BABYMETAL 「巨大キツネ祭り in JAPAN」 大阪城ホール DAY② ライブ レポート

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1.

大阪城ホール公演二日目の朝はあいにくの雨模様だった。
僕はいそいそと身支度を整えると、宿泊先のホテルをチェックアウトし、
一路京橋駅へ向かった。
そして、北口改札を出たところでそれを見つけるや、すぐに確保する。
本当は最寄駅が良いのだけれど、おそくらはもう空いていないだろうから、
僕はコインロッカーを求めて一つ隣の駅へやって来たのだった。
結果、すぐに空きを確保することができて一安心。安堵の吐息を零す。
クロークに預ける選択肢もあったが、終演後の混雑はなるべく避けたかった。
その後は首痛を和らげるために駅近くのマッサージ店に立ち寄った。
昨日のライブでは終始ヘドバンを続けていたので首の筋は朝から痛かった。

 

午後15時頃、荷物一式を京橋駅のコインロッカーに預けると、
僕はTシャツ&ハーフパンツの出で立ちで会場へ向かった。
ロータリーの噴水広場で初対面のフォロワーさんにご挨拶をし、
その後は昨日同様、会場の南側にあるスタンディングの入場口へ。
今日のブロックはR3なので、その列を見つけて並ぶとすぐに開場時刻となった。
入場口付近に、傘を預けることができる臨時の場所が設置されているが、
僕は折り畳み傘を差していたので、ビニール袋に入れてポケットに仕舞った。
その後は諸々のチェックを受けて入場。
ライブ後はすぐに帰京するので、少しでも帰りをスムーズにするための措置だった。

 

 

指定のブロックに入ると、中央寄りの柵から2番目の位置を陣取った。
ステージまでの視界は良好だが、それでもそれなりに距離はある。
肉眼でも見えるが、今宵もあの巨大なLEDスクリーンのお世話になりそうだ。
周囲をざっと見渡すと、さすがにスタンドはまだ空席だらけ。
入場の2割も進んでいないのだろう。
客入れBGM(SE)が流れているが、ジューダス・プリーストがやけに多い。
ドラゴンフォースとアイアンメイデンも数曲かかっている。
他にはアンスラックス、メガデス、ドリーム・シアター、スリップノット……etc.
そういえば、先月のさいたまスーパーアリーナ公演初日では、
アイアンメイデンの「Fear Of The Dark」が流れるや大きな手拍子が起こったが、
今日はずっと周囲は比較的おとなしい様子だった。
僕はドラゴンフォースの数曲でガンガンに首を振っていたが、
周囲にヘドバンをする人はおろか、音楽にノッている人もあまりいないようだった。

 

それでも、開演時刻が近づいてくると自然と場内は熱を帯びていき、
最後の注意事項のアナウンスが終わると大きな歓声が沸いた。
スタンドはほぼ一杯。フロアの入場もすべて終わっているようだ。
いよいよ巨大キツネ祭りも今日で最後か――そう感慨に耽った矢先、
場内に流れていたドラゴンフォースの「Fallen World」が途中で途切れ、
スッと客電が落ちた。途端に大歓声を上げるメイトたち。
視界の中で無数のキツネサインが踊る。
すぐ前方、R2ブロックの後方では早くも小さなモッシュが発生している。
ややあって、染谷歩による今ツアー共通のナレーションが始まると、
歓声は場内にこだまし、何度も大きな拍手が沸き起こった。
そんな中、彼女が “ 諸君 ” と煽ってくる。“ 首の準備はできているか? ”
“ オオーッ!” メイトたちが一斉に怒号交じりの気勢を上げる。
さあ、いよいよ開演だ。
METAL RESISTANCE 第5章の終焉を告げる、最終ライブの幕開けだ。

 

 

2.

