BABYMETAL サマソニ2017大阪 ライブ レポート

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1.

コインロッカーの中にバックパックを無造作に放り込むと、
僕は最小限の荷物を持って中央線の地下鉄に乗り込んだ。
目指すは同線最終駅であるコスモスクエア駅。
時刻はまもなく午前8時になろうとしているが、
土曜日でも御堂筋線から乗り換える客が多いのはある程度予想していたことだった。
車内は早くも若人たちの熱気で溢れ返っている。

 

今年もついにやってきた「SUMMER SONIC」。
ギュウギュウ詰めの電車に揺られていると否応なく昨年のことを思い出す。
あのときも電車の中で一足早く圧縮の洗礼を受けていた。
ふと思いを馳せれば、1年前の興奮が、確かな記憶とともに沸々と脳裏に蘇ってくる。
彼女たちは齢17、8歳にして、堂々とSONIC STAGEのヘッドライナーを務め上げたのだった。

 

そうして6年連続の出場となった今年の「SUMMER SONIC 2017」、 大阪会場では、
メインステージである OCEAN STAGE の準ヘッドライナーに抜擢された。
未だ10代であるBABYMETALの3人がメインステージのトリ前に登場するというのは、
ふつうに考えれば、それは前人未到の偉業に他ならず、大変な栄誉であるのだけれど、
これまでに数々のサプライズを起こし、ワールドワイドで実績を残してきた彼女たちには、
それはどこか至極当然のことにように思えてしまう。
メイトだけに限らず、業界関係者が一同口を揃えて「相応しい」と納得している。
そしてその現実が、僕を大阪まで寄越した理由であった。
準ヘッドライナーで出るのなら、今年は東京も大阪も観に行かねばならないと思い立った。

 

 

 

やがて電車が最寄駅に着く。
僕は少しばかり逡巡したのち、タクシーで現地へ向かう選択をした。
車内からシャトルバス乗り場を伺うと、まだ準備をしている最中だった。
物販は早めに終わらせたいので、必然的に、リストバンドの交換も早く行わなければならない。

 

 

 

メインゲートの列に並ぶなり、強烈な日差しが照らしつけてきた。
今年もサマソニ大阪は暑くなりそうだ。
昨年は屋内だったからまだ良かったけれど、今年は屋外なのでこの天候は体に厳しいなぁ。
そんなことを考えながら僕はリストバンドを受け取り、急ぎ足で物販エリアへ向かった。
そしてそこでまたしばらく並んだあと、ようやくBABYMETALのTシャツと数枚のフェスT、
それから、お気に入りのROYAL BLOODのTシャツを買い込んだ。
欲しかった物を買えて人知れず安堵の吐息を零す。
バックパックごとクロークに預けると、体だけではなく心も随分と軽くなった。

 

 

 

 

2.

 

敷地内へ再入場すると、賑やかな声に誘われてメインゲートの方へ戻っていった。
広場でぐるりと周囲を伺うと、フェスにやってきたことを強く実感した。
フェス飯の屋台が並ぶ中、WHITE MASSIVE のステージがすぐそこにある。
ちょうど今は Xmas Eileen がライブを行っているようだ。
昨年の FOREST STAGE は少し歩いたが、この場所であればそんな必要はない。
OCEAN STAGE もクロークから近い場所にあるので昨年よりも会場はコンパクトな印象だ。

 

 

 

その後は MOUNTAIN STAGE へ向かい、Little Glee Monster を観賞した。
昨年も OCEAN STAGE で観たが、ヴォーカルグループなだけあって相変わらず歌唱力は高い。
それからは SONIC STAGE へ移動し、SWMRS と Nothing’s Carved In Stone を続けて観る。
満を持して OCEAN STAGE へ向かったのは INABA/SALAS の開演直前だった。

 

 

 

やがて定刻となり、「SAYONARA RIVER」でライブはスタートした。
それから、「苦悩の果てのそれも答えのひとつ」、「正面衝突 」と続いていった。
途中に何度も発した渾身のシャウトを心に刻みつけながら、
ああ、やはり稲葉浩志は、日本が誇る稀代のロックヴォーカリストなんだと思い知った。

 

 

 

その後は ALL TIME LOW と ROYAL BLOOD を続けて観戦。
観るのはともに2年振りだったが、双方ともスケールアップしている印象を受けた。
ALL TIME LOW のアレックスとジャックは何度も “ F○ck!” と叫んでは観客は煽り、
「Lost In Stereo」でぶち上げ、定番の「Dear Maria, Count Me In」でホットなライブを締めた。

