声、その後はクラップの嵐。
続けて“サークルを私に見せて”と訴えると、すぐにそれに応える観客たち。
大勢が“オイオイ!”と叫びながら笑顔で走り回る。
終盤になっても勢いは衰えず、“Wow Wow Wow Wow”の声が響き渡る。
やがて大盛り上がりのもと同曲は終了した。

 

続く曲は「PA PA YA!!」。
イントロが始まった途端に大歓声。
曲が始まると大勢がタオルを振り回し始める。
大勢が大声で“パッパパパヤー!”とコールする。
パイロから勢いよく噴き出す炎が場内の熱気をさらに高めている。
F.HEROのラップ映像をバックに、フロントの3人が陽気にステップを踏んでいる。
終盤に差し掛かると、SU-METALが何度も“JUMP! JUMP!”と煽った。
あちこちで快活な声が飛び交い続け、ピットは活況を呈している。

 

続いては「BxMxC」。
イントロが始まるなりどよめきのような歓声があがる。
曲が始まると、大勢がリズムに合わせて体を揺らし始めた。
僕も手を挙げて頭を振り、大きく体を揺らす。
SU-METALがフロウをかますと、フロアのあちこちで何度も歓声が沸いた。
大勢が笑顔で首を振り、体を揺すっている。
終盤は怒涛の“B! M! C!”コール。
最後まで大盛り上がりのもとやがて同曲は終了した。

 

場内が興奮の坩堝と化す中、次曲「Brand New Day」のイントロが流れてくると、
観客はみなステージを注視した。
僕も中央の一段高いステージを凝視する。
少しずつ昇っていく夕陽の中に、3人のシルエットが現れる。
そして続けざまに登場してきたのは、同曲にフィーチャリングで参加している、
POLYPHIAのギタリスト、Tim HensonとScott LePageの2人。
刹那、待ってましたとばかりに、大きな歓声が場内を包み込んだ。

 

曲が始まると、SU-METALの絶唱がすぐさま場内を支配した。
倍音の響きが否応なく涙腺を刺激してくる。
そこにTimとScottの卓越したギターサウンドが絡むから、
どうにもエモーショナルな気持ちになる。
僕は微動だにせずに、美しいステージングを眺め続ける。
“晴れたら Knock Knosk してみよう 何度も Break したっていいんじゃない?”
リミットの外れたSU-METALの渾身の歌唱に、再び心が打ち震える。
ああ、堪らない。ゾクゾクと鳥肌が立つ。
僕は涙を零しつつ、最後までステージを眺め続けた。
曲が終わり、SU-METALがPOLYPHIAの2人に賛辞を贈ると場内は大歓声。
2人がステージを去る際には、大きな拍手が場内を包み込んだ。

 

少しの間を置いてから「メタり!!」が始まると再び大きな歓声が沸いた。
神バンドのソロプレイのあと、3人が満面の笑みで登場してくる。
“ヘイ、さいたまー! みんなこれからもっと盛り上がれるよね~”
“みんなの本気はそんなもんですか~?”
SU-METALが煽ると、観客たちは大きな歓声で応えた。
曲が始まると、大量の腕がうごめくようにしてそこら中で揺れている。
“どっこいしょ!”“わっしょい”と叫ぶように声を張るメイトたち。
MOMOMETALが見得を切るシーンでは、SU-METALがしゃがんと観客に訴える中、
ピットではバイキングモッシュをする人も多数。
その後は全員が座ってから一斉にジャンプし、フロアが揺れに揺れる。
大きな掛け声は最後まで響き渡り、同曲も大盛り上がりのもと終了した。

 

続いて「メギツネ」が披露されると、すぐに“オイオイ”コールが発生。
ピットではここでもバイキングモッシュが起こっている。
曲が始まると、フロアは爆発的な盛り上がりを見せた。
大勢が嬉々としてジャンプしながら“ソレッ!”“ソレッ!”と大声で叫んでいる。
間奏に入ると大きなクラップが発生。
SU-METALが“エブリバディ ジャンプアップ”と煽るとフロアは再び大爆発。
“ソレッ!ソレッ!ソレッ!ソレッ!”の大合唱が場内に響き渡っている。
SU-METALが張りのある声で渾身の歌唱を披露する。
まさにお祭り騒ぎといった具合に盛り上がったままやがて同曲は終了した。

 

そして次に披露されたのは、なんと「RATATATA」。
イントロが流れてくると大きな歓声が沸き、大勢が拍手を始めた。
ややあって、センターステージにBABYMETALの3人が登場。
それに続き、ELECTRIC CALLBOYのKevin RatajczakとNico Sallachが姿を現すと、
場内は再び大歓声に包まれた。
それから5人はステージの最前で一列に並び、
親指を横に向け、首を振ってリズムをとり始めた。
それはまるで「We Got the Moves」のオープニングのよう。
これから起こるライブパフォーマンスへの期待が否応にも高まっていく。