セットリスト

01 BABYMETAL DEATH
02 ギミチョコ!!
03 メギツネ
04 ヤバッ!
05 紅月
06 GJ!
07 シンコペーション
08 META!メタ太郎
09 イジメ、ダメ、ゼッタイ
10 KARATE
11 ヘドバンギャー!!
12 Road of Resistance
13 THE ONE -English ver.-

 

まるでマシンガンのような「BABYMETAL DEATH」の六連符リフが場内に轟き、
眩いストロボ・ライトが炸裂すると、場内は瞬く間に非現実な空間へと様変わりした。
周囲にいるメイトたちは一気にトランス状態に陥り、
ふだんはほとんど発さないような大声で “ オイ! オイ!” と叫んでいる。
ステージ中央の床下から、BABYMETALの3人がリフトに乗って登場し、
後方全面を覆う巨大な5つのLEDビジョンにその姿がアップで映し出されると、
歓声はひときわ大きくなり、それぞれの下の名前を呼ぶ声も飛び交った。
前方のR2ブロックで激しいモッシュが開始されたのは花火の爆発音の直後。
しかしそれはそこで発生しただけではなかった。
背後から強い衝撃を受け、僕は咄嗟に振り返る。
気が付けば僕の真後ろ、R3ブロックでもモッシュは発生していた。

 

楽しそうに暴れている15人くらいのメイトの姿を見てすぐさま血が騒いだが、
柵から2番目の位置だったので、すぐにはそこを動けずにいた。
僕は、背中でモッシュの圧を感じながらヘドバンを続ける。
ドラムのブラストビートが脳幹を刺激し続ける。
ああ、なんて気持ちいいんだ。
いつまでも全身で爆音を浴び続けていたい。
僕は時折スピーカーに目を移し、噛み締めるようにして “ 音 ” を堪能する。
音響バランスも音圧もまずまず。なにより轟音なのが実に嬉しい。

 

大村神が随分と観客たち、特に上手のスタンドの方を煽っている。
青山神は半笑いでキックを連打し続けている。
フロントの3人は、キツネサインを掲げながらほとんど無表情を決め込んでいた。
同曲でも程よく笑みを零すMOAMETALも真剣な表情のままでいる。
しかしサビの “ DEATH! DEATH!” と連呼する箇所では、
歓びの感情が頬から零れ落ちているといった屈託のない笑みを浮かべていた。
SU-METALもYUIMETALも、よく見ると口角が幾分上がっているように窺える。

 

曲が終わると大歓声。拍手や口笛も鳴り響いている。
続けざまに「ギミチョコ!!」が始まると、すぐにまた背後でモッシュが始まった。
僕は何度か後方を振り返るが、その都度、気持ちを押し止める。
そうして頭の中では計算をしていた。
SU-METALのソロ曲、いや、「シンコペーション」までだ。
それまではステージをじっくり観て、モッシュに加わるのはそれからにしよう。

 

5枚のスクリーンが迫力ある一枚絵となり、3人のダンスを大きく映し出している。
かと思えば、今度は右から左、左から右へと、
YUIMETAL、MOAMETALをフォーカスし、ダンスをウェーブのように映し出す。
単純な絵だけではなく、5つのスクリーンをうまく使う演出はとても効果的だった。
観客に飽きさせない工夫、独創的に魅せていくアプローチは見事だった。

 

間奏でSU-METALが “ 大阪城ホール!” と叫ぶ。
笑顔で “ ア―ユーレディ、ヘドバン?” と続ける。
眼前のR2ブロックのモッシュも、すぐ後ろのモッシュもサビで激しくなっていった。
この、小さなサークルモッシュに挟まれている状況は非常に稀だった。
だから「珍しいよなぁ」と思いながら交互に視線を移していたのだけれど、
ふとTRI-ICON のフェイスタオルを拾ったのはそんな折だった。
モッシュの弾みで誰かが落としてしまったのだろう。
僕はライブを愉しみながら機を窺う。

 

SU-METALが終始可愛らしく歌っていた同曲の次に来たのは「メギツネ」。
ここまでの流れは昨日と同じ。
曲が始まる前のタイミングで、僕はタオルを掲げ、
“ 落とした人ー? ” と声を張るが、ほとんど反応がなかった。
その後も2度ほど試みたが結局落とし主は現れなかったので、
前の人に頼んで、ライブ終演まで柵にかけてもらった。

 

3人がクールにポーズを決め、曲が始まる。
初っ端、メイトたちの “ それっ!” の掛け声が凄まじい。
ヘドバンをするたびに脳が揺れる。
みんながジャンプするから視界も揺れる。