 

 

 

ROYAL BLOOD の演奏力は今さら触れるまでもないのだが、
デュオであれだけの音の厚みを出せるのはやはり素晴らしい。グルーヴ感も最高だ。
マイクは曲の度にベースを変え、時にギター・サウンドも奏でる。
その秘密は弦にあるのか、それともエフェクターにあるのかは定かではないが、
いずれにせよ彼の演奏スキルは筆舌に尽くし難く、何度も聴いては痺れた。
スタイルがいかにもロックドラマー然としているベンは、演奏以外でも目立っていて、
袖にドリンクを取りに行ったり、ピットへ降りて行ったりと自由に振る舞って観客を沸かせていた。

 

 

 

マキシマム ザ ホルモンのライブは、腹ペコたちをよそに少し後方に下がって観た。
今日はとにかく暑いので、ここで少しペースを落とさないとダウンしてしまう。
そんな思いで後方で観たのだけれど、ライブが始まれば場所なんて関係ない。
最初は抑えていたのだが、「F」あたりから僕は激しいヘドバンを繰り出す。
途中のMCでドラムのナヲが可愛らしく “ BABYMETAL でーす ” と喋ると温かい歓声が上がった。
そして「握れっっ!!」は大声で歌い、「恋のスペルマ」では踊り狂って終了となった。

 

 

 

続く MAN WITH A MISSION のスタートに合わせ、僕はまた前方へ移動する。
一発目の「Get Off of My Way」でピットは早くも興奮の坩堝。
辺りを埋め尽くすガウガウダンスは壮観の一言。
それからも「Hey Now」「Take What U Want」「Emotions」と畳みかけてくる。
それにしても MAN WITH A MISSION のファン層は若い。僕はメイトだから余計にそう感じる。
「FLY AGAIN」から最後の「Raise your flag」までは若者に交じってモッシュにも興じた。

 

MAN WITH A MISSION のライブ終了後、すぐに前方への移動を試みる。
が、周りも同じように前方へ詰めているため、僕は2ブロック目あたりで待機することにした。
おそらくこのあたりが巨大なモッシュピットとなるだろう、そんな思惑もあった。
本当に2ndヘッドライナーなんだなぁと、背後で沈みゆく西日を眺めながらふと思う。

 

邦楽アーティストで、過去にサマソニのこのポジションを務めたことがあるアクトは、
B’z(2009年)、X JAPAN(2011年)、Mr.Children(2013年)、サカナクション(2016年)の4組。
この錚々たるメンツに並び、BABYMETALは5組目としてこの後に登場する。
その事実を噛み締めるだけで万感の思いが込み上げてくるけどライブはこれから。
初っ端にくるであろう「BABYMETAL DEATH」で場内の空気を一変させるのが目に浮かぶ。
そして爆音の中を突き抜けていくSU-METALの澄んだ歌声が、
この広い OCEAN STAGE 全体に響き渡っていく光景も容易に想像がつく。
昨年のフジロックのように、夕闇の中でライトアップされた幻想的なライブになるに違いない。
僕は期待に胸をときめかせながら、新たな伝説が始まるのを静かに待ち続けたのだった。

 

 

 

 

3.

セットリスト

01 BABYMETAL DEATH
02 ギミチョコ!!
03 メギツネ
04 Catch me if you can
05 Road of Resistance
06 KARATE
07 ヘドバンギャー!!
08 イジメ、ダメ、ゼッタイ

 

 

お馴染みの「BABYMETAL DEATH」のイントロでライブが始まる。
“ フードコートの片隅で、狐が夜空に弧を描いた夏。その時、新たな伝説が生まれたのだ ”
ビジョンには「Road of SUMMER SONIC」の文字が浮かび、
初めて出演した2012年から昨年までの歴史を示す画像が次々に映し出される。
途中に神バンドの面々がステージに姿を現すと場内から大きな歓声が上がった。
“ 首の準備は出来ているか? 2017年夏 新たな伝説の幕開けだ―― ”
やがてマシンガンのような怒涛の六連符リフが場内に轟く。
フードタオルを被った3人がステージに姿を現すとすぐさまメイトたちが色めき立つ。

 

周りには初見の人もかなりいるのだろう。
黒Tシャツではない人たちの姿がポツポツ映る。
彼らは一様にステージを凝視して微動だにしない。
音圧に度肝を抜かれ、ただならぬ気配に気を張っているように思える。

 