 

曲が始まると、周囲は瞬く間にダンシングフロアへと変貌。
大勢がノリノリになって自由に踊り始める。
“Ra ta ta ta ta ta!”の箇所では大合唱。
僕も踊りながら大声で何度も叫ぶ。
“Bun Bun Bun Moving Bun Bun Bun Bun Bun”の後、
“Fu!Fu!”と声を上げるのが楽しい。
その後も“アゲ!”とコールを続け、
再び“Ra ta ta ta ta ta!”と声を張る。
サビに入ると大きな拍手が沸き起こった。
終盤はヘドバン不可避。
最後まで終始踊りまくって、やがて楽しい時間は終焉を迎えた。
SU-METALがKevinとNicoに感謝を述べると、場内には大きな拍手が鳴り響いた。

 

続けざまに「ギミチョコ!!」が始まる。
イントロの段階で大歓声。
ピットでは勢いよくモッシュが始まり、
その周囲では大勢が狂ったように頭を振り回して踊っている。
途中にSU-METALがMCを挟むと再び大きな歓声が沸いた。
やはり人気曲なだけあって、ほとんどの人がリズムに乗って楽しんでいる。
SU-METALが“3!2!1!”と合図したのち、同曲も大盛り上がりのもと終了。
暗転すると、周囲から拍手と歓声が沸き起こった。

 

その後は“BABYMETAL”コールを挟んだのち、
最後の「Road of Resistance」が始まる。
大声で“オーオーオーオー”と声を張った後は、
嬉々としてウォール・オブ・デスに参加。
周囲では愉悦の声が飛び交っている。
SU-METALの力強い歌唱が胸を打つ。
ドラムのブラストビートが堪らない。
僕は拳を振り上げ、“DIE!”“Is the time!”と大声で叫ぶ。
途中のシンガロングは今宵も圧巻。
“ウォーウォーウォーウォ”の大合唱が場内に響き渡っている。
熱狂渦巻く中、やがて同曲は終了。
最後は恒例の“We are?”“ BABYMETAL!”コールで締め、
BABYMETAL初の主催フェス初日は大盛り上がりのもと幕を閉じた。
最後にSU-METALがフェスの出演者、
そして今日集まってくれた観客に感謝の言葉を述べて頭を下げると、
場内は割れんばかりの拍手に包まれた。
照明が点くと、周囲にいる観客たちはみな満足そうな笑顔を見せていた。

 

 

 

 

4.

 

気分が高揚したまま外に出る。
帰途につきながら今宵のライブを振り返る。
今回は第2ブロックでの参加だったが、結果的にそれが功を奏したのかもしれない。
超モッシュチケットではなく、一般のモッシュチケットを購入していた大勢の外国人
(そのほとんどがELECTRIC CALLBOYのライブが目的と思われる)
が大勢いたから、フロアは爆発的な盛り上がりを見せた。
そして彼らは最後まで、終始ノリノリでライブを楽しんでいた。
ELECTRIC CALLBOYのライブで奇声を発し、狂ったように踊っていた外国人ネキが、
「Road of Resistance」のサークルピットで笑顔で走り回っていたのが印象的だった。

 

そういった状況(THE ONEに登録していない人たちが一般チケットで入場)もあってか、
第2ブロックの客層はずいぶんと若かった。
外国人以外では、若い男女の姿が多く散見された。
彼らはエネルギーに満ちていて、ついていくのがやっとだった。
年が若返ることはないので、なんとか体力をつけないといけないなと思い知らされた。

 

たった今終わったばかりのBABYMETALのライブを思い返す。
SU-METALの歌唱は終始安定していて、
特に「Brand New Day」は圧巻の出来栄えだった。
ゲストのエモい演奏も相まって、何度も感動して心が打ち震えた。
そこにMOAMETALとMOMOMETALの優雅で美しいダンスルーティンが彩を添えるから、
これまでで一番の「Brand New Day」を心底堪能することができた。
明日もまたこのコラボを見ることができるのは嬉しい限りだ。

 

そして、今夜のフェスで一番の驚きは、ELECTRIC CALLBOYのライブ。
BABYMETALとの「RATATATA」も含め、
彼らのライブは一見の価値あり。
曲ごとに観客を楽しませる姿勢はエンタメ精神に溢れていて、
また楽曲が自然とノリノリで踊れるものばかりなので、
最初から最後までずっと楽しい気分でいられる。
彼らの人気は日本でもどんどん上がっていくだろう。
国内フェスでトリを飾れるだけの実力はすでに有している。

 

明日も今日と同じラインナップのライブを見られるとは、
僕はなんて幸せ者なんだろう。
とりわけコラボの2曲は、早くまた見たい。
とても温かい気持ちに包まれたまま、僕は最寄り駅へ歩み続けた。

 

 

 

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