 

SU-METALの声には張りがある。
昨夜も好調だったが、今夜もそれ以上の出来のようだ。
やがてブレイクダウンを迎え、間奏に入る。
お立ち台に上がったMOAMETALとYUIMETALがノリノリだ。
2人とも体をくねらせるようにして手拍子を催促している。
そしてその後はSU-METALのカウントに合わせ、恒例の一斉ジャンプ。
ここでも視界全体が揺れ、場内は至る所が、狂喜乱舞といった有様だった。

 

大盛り上がりのもと同曲が終了すると、昨日と同じ流れで神バンドのソロが始まった。
小気味よい “ タタン、タン ” のリズムをバックに各々が難度の高いソロを披露した。
フロントの3人がステージの下から現れ、観客たちに拍手を促す。
それから――。
3人はスーッと自然体で「ヤバッ!」のダンスへ入っていくのだが、
今回も見惚れるほどにクールでスムーズな入り方だった。

 

後ろからガンガン人がぶつかって来るが、僕は気にせずステージを見つめる。
やはりこの曲はヘドバンしながらダンスを堪能するに限る。
YUIMETALとMOAMETALの “ ヤバッ!” の決め顔が交互にビジョンにアップで映る。
その度に、そこら中のメイトの心が幸福な気持ちで充たされる。
最後にアップで映ったYUIMETALは、少しの間を置いてさらにズームされたが、
あれはスイッチャーのミスだったのか、それとも狙ったのか、判別はつかない。
いずれにせよあの瞬間は、誰もがハッとして息を呑んで凝視したように思う。

 

ビジョンに映る3人を覆うエフェクト効果が相変わらず凄い。
まるで3人の体からそれぞれエネルギー波が放出されているかのようだ。
やがて同曲は終わり、続く曲は「紅月」。
僕は瞳を凝らしてステージを凝視する。
ややあって、マントを身に纏ったSU-METALがステージ上に現れる。
相変わらず凛々しく、そして美しい。
その登場シーンだけで涙腺を刺激され、僕はギュッと唇を噛み締める。
が、我慢はそう長くは続かなかった。
SU-METALが歌い出した瞬間から、あまりの歌声の美しさに、一筋の涙が頬を伝った。
その後は顔をくしゃくしゃにして、ビートに合わせて頭を揺らし続けた。

 

間奏に入り、2人のギターの神が美しいハモリを奏でる。
本当に堪らない瞬間だ。ここでも自然と涙が滴り落ちる。
そしてブリッジ、サビへと続く間に、強烈な陶酔感を抱き、
僕はまた涙を流しながら首を振り続けた。
なぜいつも「紅月」を聴いて涙するのか、なかなか説明はつかないが、
しいて言えば、楽曲も歌唱も “ 良すぎて ” 毎回泣いてしまうのだ。
この曲は何十、何百、何千と聴いても決して色褪せることはない。

 

曲の終わり方がまた抜群にカッコいい。
そして曲が終わった直後の歓声が凄い。
女性の悲鳴のような声も聞こえる。
そして観客が未だ熱狂する中、続けざまに始まった曲は「GJ!」。
BLACK BABYMETALの2人が三三七拍子のリズムで観客たちを鼓舞していく。

 

僕は横ノリで同曲を隅々まで堪能する。
動きの多いシンメトリーなダンスが観客たちを魅了する。
楽しい気分で踊っているとあっという間に同曲は終了した。
「紅月」とこの曲ではさすがにノリが違うのか、モッシュは発生していなかった。
ほとんどのメイトがステージを観ることだけに集中しているようだった。

 

少しして、ホールの後方より青いレーザー光線が伸びてくる。
正面に投影される光が赤色になったところで次曲のイントロが流れ出す。
「シンコペーション」だ。
その後も心電図を想起させる光のラインがビジョンに映り、イントロが繰り返される。
その間、メイトたちの心音は早鐘を打ち始め、まだかまだかと曲の開始を待ち続ける。
そしていざ曲が始まると、衝動が抑えられず、心臓が跳ねる感覚を覚えた。
曲が始まるまでの演出であった心臓の鼓動が、今もまだ鳴り続けているかのようだ。