すぐ左側では早くもモッシュが始まっている。
それは当然ながら開始直後の圧縮よりも激しいものだった。
空気を裂くドラムの音が空中でこだまする。
やはり日本のライブでのモッシュは激しい。
単独だろうがフェスだろうがそれはおかまいなしといった具合にだ。
危険を察知した何組かのカップルが中央の方へと逸れていく。

 

続く「ギミチョコ!!」でモッシュはさらに激しさを増していった。
みながみな歓喜の雄叫びを上げて体をぶつけ合っている。
辺りは次第に暗くなり、薄暮の空を背景に激しく照明が点滅する。
その光は網膜を通じ、観る者の脳をさらに活性化させる。

 

サークルモッシュが起こると、その都度何人かが潰れていった。
僕はサッと両手を上げ、後方に向けて “ Wait! Wait! ” と声を張る。ここは日本なのに。
老若男女関係なく、サークルモッシュに参加している人たちは誰もが笑みを浮かべ、
ぐるぐると回りながら円の外にいる人たちと楽しげにハイタッチを交わしている。
後方の様子は分からないが、ピットは終始混乱を極め、ぐちゃぐちゃの状態を維持している。

 

3曲目にきたのは「メギツネ」だった。
ここまでの流れに思わず声が漏れた。 “ マジかよ… ”
DEATH、ギミチョコ、メギツネ――、今日のライブは神セトリになる。
そんな思いを胸に、僕は嬉々としてジャンプし、「ソレッ!」と何度も声を張った。
まだまだ疲れてはいないので繰り返し大きくジャンプする。
ふと周囲を窺ってハッとしたのはブレイクダウンに入ってからのことだった。

 

 

 

あーっ! と思わず指さす。今年も彼はいた。
パンダくんだ。
しかもメイトにリフトされている。
そんな中、SU-METALによる客煽りが始まる。
そして “ 1、2、3、ジャンプ!” の合図で爆発する観客たち。
この光景は何度見ても壮観だ。
メイトとか初見とか関係なく、みなで協力し合って今宵のライブを最高のものにしようとしている。
ピットのほとんどの観客は手を上げジャンプし、体を揺らして目いっぱい今を楽しんでいる。

 

ライブはそのまま「Catch me if you can」と畳みかけてくる。
神バンドの面々がそれぞれ高速のソロパートを披露する。
相変わらず各自、痺れるほどに上手い。
3人が元気よく “ ハイ! ハイ! ” と声を弾ませながら躍り出てくると、
観客たちは手を高く上げ、同じく “ ハイ! ハイ! ” と呼応した。
そして自然とサークルを形成し、ここでもWODの準備を始めたのだった。

 

違和感を覚えたのはその直後だった。
グレーのTシャツを着た1人のスタッフがおもむろにサークル内に侵入してきて、
ゼスチャーでWODやモッシュはやるなと指導してきたのだった。
だけど彼に気付いたメイトの数はほんの少しだったようで、
観客たちは、 “ ワン、ツー、ワンツースリーフォー! ” を合図に激しいWODを敢行した。
苦虫を噛み潰したような表情をしているスタッフの姿が視界の端に映っている。

 

モッシュ自体は ALL TIME LOW のときから発生していたけどスタッフが来ることはなかった。
このタイミングで勧告しに出てきたのは、あまりにもモッシュが激しかったからなのだろう。
しかしながら、彼の訴えはメイトたちにはまったく届かず、そればかりか、その後すぐに、
SU-METAL自らが英語で “ もっと大きいサークルを見せて ” と煽ってきたものだから、
そのスタッフは “ えっ? ” とばかりにちらりとステージに視線を寄越し、
そして幾ばくか固まってから、致し方なしといった顔つきでその場を去っていった。
“ 全然足りないよ! ” “ 走って走って! ”
そんな彼に向かってMOAMETALとYUIMETALが追い打ちをかける。
僕たちメイトは、たとえ水を差されようとも、3人の命令にはいつだって従順である。

 

確かに開演前のビジョンには「モッシュやサーフは禁止」という文字が表示されていた。
しかしそれは、ライブを最高なものにしようとして一体となっている演者と観客にとって、
暖簾に腕押し、馬耳東風、メイトの耳に念仏に他ならなかった。
賛否はあるかもしれないが、じっくり鑑賞したい人はピットを避けているし、
モッシュしたい人たちだけで楽しんでいるので、個人的には大きな問題ではないように思う。
ただし怪我だけはあってはならないので、それに対してはみなが注意を払うべきであろう。