 

僕は体を揺らしながらSU-METALの歌唱を堪能する。
“ 回れ 回れ ” と一緒に歌いながら右腕を頭上で回す。
そうしてはたと思い直す。
やはり今日のSU-METALの調子は良い。
音程が極端に外れることはなく、フラットすることもない。
力強い歌声が倍音を響かせながらどこまでも伸びている。

 

それは続く「META!メタ太郎」でも同じだった。
3人のユニゾン、YUIMETALとMOAMETALのソロも良かったが、
SU-METALの力強くて美しい歌唱は同曲でも遺憾なく発揮されていた。
そこにメイトたちの図太い “ メタッ!” の掛け声が交差する。
そのコントラストは、気勢を上げて大戦に向かう兵士と、
澄んだ声で号令を発する時の女王、そんな趣があった。

 

やがて “ ウォーウォー ” とヴァイキング・メタル風のシンガロングが響き渡る。
アカペラのときの迫力が琴線に触れ、思わず感極まりそうになる。
それにしても、毎回思うことだが、同曲を披露する3人はとても楽しそうだ。
常に屈託のない笑みを浮かべて可愛らしい振り付けを行っている。
そんな彼女たち3人の楽しげな気分が、広く観客たちに伝播している。
ライブが始まってからここまで、場内の熱狂具合はひと時も途切れることがない。

 

シンガロングの余韻が残る中、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」が始まる。
僕はハッとし、後方を向く。
そこでは、すでにサークルが出来上がっていた。
僕は準備を整え、臨戦モードに突入し、合図を待つ。
そしてSU-METALの咆哮に合わせ、本日最初のWODに嬉々として参加する。
人数はそれほど多くはないが、笑顔で体をぶつけ合い、そして走り回った。

 

パイロの炎の熱がここまで伝わってくる。
その中を走るYUIMETALとMOAMETALはかなり熱く感じているだろう。
怒涛のツーバスが心地良く、僕は眉間を寄せて頭を振り続ける。
モッシュは曲中に何度か発生し、その都度、叫びながら堪能した。
BABYMETALのライブの楽しみ方は十人十色、人それぞれだが、
僕はやはりヘドバンとモッシュが一番だ。

 

ツインギターの泣きのメロディが沁みる。
大勢によるダメジャンプが視界を覆っている。
この曲でもSU-METALの力強い歌唱が炸裂している。
サビのユニゾンで再び僕は頭を激しく揺らし、同曲を最後まで満喫する。
曲が終わった直後の歓声や拍手は随分と大きく、また長く続いた。

 

喧噪の中、続けざまに「KARATE」が始まる。
真ん中の十字架の照明が下まで降下し、
ポーズを決めた3人にスポットライトを当てる。
曲が始まるやモッシュが始まったので、僕は体をぶつけては大きく揺らす。
ビジョンの炎のエフェクトが激しい。3人ともがまさに燃えている。
YUIMETALとMOAMETALの “ 押忍!” の掛け声がとても可愛らしい。
SU-METALの歌声はここでも力強く、聴いていて惚れ惚れしてしまう。

 

“ ひたすらセイヤソイヤ戦うんだ ” と彼女が声を張って歌う。
右手を高々と上げ、“ WOW WOW WOW ” と一緒になって叫ぶ。
間奏の起き上がるシーンでは、今回もグッとくるものがあり、
僕は唇をきつく結んだままステージ上を凝視した。
そうして自発的にその後はジャンプを繰り返した。
心を折られても何度でも立ち向かっていく、そんな心積りで。

 

感動で胸が少しばかり打ち震えている。
同曲が終了したときの歓声もこれまた凄かった。
アウトロが終わった瞬間、場内の空気が振動するほどの大きさだ。
その後は昨夜のライブ同様、「ヘドバンギャー!!」へと続いていった。
ここでも可動式の十字架照明が降下し、青い光を放っている。
不穏なストリングスと稲妻音の後に、SU-METALが凛々しく歌い始める。
大型ビジョンに美しい彼女のアップが映るが、
いわゆるゾーンに入っているような顔つきだった。
無意識にもう一人の自分を自由に解き放っている瞬間なのかもしれない。