 

SU-METALが可愛らしく “ デンジャラスだもん ” と歌い上げて同曲が終了する。
続いて「Road of Resistance」が始まると、すぐ横でまた大きなサークルが出来上がっていった。
疲れ知らずの観客たちが巨大なWOD、高速サークルモッシュを敢行する。
ライブで「Road of Resistance」を聴くときはいつだって気分が最高に盛り上がる。
“ Is the time!” と拳を突き上げ、“ Resistance!” と声を張る。
“ Forever!” と後に続き、再びサークルモッシュでもみくちゃとなった。
そしてシンガロングが始まる直前、ギターのピロピロに合わせておもいきりエアギターをかます。
もうこれは鉄板の楽しみ方。最高に痺れる瞬間だ。

 

「Road of Resistance」は、ライブの中締めの役割を果たしていた。
観客たちは一斉に拳を突き上げ、同曲によって得た高揚を天に向かって解き放っている。
その余韻が冷めやらぬ中、ふと聞こえてきたのは、ループする「KARATE」のアウトロ。
僕は再び気分を高揚させ、静かなる興奮を内へと溜め込む。
そしてイントロが始まるや否や目を閉じて上体を大きくグラインドさせる。
さすがは名曲揃いのBABYMETAL。
クロージング曲としても秀逸な「Road of Resistance」を途中に持ってきても、
勢いが落ちたり、熱量が下がったりすることは一切ない。

 

“ セイヤソイヤ戦うんだ ” と一緒に歌う人は多い。
YUIMETALとMOAMETALの掛け声に合わせて “ WOWOW!” と拳を突き上げるのはマスト。
やがて間奏に入り、僕は瞳を凝らしてステージを眺める。
SU-METALが2人を起こして肩を寄せ合う演出を観るのは随分と久しぶりだった。
おそらくはウェンブリー公演以来か。
だけど最後には、SU-METALがしっかりと “ エブリバディジャンプ!” と煽ったので、
まるで弩にでも弾かれたように、周りの観客たちは狂ったようにジャンプを繰り返した。
ピット全体が、ゆらゆらと波打っている夜の海のように感じられる。

 

それにしても、ライトアップされた中で踊る3人の姿はとても美しい。
MOAMETALは歓びを、YUIMETALは奥ゆかしさを醸し出しながら飛び跳ねている。
僕は括目し、ジャンプしながら唄い続けるSU-METALの姿を凝視する。
ポニーテールはあれほど激しく揺れているのに歌声のトーンは一切揺るがない。
そして最後の渾身のロングトーンを、僕は目を閉じて全身で浴びるようにして聴いた。
脳幹が痺れる感覚がする。最高に気持ちの良い瞬間だ。

 

次に披露された曲は「ヘドバンギャー!!」。
不穏なイントロが鳴り響くと場内が “ おおっ!” と沸いた。
ライブで披露される機会が少なくなっているからだろう。
僕はYUIMETALとMOAMETALの2人に合わせてベビーヘドバンを繰り出す。
視界に映る多くの人が首を左右に振っている。

 

“ こいや!” の掛け声が凄まじい。
ビジョンに映るSU-METALの眼光が鋭い。同曲ではいつもそうだ。
間奏に入ると、僕はその場ですぐにしゃがみ込む。
周りにいる何人かが追随し、揃って土下座ヘドバンを繰り返す。
そして起き上がるとそのまま激しいモッシュに雪崩れ込んでいった。
多くの人が快哉を叫びながら体をぶつけ合っている。

 

観客たちの熱量は一切衰えることなく、ライブはラストの「イジメ、ダメ、ゼッタイ」へ。
イントロが始まるや、途端に大きなサークルを作り始めるメイトたち。
そしてSU-METALの咆哮に合わせ、僕も含めたメイトたちは巨大なWODを敢行した。
その後間奏に入ったところでは、再び大きなサークルモッシュが発生した。
僕はサークルの中央で、ツインギターの音色に合わせて再びエアギターをかます。
昇天しそうなほどの陶酔感を覚え、しばし酔う。
ちらりと周囲を一瞥すると、自分と同じようにエアギターをしているメイトの姿が目についた。

 