 

“ こいや ” の掛け声が凄まじい。
“ ヴォイ! ” と叫んで拳を上げる人も多い。
やがて長めの間奏に入ると、僕はすすんで土下座ヘドバンを始める。
“ みんなの声、ぜんぜん聞こえないよ?” MOAMETALの声が頭上で響く。
YUIMETALは関西弁で “ まだまだぜんぜん足らへーん ” と言っているようだった。
その後2人は、今日もまたスモークガンで白煙を撒き散らしたようだが、
土下座ヘドバンを続ける僕にそれを確認する術はない。
その後は頭を激しく揺らし、余すことなく同曲を堪能した。

 

ライブは今夜もノンストップで続き、いよいよ「Road of Resistance」へ。
結果、ここでも曲の始めに、小さいながらもメイトたちでWODを敢行するのだが、
僕は冒頭のギターオーケストレーションの間、
できあがっていたサークルの真ん中付近で、ひとりエアギターをかました。
エゴ全開の行為で恐縮だが、最高に気持ちの良い瞬間だった。
3人がフラッグを横になびかせるときには少しばかりロゴ入りのタオルを掲げた。
そして――小さいながらも激しい Wall of Death に喜んで参加する。
その後はそのままサークルモッシュに興じ、“ DIE! ” と叫んでジャンプを繰り返した。

 

それにしても、やはりライブの「Road of Resistance」は最高最強だ。
SU-METALの歌声は力強く、ギターの神の演奏は文字どおり神がかっている。
青山神とBOH神のリズム隊も鉄壁で、楽曲構成も見事。最後まで堪能できる。
僕は何度もジャンプをしてはモッシュに参加し、体力が尽きるまで騒ぎまくった。
間奏では再びエアギターをかまし、酔いしれる。
モッシュしていたメイトたちと一緒に “ オーオー!” とシンガロングに興じる。
SU-MEYALの “ かかってこいよ!” に呼応し、“ shout!” と目一杯叫ぶ。
そうして盛大にみんなでキツネサインを掲げ、
今回も大盛況のもと同曲が終了すると、いよいよラストの曲へ。
厳かな「THE ONE」のイントロが流れ、複数の白いライトが天井を照らすと、
それまで頻繁に起こっていた3人の下の名を呼ぶコールは鳴りを潜め、
場内はシンと静まり返り、見目麗しき3人の女性が現れるのを待ち続けた。
ビジョンに映る雲海の映像が壮大な雰囲気をさらに醸し出している。

 

やがて銀色のガウンを纏った3人がステージに現れる。
全観客の瞳がステージだけに集中している。
「THE ONE」の圧倒的なスケール感はやはりアリーナショーにこそふさわしい。
彼女たち3人を包み込む、場内の威風堂々たる雰囲気は、
まるで交響楽団によるコンサートといった様相を呈している。
誰もが息を呑んでステージを見つめ、美しいギターオーケストレーション、
そして、これまた美しいSU-METALのクリアな歌声に耳を傾け、酔いしれている。
僕は心底陶酔し、まるで夢の中にいるような錯覚を抱きつつ、ステージ上を凝視する。

 

ガウン姿のMOAMETALが何度か巨大スクリーンに映るが、
あまりにも美少女すぎて言葉を失う。
同じくスクリーンにアップで映るYUIMETALは顔中が汗だくで、
内面から滲み出ている美しさが、よりキラキラと光り輝いている。
SU-METALもアップでビジョンに映るが、美しい、と言葉を漏らす以外、
どうしようもなかった。
心を込めて、情感たっぷりに歌い上げる彼女の表情はとても切なげで、
観る者、聴く者の心にダイレクトに訴えてくるから自然と体は熱くなっていった。

 

 

転調でリズムが変わると、僕は指揮者のような心持ちになり、
それからはメロディに合わせて、ゆらりゆらりと軽やかに腕を振った。
そして “ ララララー ” の大合唱。
3人の表情が眩しい。
すべてを出し切り、清々しい表情をしている。
僕は口元に笑みを湛え、最後、3人が輪になってキツネサインを掲げるのを見守る。
止めどなく込み上げてくる涙をグッと堪えながら。
そうして大盛況のもと、今宵のライブはすべて終了となった。
彼女たち3人と神バンドのメンバーに向けられた拍手や歓声は非常に大きく、
そしてそれはしばらくの間止むことはなかったのだった。
アウトロの締めも素晴らしい「THE ONE」は、やはり最高のクロージング曲である。

 

 

3.

ライブが完全に終演し、最後の告知映像がビジョンに流れ始めると、
それまで沸いていた歓声はピタッと止み、すべての者の目は前方に向いた。
いよいよ全貌が明らかになる瞬間。
完全な錯覚だが、周囲から息を呑む音が聞こえた。
集中力を高めていく中、染谷歩によるナレーションが始まる。

 

5色の狐火が一つとなり、巨大な炎となって漆黒の闇を照らした夜、
METAL RESISTANCE 第5章のすべての扉が開くのだ。
5枚すべての扉が開いた時、METAL RESISTANCE 第5章の終幕と共に、
キツネ様の新たなお告げの全貌が明らかになる。

それは、聖なる人が、聖なる神へと生まれ変わるイニシエーション(洗礼の儀)。
5色の狐火の中から、ひときわ眩い閃光を放ち、
来たるべき運命へと導かれた鋼鉄(メタル)の魂は、
ついに、あの聖地へと降臨するのだ。

その昔、三つ目の狐の顔を持つ預言者(PROPHET OF FOX GOD)は言った。
第三の目(THE FOX EYE)から放たれる光が、世界を照らす時、
新たな女神が降臨する。
時代の救世主(メシア)。
黄金世代を導く存在として、あの聖地に舞い降りる。

 

 

昨夜の公演の最後に、12月2日と3日の日程は公表されていた。
だから今さらそれに驚くことはなかった。
また場所に関しても、あれだけ日本地図の分かる位置で
はっきりと光っていたのだから、
広島でのライブの開催を疑う者はほとんどいなかった。
しかしながら――。

 

 

日本でツアーをやってみたい? という問いに対して……

SU-METAL――出身地の広島には行きたいDEATH!
でも、胸を張って帰って来たよ! と言える日まで我慢します。
広島出身のアーティストさんが広島でライブをやるのを観たときに
「帰ってきた~」と言っているのを聞いて、自分もいつかは言ってみたいなって。

《ヘドバンVol.2より抜粋》

 

前回インタビューをしたときに、「広島で凱旋公演をしたい」って言っていたけど、
広島が恋しくなったりはする? という問いに対して……

SU-METAL――上京してきて2年くらいになるんですけど、
撮影で1回帰っただけで、それ以外では、まだちゃんと帰ってなくて。
なんか…それだったら自分が胸を張れるぐらいになったら
帰ろうかなっていう風に気持ちが変わってきてますね。
だから、帰りたい気持ちはいっぱいあるんですけど…今は「胸を張って広島に帰る」
っていう目標が達成されてから帰るものと心を変えました。
あいまいな感じで帰るんだったら、胸を張って帰りたいDEATH!

《ヘドバンVol.3より抜粋》

 

今回(2015年)のジャパンツアーではなかったけど、このまま行くと
広島グリーンアリーナとかでも出来そうだよね、という問いに対して……

SU-METAL――凄くやりたいDEATH!
自分がお世話になった人たちに見て貰える場が欲しいなって思います。
地方では初めてBABYMETALを見るっていう人が多くて
「待ってた!」っていう気持ちが凄く伝わってくるんですよ。
本当に待ってて下さる人がいるんだなって改めて実感して…。

《ヘドバンVol.10より抜粋》

 

 

 

 

 

 

 

 

※ORICON NEWS他、音楽情報サイトから引用  Photo by Tsukasa Miyoshi

 