今宵のライブもノンストップで続くから最初から最後まで熱狂が冷めることはなかった。
かくいう僕も、ずっと楽しい気分で笑みを絶やさずにいたのだけれど、
いきなり無表情となり、顔面からスッとその笑みが消えてしまったのは、
ふとビジョンに映るYUIMETALの姿を目にしたときだった。
最初はよくわからなかったが、彼女は右手だけで踊っていた。
刹那、いったいどうしたのだろうという疑問が、大丈夫なのかという心配が脳裏を駆け巡る。
YUIMETALの左手は真下にピンと伸びたままほとんど動いていなかった。

 

そんな彼女の異変をすぐに察知したのだろう。
MOAMETALが、YUIMETALの動きと左右対称になるように、
急に片手の振り付けで踊りだした。
その一連の流れを目撃していた僕は、感心し、首肯した。
さすがはMOAMETALと認めないわけにはいかない。
彼女はどんなときでもプロフェッショナルな対応を見せる。

 

そのままライブは終了し、3人が恒例のC&Rで締める。
MOAMETALが広いステージの下手の端まで走ってくる。
3人の “ WE ARE?” に応じ、観客たちが “ BABYMETAL!” と声を張る。
そして “ SEE YOU!” と快活な声を残し、3人は袖にハケていった。
後からわかったことだが、YUIMETALは、
腰につけていたイヤモニ用のレシーバーが外れそうになったから、
左手を体に密着させてそれが落ちないようにずっと抑えていたそうだ。
怪我ではないことがわかり、心底ホッとした。これで明日のライブも問題ない。

 

 

 

 

 

4.

それから僕は会場を後にすると急いでタクシー乗り場に向かった。
明日のサマソニ東京へ備え、今日中に帰京することは前から決めてあった。
トリの Foo Fighters のライブを放棄したことは苦渋の選択。
明日は最後まで観ようと思いつつ、帰りの新幹線に乗車する。
シートを倒し、心を落ち着けてから、僕は今日一日を振り返った。

 

最初の感想は「今年の大阪も暑かった!」。
次に思ったのが「今年のサマソニも面白かった!」。
お楽しみはまだ明日の分も残っているけど、非常に満足した一日だった。
僕はひととおり今日の記憶を辿ってから、改めてBABYMETALのライブを思い返した。

 

フェスにおけるBABYMETALのライブで一番楽しいと思うのは、
やはり巨大なサークルを作ってWOD、サークルモッシュをすることだろうか。
ライブハウスと規模が違うから、感じる一体感も濃い。
そしてその場所が屋外であれば見晴らしも良いのでなおさら気分は高揚する。
夕闇の中で行われたライブは昨年のフジロック以来だと思うが、
ライトアップされた彼女たちのステージングはとてもキラキラと輝いていた。

 

それにしても、と僕は人知れず苦笑する。
モッシュピットに限れば、今日も完全に単独ライブのノリだった。
すぐにモッシュやサークルモッシュに参加する初見の人が多いから、
フェスではいつもそういう風に感じるのかもしれない。
少しでも目にしたならば、祭りに参加せずにはいられない心境に陥ってしまう。
そんな初見の人が多いのだろう。

 

音響については、はっきり言うと昨年の舞洲アリーナの方が良かった。
ドラムのバスドラなんて床を這うようにして襲ってきて全身を振動させていた。
とはいえ、今回の OCEAN STAGE も、巨大なスピーカーこそなかったが、
それなりに満足のいく音響、音圧だったように思う。
とくに BABYMETAL と MAN WITH A MISSION のときにそれは強く感じた。
また神バンドの演奏は今宵も非常にタイト&ソリッドで、聴く者を悉く制圧していた。

 

3人の様子はというと、それはもう楽しそうにしている、その形容しか思い浮かばない。
事前のサマソニメッセージ動画で “ すごく楽しみにしている ” と語っていたが、
実際にここでの出演をきっかけにステップアップしていっているので、
やはり3人とも「SUMMER SONIC」に対しては特別な思い入れがあるのだろう。
そして、それは僕も同じだった。
4年前の「SUMMER SONIC TOKYO」でたまたま彼女たちのライブを観たからこそ今がある。

 

振り返ると、BABYMETALを知ってから、
僕はタバコをやめ、時間があれば走り込み、体幹も鍛えるようになった。
それもこれもBABYMETALのライブで、最初から最後までモッシュをするためだ。
周りからすると、その理由はまったくもって理解できないのかもしれないが、
きっと分かる人には分かるだろう。
今日は全8曲で、休むことなく、モッシュ、ヘドバン、WOD、サークルモッシュに参加したが、
お陰さまでまだ体力は残っている。
明日も目一杯楽しむぞ。
僕は口元に微笑を湛え、東京行きの新幹線に揺られ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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