大きく表示された広島グリーンアリーナの文字を眺めていると、
いろんな感情が沸き起こってきて、自然と涙ぐんでしまった。
僕は内心で、 “ ほんとに良かったね、すぅちゃん ” と声をかける。
きっと僕と同じような心境に陥ったメイトの方はかなり多かったことだと思う。
なぜならば彼女の凱旋公演を待ちわびていたのは本人だけではなかったから。
BABYMETALの快進撃だけにとどまらず、SU-METALの世を忍ぶ仮の姿、
中元すず香の生い立ちを静かに見守り、彼女の抱く気持ちを推し量ってきた
多くの父兄・メイトたちの願望でもあったのだから。
そして神バンドも含めたチームBABYMETALの面々も、
本人と同じくらい嬉しい気持ちでいることだろう。
とりわけSU-METALを身近でずっと支えてきた方々の感慨はひとしおだろう。

 

 

 

出口に向かう際に確認してみたが、柵にかけておいたタオルは無くなっていた。
落とした本人の元へ無事に戻ったことを祈るばかり。
それから会場を後にして、北口の方に向かうと、
多くのメイトが噴水広場でしていた。
今宵のライブを満喫したというのは、
彼らの顔つきを見れば火を見るよりも明らかだった。
誰も彼もが満面の笑みを浮かべて仲間内で談笑している。

 

 

 

僕は傘をさして帰路につく。
お気に入りのTシャツは汗でぐちゃぐちゃだった。
だけどあまり寒さは気にならない。
まだライブの余韻が残っていて体が火照っているからだろう。

 

電車に揺られながら、僕はライブを振り返る。
今回、「巨大キツネ祭り in JAPAN」は、4公演中3公演を観たわけだが、
やはりあの巨大なLEDスクリーンに言及しないわけにはいかないだろう。
BABYMETALのプロフェッショナルなパフォーマンスは、
見る角度、位置、視点によって、様々な楽しみ方がある。
曲ごとに、ここはちゃんと押さえるべき、というような箇所が複数ある。
そしてそういった、見逃すべきではないポイントを、彼女たちの魅力の数々を、
あの巨大なビジョンを通じ、余すことなく、観客たちに伝えていた。
巨大な舞台セットを排した今回のステージングは、
もしかしたら今後のアリーナショーのデフォルトの型になっていくかもしれない。
きっと運営側も今回の演出面には手応えを掴んだに違いないだろうから。

 

今夜の3人の様子を振り返ろうとするが、
半分くらいはモッシュして騒いでいたので記憶は断片的だ。
だけど3人ともに、「THE ONE」のときは、
すべてを出し切った清々しい表情をしていた。
観客たちのノリも、自分が確認した範囲に限れば最高なものだったので、
きっと彼女たちも満足したことだと思う。
「META!メタ太郎」や「Road of Resistance」のときのシンガロング、
SU-METALは右耳のイヤモニを外してオーディエンスの声を聴いていたが、
ニコリと微笑む彼女の顔には充実感が漂っていた。
観客たちと一緒になって拳を突き上げるYUIMETALとMOAMETALも
幸せそうな表情を浮かべていた。

 

今宵、SU-METALの20歳の誕生日を祝う聖誕祭、
「LEGEND – S – 洗礼の儀 – 」の開催が正式に決定した。
日時は12月2日と3日。
チケットの当選確率は熾烈を極めるだろうから、
見に行ける確率はかなり低いものだと思われるが、
彼女の歌声に魅了されて僕はメイトになったわけだから、
一生の運をここで使い果たしてでも当選してくれないだろうか。
そして現地で、胸を張ったSU-METALの晴れの舞台を見届けたい。
そんな神頼みをしつつ、僕は帰京の途に着いた。
ふと脳裏に、振袖を着た美しいSU-METALの姿を思い描きながら。
“ ついに――、ついに帰ってきました! ”
ライブの途中、SU-METALが満面の笑みでそう叫ぶのを妄想しながら。

 

 

 

 

※ 最後に ※

この場をお借りして、当日、R3ブロックで一緒にモッシュしてくれた方、
厚く御礼申し上げます。
非常に楽しかったです。ありがとうございました。
また、モッシュやWODに参加されなかった方、
狭い場所で騒いでしまい、申し訳ございませんでした。
なるべくご迷惑をおかけしないように努めていましたが、
知らないところで、きっとご迷惑をおかけしていたんだと思います。
とにかくブロックが狭かったですから。
この場をお借りして深くお詫びいたします。

 

 

 

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